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第44回 桑原竜司さん

第44回 桑原竜司さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、プロスキーヤーで元モーグル全日本代表の桑原竜司さんです。
桑  原
よろしくお願いします。
住  吉
桑原さんは、2005~2013年にモーグル全日本チームに所属されていて、ケガによりオリンピックへの出場は逃したものの、ワールドカップなどを転戦し、活躍されました。その後、2014年に引退され、現在は新潟県湯沢町の神立高原スキー場にて、「神立フュージョン・バンプ・スクール」副校長として、日々指導に当たる傍ら、現役ナショナルチーム選手の夏季練習の指導にもあたっています。“コブ王子”と呼ばれていると伺いました。
桑  原
そうですね。ここ数年でそう呼ばれるようになりました。
住  吉
モーグルというと“コブ”のイメージがすごくあります。コブを滑って最後にエア(空中技)で決める、というイメージなのですが…。
桑  原
250mぐらいのコースで平均斜度が28度で結構急なんですけど、そこがコブ斜面になっていまして、そこの間で2回のジャンプを決めなくちゃいけないので、「最後に」というよりは間に2回飛んでまたコブに入って…という形で滑る競技です。
住  吉
「モーグル」というのはどういう意味なんですか?
桑  原
ノルウェー語で、雪上のコブを意味すると聞いています。
住  吉
そうなんですね! ターン技術、エアでの演技、スピード、この3つの得点を競い合う?
桑  原
そうですね。採点の配分はターンが全体の60%を占めていて、エアが20%、スピードが20%の計100点になるような採点競技です。
住  吉
この競技はオリンピック競技の中だと新しい方だと思うのですが、どんどん進化していると?
桑  原
そうですね。長野オリンピックまでは里谷多英さんが金メダルを獲っていて、コサックという彼女が使っていた技が有名になって、「モーグルをやっている」と言えば「コサックでしょ?」と、マネされたりもしたんですけども、それから次のオリンピックになったときに、人と同じことをやっていても優勝できないということで、選手がどんどん自分の価値を高めていこうと、難しい技に取り組むようになったんです。今までは前を向いて板を振ったり足を広げたりする技だったんですけど、縦回転で回るようになったり、高難度な、頭が下になるのが当たり前になるような競技になってきましたね。
住  吉
すごいですよね。どうやって新しい技を編み出すんですか?
桑  原
夏場の練習で、トランポリンとか、ウォータージャンプというプールに斜面を作ってそこに特別なブラシをひいてスキーで滑っていって飛ぶ、ということをして、選手自らまた登って、またジャンプして…。
住  吉
最後は水にバシャンと?
桑  原
はい。なので、ケガのリスクがとても少ないので、そこで空中感覚と飛び出していくイメージをつけて、大体立てるようになってきた時に雪上で試すと「あ、簡単にできた」と。
住  吉
急に雪でやると当然ケガのリスクも高まるので、水上でやった方が良いんですね。夏の時期がものすごく有効活用されますね。
桑  原
そうですね。(夏の)滑れない時期がエアの練習の中ではとても大事になってきます。
住  吉
あと、リスナーの方からこんな質問が来ています。「モーグルのウェアの膝部分についている布について教えてください。膝がきちんと揃っていることを審査員にアピールするため、と聞いたことがあるのですが、国や選手によってデザイン違いもあるのでしょうか?」といただいています。確かにモーグルの選手の写真を見ると、膝の下ぐらいのところに、パンツ全体とは違う色の布のようなものが。デザインかなと思ったんですが、布がついているんですか?
桑  原
そうですね。それをつけることによって、脚部の動きを審査員にアピールできます。高得点をもらえる滑りとしては、ボコボコしているコブ斜面をいかに滑らかに速く滑るか。その滑らかに滑るという部分に関して、膝の動きはとても重要で、しっかり動いているというのが点数に繋がるので、それを見てくれとアピールしているんです。
住  吉
審査員にアピールするためなんですね。では皆さん、後からウェアに好きな布をつけたり?
桑  原
そうですね、それぞれ個性があって。僕が昔やっていたときはガムテープをウェアに貼っていて、「今日はこんな形にしようかな」とか、憧れている選手の膝のマークをマネしてみたりとか、色々なことをしていましたね。
住  吉
そうなんですか! 色も、白地に黒とか色々とありますけれども…。
桑  原
点数をもらうために、状態がぶれないようにとか足が開かないようにするのですが、背景が雪なので、白いウェアを着ることによって雪と同調させて、そこを誤魔化すこともできる、ということで、最近は白いパンツを履いている人が結構多いかなと。
住  吉
視覚的な工夫を! (桑原さんの以前の写真を見て)この写真では黒のパンツを履いているので、不利じゃないんですか?
桑  原
僕は密脚に自信があったのと、人と違うところで個性を出したかったので、自分の好きな色のウェアを着るというのが定番でしたね。
住  吉
そういうことなんですね。そこも見て楽しめますね。お国柄も出ますか?
桑  原
そうですね。国によって統一しているウェアの色があったりします。あとは膝マークも、真ん中だけに貼っていたら激しく滑っていく間にウェアがずれるかもしれないので後ろの方までつけていたり、こだわりが結構あるみたいですね。