第32回 加藤俊徳さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医学博士の加藤俊徳さんです。
- 加 藤
- よろしくお願いします。
- 住 吉
- 加藤さんは、医学博士で、「脳の学校」代表でもいらっしゃいます。これまで1万人以上の患者さんの脳画像解析を行ってきた、脳のスペシャリストで、最近『悩まない脳の作り方』という著書を発表したばかりです。「悩み」といえば原因は「心」にあると思いがちですが、「脳」なんですね。
- 加 藤
- 脳ですね。僕自身は、高校・大学と悩める男だったんですけども、脳の勉強をして脳のことがわかってきたら、悩まなくなったんですよね。脳の画像を見ていたら、弱い脳の番地から悩みが生まれるんだということがわかったんです。
- 住 吉
- 番地?
- 加 藤
- 脳の番地。脳の場所ごとに役割が違うんです。
- 住 吉
- 感情を司るところとか、記憶を司るところとか?
- 加 藤
- そうです。ラジオを聴いたりする聴覚系、物を見る視覚系など、僕は8つぐらいに分けています。例えば、聴く力がなかったら、すぐ「何を言ったの? 僕は聞いていない!」と、そこから悩みが出たり。
- 住 吉
- 脳番地の強い・弱いは、どうやってできるんですか?
- 加 藤
- いくつか症状があるんです。例えば、整理整頓ができないとか。この本にもチェックリストが載っているんですが、大体8つの中でどの番地が弱いかということが簡単にチェックできます。
- 住 吉
- そもそもなぜ弱くなってしまうんですか?
- 加 藤
- 人間は経験でしか脳が成長しないんです。
- 住 吉
- じゃあ、そこについて経験してこなかったので、大人になった時に弱いと。他のスキルと同じですね。
- 加 藤
- そうです。未体験ゾーンが脳の中にあるんですよ。そこが弱い番地になって、悩みに繋がっていくんです。例えば、人と会わない人が、どうもコミュニケーションが上手ではない、と。人と会ったことがなければ、接する技術も体験していないですよね。
- 住 吉
- 人間関係の悩みは一番多いと思うんですが、そういう人間関係で悩む場合は、何の番地が弱い人なんですか?
- 加 藤
- 一つは、人を見ていない。
- 住 吉
- それは、視覚ですか?
- 加 藤
- 視覚です。目は開いているんですが、目から情報を取れない人が一番悩みやすいですね。そういう人は、人と会いたくない、家から出たくない、そしてこもる。
- 住 吉
- 例えば、何を見ないと人間関係で悩むんですか? 顔色が違うとか?
- 加 藤
- 顔色や、あとは風景など。実際にこもっていると、脳の視覚系の番地がスカスカになって、全然使われていないのが一発でわかります。
- 住 吉
- もう一つ、人間関係で大事な番地は何ですか?
- 加 藤
- 感情系です。感情系は、他人のことが理解できないという場合と、自分のことが理解できないという場合が結構あるんです。