第78回 尾﨑治夫さん
- 住 吉
- ここからは、「ジェネリック医薬品」について伺っていきます。Blue Oceanでも何度かピックアップしていて、先発の薬よりも少し安いという話もしていますが、今一度、ジェネリック医薬品が先発の薬より安くなるのはどうしてなのかを教えていただけますか?
- 尾 崎
- 新しい薬というのは、10年以上かけて、数百億円の開発費をかけて、製薬会社が作っていくわけです。そこから色んな臨床試験などを経て、発売される時に、当然そこに今までかかった費用を上乗せするので、かなり値段が高くなるんです。ジェネリック医薬品は、特許の切れたお薬の有効成分が発表されて、それと同じような薬をジェネリックの会社が作るんですが、そこには開発費などがほとんどかかっていませんので、安く提供できるということです。
- 住 吉
- ということは、先発の薬とジェネリック医薬品は、全く同じものということになるんですか?
- 尾 崎
- 特許が切れると、有効成分だけを公表します。薬というのは基材を入れて完成するので、そちらの基材の方はジェネリックの会社にある程度任されているんです。ですから、有効成分は全く同じですが、厳密には全く同一の薬ではないんです。ただ、効き具合は最近ではかなり良くなってきていますので、ほぼ同等と言われています。
- 住 吉
- 基材というのは具体的にどういうものなんですか?
- 尾 崎
- 有効成分だけでは、そのまま体内に入っても分解されてしまうんです。例えば、「胃の中に入っても分解されないで、腸に入ったら分解されるようにする」とか。あるいは、錠剤にするのか、カプセルにするのか、そういったことをやって初めて薬の形になるわけです。
- 住 吉
- その周りの部分というか、そこが違って効き具合には影響はないんですか?
- 尾 崎
- 効き具合には影響はないですが、腸で吸収されますので、吸収度合いが周りの成分によって多少変わってくる場合もあります。それから、身体がかなり敏感な方ですと、周りの部分のためにアレルギーを起こしたり。例えば、先発品をジェネリックに替えた時に蕁麻疹が出るとか、そういうケースもあることはあります。
- 住 吉
- それは、そういう知識がないと「同じ薬を飲んでいるから薬のせいではないだろう」と思って、わからないかもしれないですね。
- 尾 崎
- そうですね。ジェネリックに替えた時にそういうことが起きる人がたまにいますから、替えてしばらくはそういうことを考えていただくということが大事です。ただ、そんな頻繁に起きるわけではないので、そういう意味ではそんなに恐れる必要もないですが、もし起きたらやめると良いです。
- 住 吉
- お値段的に安いというのは、持病などで長期にわたって飲まれる場合はとても魅力的だと思いますが、患者側から「ジェネリック医薬品を使いたい」と医師に申し出ても良いものでしょうか?
- 尾 崎
- それは当然患者さんの権利として認められていると思いますし、特にたくさんの薬を飲まれていて、月のお薬代が高くなる人は、一度相談されてみるのが良いと思います。
- 住 吉
- 「基材も似たようなもので…」というような詳しい相談も医師にできるのでしょうか?
- 尾 崎
- そうですね。最近では、まだまだ種類は少ないんですが、基材というか添加物まで先発品と全く同じ「オーソライズド・ジェネリック」というものも出てきています。それは先発品と全く同じ薬なので、そういう意味では安心して使えると思います。ですから「どんな薬があるのか?」ということも医師に聞いてみたら良いと思いますね。
- 住 吉
-
いずれにせよ、知って、賢くお薬を使うのが大事かなと思います。
健康のスペシャリストである尾﨑先生も、健康診断は欠かさず受けていますか? - 尾 崎
- 定期的に受けています。
- 住 吉
- では最後に、尾﨑先生の「健康の秘密」を教えてください。
- 尾 崎
- 健康の秘密は、“ストレスを次の日に持ち越さないこと”。具体的には、気の合った仲間と美味しい食事をして、美味しいお酒を飲んで、とことん語り合って、発散するということです。
- 住 吉
-
尾﨑治夫先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。選んでいますか? ジェネリック医薬品。ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を含み、効き目や安全性が同等であると国から認められたお薬です。効き目が同じでありながら、先発医薬品ほど研究開発費がかからないため、価格を低く抑えられるんです。飲みやすい工夫がされているものもたくさんあります。協会けんぽ東京支部では、ジェネリック医薬品の利用をおすすめしています。
10月4日(木)のゲストは、ギタリストの村治佳織さんです。次回もどうぞお楽しみに!