第109回 竹中平蔵さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、慶應義塾大学名誉教授の竹中平蔵さんです。
- 竹 中
- おはようございます。お願いします。
- 住 吉
-
竹中さんといえば、もちろん経済がご専門で、2001年から2006年には小泉内閣で大臣を務められ、日本経済の舵取りを担いました。そんな竹中さんの最新著書が『平成の教訓』。今日は竹中さんと一緒に平成30年間を振り返りつつ、未来についても考えていきたいと思います。
まず1つ目、「平成はまだらな時代」とおっしゃっていますが、まだらな時代とはどういうことなのでしょうか? - 竹 中
- 一般には、平成の時代というのは経済が弱くなって失われた30年などと言われるんですが、決してそうではなくて、まだら模様だったなと思うんです。すごく悪くなった時期もありましたけども、結構良くなった時期もある。すごく悪くなった部分もあるけども、結構良くなった部分もありますよね。そういう風に、良いところと悪いところを一緒くたにしないでちゃんと識別しないと、その教訓を令和の時代に活かせないと思うんですよね。そういうことをこの本で言いたかったんです。
- 住 吉
- その代表で言うと、良かったこと、そうでもなかったことはどのようなことですか?
- 竹 中
- 1つは、デジタルな産業革命が色々と起こっていますけれども、それに十分ついていっていない。日本に様々な規制があって、若い人がやりたいこともこの法律があるからできないとかそういうことがたくさんあって、経済の発展が少し遅れたというのも事実ですよね。しかし一方で、私たちのデジタルライフは、今みんなスマホを持って、ほぼ100%近い人がインターネットを使っていて、地上テレビは世界に先駆けて完全デジタル化をしたんですよ。そういう意味ではすごく先進的なんですよね。そしてもう1つは、今、私たちは東京の真ん中にいますけれども、東京の街はこの平成の時期にものすごく良くなりましたよ。「世界の都市総合力ランキング」というものを森記念財団で作っているんですが、東京は3位なんですよ。ロンドン、ニューヨーク、東京、パリ、シンガポールと続くんですが、東京はこの5年ぐらいの間でランキングを上げたんです。例えば、東京という街は空気がきれいですよね。そして、今までちょっと弱点だった交通アクセスも、羽田空港が国際化されたり。もちろん文化もあるし、そういう意味では東京はすごく良くなった。それまでの東京は外へ外へ広がっていっていたんですが、1990年代の半ばに湾岸地域でやろうとしていた都市博を中止して以降、みんな都心に戻ってきたんですよ。都心回帰が起こって、日本橋、銀座、新宿、そういうところがみんなコンパクトシティになったんです。今、海外から東京にたくさん人が来てくれていますが、皆さん言うのは「東京って面白いね」と。銀座もあれば日本橋もあって、渋谷もあって青山もあって…コンパクトシティが連なった、非常に良い街になっている。だから、人々のデジタルライフ、そして東京都市、そういうものは間違いなく平成に良くなった点ですよね。