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第113回 木田厚瑞さん

第113回 木田厚瑞さん

住  吉
治療となると、生活習慣全般に関わってくるということがわかりました。
ちなみに、COPDは受動喫煙でもかかってしまいますか?
木  田
そうですね。特に、幼児期、小さい時の受動喫煙がまずいんですよね。タバコを吸う人が全員かかるわけではなく、タバコを吸う人のだいたい15%が重症になると言われています。ですが、どの人がCOPDになりやすいかはわからないので、全ての人が禁煙をされた方が安全だということです。
住  吉
今おっしゃったように、重要になってくるのが「禁煙」ということで、ここからは「禁煙」について詳しく伺っていきます。
先生のクリニックにも「禁煙外来」があるそうですが、禁煙外来ではどのような治療やアドバイスを行っているのでしょうか?
木  田
最初にお話しするのは、なぜ禁煙が必要かを納得してもらうことなんですよね。ほとんどの場合は、咳が止まらないとか、苦しくなってきたということで来られる人が多いので、すでに発症している可能性が非常に高い。ですから禁煙をしなければいけない。あるいは、どうしてもタバコをやめられないけれども、奥様がそれを心配して無理に連れてきた、という場合もあります。その場合は、ご本人に納得してもらうことなんですよね。なぜあなたは禁煙が必要なのかを納得してもらうこと。そのためには、ある程度検査をして、この検査データはこうなっているからやめないと危険ですよ、ということをお知らせする。納得したら、それだけで禁煙ができるという人もいますし、それでもなかなかやめられないという人もいます。あとは薬を使うかということなのですが、禁煙の飲み薬があって、保険もききます。ニコチンのパッチもあって、だんだん減らしていくという方法もあるんですが、それは結構難しいことが多いです。禁煙の薬というのは、少量を飲み始めて、1週間後から禁煙を行ってください、と1週間は喫煙を許すんです。そうすると、タバコの味がだんだんまずくなって、嫌な感じになってくるんだそうです。
住  吉
なるほど。我慢できるかという意思の問題だけではなく、吸いたくなくなる可能性もあるんですね。
木  田
1週間後から禁煙の本番に入ると、薬の量も少し増やして、完全に禁煙する。そうするとイライラ度も少なくなるんです。その禁煙の薬というのは、イライラ度を抑えるような働きもあります。あとは、タバコをやめたことで健康がこれだけ改善したと。例えば、食欲が出てきた、体調が良くなってきた、ぐっすり眠れるようになった、というポジティブなことで患者さんを励まします。
住  吉
禁煙外来にいらっしゃる方は、きちんとタバコをやめられる方の方が多いですか?
木  田
多いですが、モチベーションが高い方はやめられるんです。「心配だから来た」という方は。ところが、1年か2年経ったところで、1本吸うと元に戻ると言われているんです。ずっとやめていたのに、友達と飲みに行った時に1本吸ったら、そのまま元に戻ったと。ですから、なかなか難しいんです。脳には、ニコチンのレセプターと呼ばれる受容体というものがあるんです。それが脳の組織にくっつくと、集中力が増す、テンションが上がる、と癖になっていくわけですが、その受容体の方は一生残るといわれています。吸い始めるとだいたい2週間でその受容体が脳にできてしまう。ですから子供でもそのままになってしまって、タバコをやめられないという子供が出てくるんです。
住  吉
では長い戦いといいますか、意思も必要になってきますね。
木  田
ですから、「1本が危ないですよ」ということはよくよく説明します。
住  吉
そのように大変なことがありつつも、禁煙に成功したという方は、先生にどんなことをおっしゃいますか?
木  田
不思議なことに、一旦タバコをやめるとタバコが大嫌いになるみたいですね。
住  吉
人は変われるということなんですね。
木田先生は、健康診断は欠かさず受けていますか?
木  田
我々は職場で健診をしますので、必ず受けています。
住  吉
それでは最後に、木田先生の「健康の秘密」を教えてください。
木  田
健康の秘密は“運動習慣”です。小学校の頃は音楽と体育が一番苦手だったんですが、中年から運動はずっとやっていて、最初の頃は泳いでいましたし、今は1週間に3、4回はジムに行っています。汗をびっしょりかくような運動をしています。
住  吉
COPDに関する木田先生のご著書『息切れで悩むCOPD』が法研から発売中です。ぜひチェックしてください。木田厚瑞先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関で呼吸機能検査を受けてみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
6月6日(木)のゲストは、映像ディレクターの河原一久さんです。次回もどうぞお楽しみに!