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第109回 竹中平蔵さん

第109回 竹中平蔵さん

住  吉
続いて2つ目のキーワードが「明るい縮小戦略」。
竹  中
縮小戦略と言うと少しイメージが悪いんですけれども、ものすごく明らかな事実は、日本の人口は間違いなく減ってくるということなんですよ。もうまもなく、毎年100万人ずつ減るような時代になります。明るい縮小戦略というのは、今まで500人住んでいた集落が今は100人しか住んでいません、5年後には10人しか住みません、というところに対して、今までと同じように「道路をつけましょう」「電気を送りましょう」ということは、残念だけれどもうできない。それをやっていたら大変なことになる。だから、申し訳ないけれどもここの集落は市に移ってくださいと。ただし、これは強制ではありません。あなたがもしどうしてもそこに住みたいのであれば住んだらいいです。ただし申し訳ないけれども、水や道路、電気の供給は保証できないんですと。実はアメリカに行くと、森の中に1人で住んでいるから構わないでくれという人はたくさんいるわけで、全部自分でやるという人はたくさんいる。それは自由ですよね。でもインフラを供給するという面では、もっと別のことを考えていかなければいけない。それをあえて「明るい縮小戦略」と呼んでいて。「明るい」というのは、今までは道路などにお金を使っていたけれど、移ってくれる人には、その移るための費用を全部政府が出しましょう、仕事を探すお手伝いも全部しましょう、そこは国が都道府県が責任を持ってやりますよと。そしてもっとコンパクトで明るい日本を作っていきましょう、という趣旨のことを言いたかったんですね。
住  吉
少し想像しただけでも、大変な転換点にいるということや、それを実施していくこともきっと大変だろうなというのが想像できますね…。
ここからは、竹中さんの健康や元気の秘密を伺っていきます。竹中さんは普段、食事や生活習慣など、健康で気をつけていることはありますか?
竹  中
睡眠時間です。若い頃は、少しでも業績を増やして良い論文を書きたいとか、そういう意識がものすごく強いから、睡眠時間を削ってでも仕事をしたいと思っていたんです。ところが50歳になって、大臣になったその瞬間から、39度の熱があっても国会に呼ばれたらはってでも国会に行かなきゃいけないんですよ。健康管理もできないやつは大臣の資格がないと言われるわけですから、「とにかく病気にならないようにしなきゃいけない」というのが目の前に降ってきたんです。病気になれない怖さってすごいですよ。経済の考え方で「スイッチング理論」というのがあるんです。例えば、企業は景気が良いときはできるだけ売上を増やそうとする。これが最大目標だと。景気が悪くなったら売上よりもできるだけコストを下げようとする。目標をスイッチしているんですよね。だから、若い頃はできるだけ業績を上げる、そして50歳以降は睡眠時間を確保する、というスイッチングをしたんです。
住  吉
結果的には、その方が仕事にとってプラスだということですものね。
竹  中
長期的にはそうだと思うんですよね。
住  吉
忙しい日々を送られていると思いますが、健康診断には行っていらっしゃいますか?
竹  中
はい。1年に1回は行っております。
住  吉
それでは最後に、竹中さんの「健康の秘密」を教えてください。
竹  中
健康の秘密は“笑い”です。私は関西人で、何でも笑いに変えるということを常に心がけています。
住  吉
竹中さんのご著書『平成の教訓』はPHP新書から発売中です。ぜひ手に取ってみてください。竹中平蔵さん、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関で呼吸機能検査を受けてみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
5月9日(木)のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんです。次回もどうぞお楽しみに!