第87回 城守国斗さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、日本医師会常任理事で医師の城守国斗先生です。
- 城 守
- よろしくお願いいたします。
- 住 吉
- 今日のキーワードは「特定保健指導」です。まずその前に、「特定健診」のお話を伺いたいと思います。
- 城 守
- 皆さん、ご自身の健康状態を確認するために年に1度健診を受けていらっしゃると思いますが、毎年健診だけを受けていれば良いというものでもないんです。健康寿命の延伸のためには、きちんと健診を受けて、その結果を知って、健康状態に問題がある人は重い病気にならないように、ご自身にあった生活習慣の改善などの取り組みを行っていただく、という必要が出てきます。ただ、こういう取り組みを一般の方がご自身だけで行うのはなかなか難しい、というのが現状だと思うんですよね。そこで、制度としてこういう取り組みを専門の方が支援するため、平成20年に始まったのが「特定健診」、いわゆる「メタボ健診」というものです。このメタボ健診で「あなたはメタボの可能性があります」または「メタボです」という結果が出た場合は、「特定保健指導」という指導を専門家の方にサポートしてもらいながら一緒にやっていく、という制度です。
- 住 吉
- 特定保健指導の対象かどうかをまず特定健診で振り分けて、対象者の場合、特定保健指導というものを受けると。この「特定保健指導」というのはどういうものでしょうか?
- 城 守
- 特定健診の結果、「あなたはメタボです」「メタボ予備軍です」「もっと重症です」という結果が出ましたら、生活習慣の改善に向けて行動目標というものを作って行動計画を立てる、そして食事や運動などについての具体的な指導、取り組みに対しての支援が行われる、というのが「特定保健指導」です。例えば、血圧の高い方の場合は、塩分の摂取量を調整したり、野菜の摂取量の計画情報を作成したり、週に何回・何時間運動するのが適切なのかなど、その人に合った具体的な行動計画を策定して、3ヶ月後を改善目標に設定します。そして、特に支援が必要だと思われる方に対しては、その後、専門の方、お医者さんや保健師さん、管理栄養士さんなどに定期的にフォローしていただくことで、目標達成に向けて支援を行って、最後にその取り組みをどれぐらい実施できたか評価をする、という形になります。もちろん、3ヶ月で結果が出なければ、専門の方と相談をして、その取り組みをさらに継続して支援をする、ということも行っています。
- 住 吉
- 誰が指導をしてくれるんでしょうか?
- 城 守
- 指導はその人の状況によって、主に管理栄養士さんが中心になるという方もいますし、保健師さんの方もいますし、ドクターということもあります。それぞれ、その人に合った形での専門職が支援をするということになりますね。
- 住 吉
- 特定健診は、皆さんきちんと受けているんでしょうか?
- 城 守
- 国は、この特定健診の受診目標を設定していまして、対象者の70%の方には受診をしてもらうようにということを言っているんですが、実際は2年前のデータで達成率51%強でしたのでまだまだですね。
- 住 吉
- その中でもさらに、メタボ健診の結果、特定保健指導を受けなければいけないという人は、その特定保健指導まで到達しないといけないわけですよね。そこにも全員きちんと行けているのかなという疑問が…。
- 城 守
- そうですね。特定保健指導も目標値が設定されていまして、それが受診者の45%ということになっているんですが、実際は2年前のデータで達成率が18%強です。生活習慣を改善するということは色々と制約を受けますので、皆さんなかなかのってきにくいというのが事実でしょう。
- 住 吉
- そうですよね。これは食べたらダメとか運動しなさいとか色々言われるんだろうなと思うと、皆さん二の足を踏んでしまうということなんでしょうかね。
- 城 守
- それは大いにありうると思います。