第35回 松田尚久さん
- 住 吉
- では、大腸がんの検診には、どんなものがあるのでしょうか?
- 松 田
- 住民検診という形で市区町村が中心となってやっているのは、「便潜血検査」。免疫法というものを使って、便の検査で大腸がんを拾い上げるというのが一般的な検診として使われています。
- 住 吉
- そして、内視鏡というのも先ほどお話しがありましたが…。
- 松 田
- そうですね。「内視鏡」というのは直接腸の中を見ますから、がんを見つけるだけではなく、前癌病変と言って、ポリープという良性の腫瘍ががんの予備軍としてあるので、そういったものを拾い上げるために、内視鏡で見せていただいて治療してしまうというのが予防にも繋がります。
- 住 吉
- 予防にも繋がる検査なんですね。そういった検査は何歳ぐらいから受けるべきでしょうか?
- 松 田
- 国としますと40歳以上の方々に毎年の便潜血検査、免疫法を推奨しています。毎年受けていただくというのが大事なことで、1回受けて終わりではダメなんです。一方で、大腸内視鏡の場合には、40歳ぐらいでやっていただくのが理想的ではあると思うんですけれども、有病率を考えますと、50歳ぐらいになったら1回ぜひ大腸内視鏡を受けていただくと良いのではないかと思います。
- 住 吉
- 内視鏡ってちょっと大変そうなイメージがありますよね。まずはお腹を空にしないといけないですし…。
- 松 田
- そうですね。下剤を飲んでいただいて、空っぽにしないといけないです。ただ、最近では下剤を飲む量も少しずつ減ってきていまして、昔は2リットル以上ということでしたが、最近では1.2リットルぐらいをお水と一緒に飲んで綺麗にするという方法も出てきています。
- 住 吉
- 頑張って検査をすれば予防効果もある、というのは、モチベーションが上がりますよね。
- 松 田
- そうですね。内視鏡検査を受けていただいた場合には、毎年受ける必要はなくなります。初回の内視鏡の検査が非常に大事でして、ポリープが沢山ある方と1個もない方がいます。何もない方は(次回の検査まで)5年間隔をあけても十分ですね。
- 住 吉
- 大腸がんについて、普段の生活で何か予防法はあるのでしょうか?
- 松 田
- 冒頭で申し上げた食生活の欧米化を考えると、バランスの良い食事ですね。日本の場合には、肉に偏らず、魚も食べていただいたりというバランスの良い食事。あと、確実に有効性があると言われているのは、適度な運動です。きちんと運動することで大腸がんの予防に繋がるということが証明されています。
- 住 吉
- 食生活と運動に気をつけるのが重要ということですね。松田先生は、健康診断は欠かさず受けていらっしゃいますか?
- 松 田
- そうですね。職場で必ず受けなさいと言われますので、会社の中で健診を受けております。
- 住 吉
- 今日は大腸がんについて伺ってきましたが、早めに見つかると助かるがんではあるのでしょうか?
- 松 田
- そうですね。「コントロールしやすいがん」というのが大腸がんの特徴ですので、早く見つければ、ほぼ皆さん治せるということです。
- 住 吉
- 年齢やご家族の既往歴など、思い当たることがあるのにまだ検診をしていないという方は、ぜひ考えてみてください。では最後に、松田先生の「健康の秘密」を教えてください。
- 松 田
- 直接大腸がんに繋がるかはわからないんですけれども、僕の健康の秘密は“就寝前にコップ1杯の水を飲んで寝ること”ですね。それをずっと続けています。
- 住 吉
- 松田尚久さん、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。日本人の死因で最も多いのは、がん。その中でも大腸がんによって亡くなる方は、年間5万人。男性では第3位、女性では乳がんよりも多い、第1位の死亡原因となっています。協会けんぽでは、加入者ご本人向けに生活習慣病予防検診をご用意しています。大腸がん、胃がん、肺がん検診が含まれており、女性は2年に1度、乳がん、子宮頸がん検診が受けられます。早期発見、早期治療のためにも、ぜひ受診してください。協会けんぽ東京支部からのお知らせでした。
12月7日(木)のゲストは、バレエダンサーの竹田純さんです。次回もどうぞお楽しみに!