文字サイズ

第96回 大谷義夫さん

第96回 大谷義夫さん

住  吉
ここからは、COPDの治療についても伺っていきたいのですが、一度かかってしまうと完全に治ることはなかなかないと。
大  谷
そうなんです。残念ながら、一度かかってしまいますとなかなか治らない。溶けてしまった肺胞はもう元には戻らないですね。ただし、気道の炎症はある程度取れますので、気管支拡張薬や炎症を取るような薬を使って気管支の炎症を取って、呼吸を楽にしていく、ということは行っています。もちろん、禁煙が基本です。
住  吉
では、今やっている治療としては、まずはとにかく禁煙。
大  谷
はい。禁煙をおすすめして、禁煙できない方は禁煙外来でお薬を使ってでも禁煙していただきます。
住  吉
さらに、気管支を広げる拡張薬を使うと。あとは生活習慣を良くするとか、身体を強くするということになってくるのでしょうか?
大  谷
そうですね。ただし、肺を元に戻すことはできなくても、肺の周りの筋肉を鍛える、つまり呼吸筋を鍛えることによって、肺の機能はある程度戻りますから、呼吸筋を鍛えることは重要ですね。さらに、食材も少しあるんです。一昨年、ヨーロッパから医学論文が2つ出まして、「りんご」が肺を若返らせたんですよ。1週間に5回りんごを食べる方は、1週間に1回も食べない方に比べて、タバコをやめた後の肺の戻り方が良かったです。先日も、用事があって青森のりんご農家さんにお伺いして肺年齢を拝見しましたら、りんご農家さんは素晴らしい肺年齢でした。
住  吉
そうなんですか! どうしてりんごなんでしょうね。
大  谷
りんごの中のポリフェノールが炎症を取るんじゃないか、と推測されています。
住  吉
完治はしないので、少しでも止めて良くするということが今の治療とのことですが、これはもちろん、発見して治療を始めるなら早ければ早いほど良いと。
大  谷
はい。なるべく早く発見したいので、そのためにはなるべく早く肺機能の検査を受けていただく、さらにはなるべく早く、ご自分のため、ご家族のために禁煙していただくということが重要です。
住  吉
ご家族のためということですが、喫煙している本人だけではなく、家族や同僚などの周りの方、受動喫煙でもかかってしまう可能性がある?
大  谷
はい。受動喫煙の害は、COPDだけではなく、肺がんにもなりますし、お子様にとっては小児喘息だったり、中耳炎だったり、発育が低下したり、さらには知能指数低下というようなデータもあるんです。
住  吉
えっ、知能指数にまで影響するんですか?
大  谷
はい。ですから、「お子様のために禁煙しませんか」と言って説得いたします。
住  吉
大谷先生ももちろん、COPDの患者さんには治療や検査などをしていらっしゃる?
大  谷
はい、もちろん拝見して、治療しています。
住  吉
どんな事例が多いですか? あるいは印象に残っている事例はありますか?
大  谷
高齢者の方は、なかなかタバコをやめづらいんですね。それでも、まず禁煙のところから説得するんですけども、「俺は死んでもタバコをやめない」とおっしゃるので、そうすると無理強いはなかなかできないので、「いいですよ」とレントゲンを撮りました。肺がんでした。その2週間後には「タバコを吸う人の気が知れないな」と。やはり高齢者にとっては、病気は非常に大きな転機になると思います。若い方は、やはり「お子様のために」ですけども、では若い方はCOPDにならないかと言いますと、若年性肺気腫という概念がありまして、30代の方でも肺気腫になってしまって、COPDになってしまって、酸素が必要になった方もいらっしゃいます。
住  吉
とにかく「まずは禁煙」ということを広めていらっしゃるんですよね。
大  谷
はい。ぜひ皆さんにお願いしたいですね。
住  吉
そしてもちろん、大谷先生も健康診断はかかさず受けていらっしゃいますか?
大  谷
はい、受けていますよ。
住  吉
では最後に、大谷先生の「健康の秘密」を教えてください。
大  谷
私の健康の秘密は“暗闇ボクシング”です。最近、週に数回お伺いして、はまっていまして、私にはボクシングはできないかなと思っていたんですが、患者さんでダイエットされて、ぽっこりお腹がなくなった方が何人かいらっしゃったので行ってみたんです。確かにハードで、若い女性がたくさんいらっしゃるんですが、1ヶ月で3kg痩せましたし、呼吸筋を鍛えるにも良いんじゃないかなと思いますね。
住  吉
結構息もあがるんですね。大谷先生の著書『止まらない咳を治す!』にも、COPDについて書かれています。気になる方はぜひチェックしてみてください。大谷義夫先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関で呼吸機能検査を受けてみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
2月7日(木)のゲストは、平原綾香さんです。次回もどうぞお楽しみに!