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第114回 河原一久さん

第114回 河原一久さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、『読む寿司 オイシイ話108ネタ』の著者、河原一久さんです。
河  原
よろしくお願いします。
住  吉
河原さんは映像ディレクターで、スター・ウォーズ研究でも知られていらっしゃる方なのですが、今回は「寿司」に関する本を発表されました。これは、どうしてでしょうか?
河  原
外国から友達が日本へ観光に来たりするじゃないですか。その時に、「お寿司が食べたい」と言われて、連れて行くんですけれども、うまく寿司の説明ができないんですよね、意外に。食べ方とか、マグロだなんだ種類は言えるんですが、それ以上話すことがなくて。これはちょっと良くないなと思って調べ始めたら、かなりおもしろかったんです。
住  吉
ご本には108のトリビアが詰まっているんですけれども、今日はその中からいくつかシェアしていただきます。

お寿司に関する素朴な疑問 その1
「魚へんの『鮨』と、寿の『寿司』、違いはなに?」
住  吉
私はわからないんですが、予想するに…魚へんの方は、一つの種類の魚をのせた握りのことだけの意味とか? 魚へんだから、魚の一種みたいな扱い。どうでしょうか?
河  原
違います! 簡単に言うと、全部同じなんですよ。同じなんですけど、元々、押しずしやなれずしが関西にあったじゃないですか。あの時は、魚へんに乍(ながら)と書いて「鮓(すし)」だったんですが、江戸にうつってきて、同じように握りずしができてからも、その魚へんに乍の「鮓」だったんです。これは諸説あるんですが、天保3年の時にマグロが大量発生したんですよ。それをきっかけに、握りずしの店でもマグロを扱うようになったんです。それで、この魚へんに旨と書く「鮨」が、昔はマグロという意味もあったらしいんです。マグロというよりも「シビ」、クロマグロのことをシビマグロと言うんですけれども、「シビ」とも読んでいたので、お店の看板で「とんかつ」「ラーメン」など出ているのと同じように、「マグロ」という形で使われていたようなんですよね。それが「すし」と混同して…というような。本にも書いたんですが、昔、フランスに「レストラン」という料理があったんですよ。それで「レストランがあります」という形で出ていたんですけれども、それがいつのまにかお店の名前に変わっていった…ということもあるので、そのような形なのではないかなと。それで、寿に司と書く「寿司」というのは、だいたい明治以降、江戸の頃から使われるようになったんですが、寿はめでたいじゃないですか。縁起がいいので、当て字で。元々はファストフードでしかなかったので、少し背伸びした名前にしたんじゃないかなと思います。

お寿司に関する素朴な疑問 その2
「握り寿司はなぜ2貫ずつ一緒に出てくるの?」
住  吉
これは…便箋を1枚で書いた時、1枚だけで出すと失礼だということで2枚目をつけるじゃないですか。それと同じで、1貫だと何となく失礼だから?
河  原
失礼だから、ではないんですよね。元々、握り寿司は大きかったんですよ。今の倍以上かな。だいたい、カウンターで食べる握りのお米の量が8〜10gぐらいで、桶に入っているのが12、13gぐらい、出前になると18gなどとだんだん増えていくんですけれども、江戸時代の頃は40〜60gとか、大きかったらしいんですよ。大きさもバラバラで、異常に大きい寿司もあったらしいんですけど、第二次世界大戦後に寿司の委託加工という制度があって、要はお米が配給制だったんですよね。そのお米1合をお寿司屋さんに持って行って、寿司を作ってもらう。その時に、握りが10個で巻物が2個と定められたんですよ。そうすると、1貫の大きさが現在ぐらいの形になって。でもそうなると、ちょっと物足りなかったりもするじゃないですか。それで、2貫だと満足感もあるので、2貫ずつ出すということが増えたらしいんですよね。ただ一方で、アジやアナゴなど、食材によっては1匹の中の取れる部分で味が微妙に変わるものがあるんです。その両方を楽しんでもらいたいために2貫出すというお店もあります。