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第35回 松田尚久さん

第35回 松田尚久さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、国立がん研究センター中央病院 検診センター長、医師の松田尚久さんです。
松  田
よろしくお願いいたします。
住  吉
今日のテーマはずばり「大腸がん」です。大腸がんと聞いても、特に20~30代の方はピンとこないかもしれないですけれども、実は罹患率が多いそうですね。
松  田
そうですね。日本では今、大腸がんに罹患される患者さんの数が、男女合わせまして年間で15万人と言われていて、5万人強が大腸がんで命を落としているという現状です。
住  吉
増加傾向にあるのでしょうか?
松  田
そうですね。年齢の高齢化に伴って、患者さんの数も増えているという状況です。
住  吉
その大腸がんですが、原因はどういうものなのでしょうか?
松  田
食生活を主体とした生活習慣の欧米化が大きな原因と言われています。高脂肪食など食生活が変わってきていますよね。そういったことが一つの大きな要因ではないかと言われています。
住  吉
遺伝は関係するんですか?
松  田
遺伝に関する研究も進んでいるんですけれども、大腸がんに罹患される方全体の5%前後は、明らかな遺伝的関与が証明されています。それ以外は明らかな遺伝ではなく、生活習慣をはじめとした、後天的な関与と言われています。
住  吉
そうしますと、もし近い身内で大腸がんに罹患した経験のある方がいる場合は、気をつけた方が良いと?
松  田
そうですね。ご家族、ご両親、ご兄弟で大腸がんに罹患されている方がいる場合には、意識を高めていただいて、少し早めの年代で検診を受けていただくことが必要だと思います。
住  吉
ちなみに、男女の傾向はあるのでしょうか?
松  田
実際の患者さんの数で言いますと男性の方が少し多いんですけれども、今、女性のがんの死亡理由で一番多いのは大腸がんなので、女性も増えてきていて、男性に近づいてきています。
住  吉
女性は、(大腸がんが)一番多いんですね。
松  田
そうですね。乳がんも多いんですけれども、乳がんに対しては国民の意識も高まっていると思います。
住  吉
大腸がんに関してはまだあまり聞かれないですよね。
松  田
そうなんですよ。残念ながらまだ意識が低いというのが現状です。
住  吉
だからこそ、どういうものか知らない方も多いと思います。例えば、罹患するとどういう症状が現れるのでしょうか?
松  田
早期がんの場合にはなかなか自覚症状は出ないんですけれども、ある程度進行してきますと、血便があったり、今まで普通の便通があったのに、急に便秘になったなど、急な変化には要注意かなと思います。そういった場合には検診ではなく、医療機関での診療をきちんと受けていただくことが必要です。
住  吉
現在どんな治療法があるのでしょうか?
松  田
その段階によって色々な治療法がありますけれども、早期がんの場合、内視鏡で治療できることも非常に多いです。他には、外科手術、あるいはさらに進んでしまった場合には、放射線化学療法という治療もありますけれども、早く見つければお腹を切らずに内視鏡で取れます。
住  吉
ということは、検査をしながら、その検査がきっかけで治療も?
松  田
そうですね。内視鏡でもし発見されれば、大きさによりけりですが、その場で取ってしまって、1回で治療することも施設によっては可能です。