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第121回 福田洋さん

第121回 福田洋さん

住  吉
個人としても企業としても大切なのは、どうやって「健康に働く」ということを実現するか、だと思います。そこで出てくるのが「健康リテラシー」というキーワードです。
福  田
はい。「ヘルスリテラシー」とも言います。健康に関するリテラシー(読み書き能力)ですから、健康や医療に関する正しい情報を入手して見極め、理解し、活用できる個人の能力、つまり「健康情報力」のことです。
世界中で健康格差が広がっていると言われていて、日本でも健康の差が開いてきています。健康リテラシーの低い人は、糖尿病のコントロールが悪かったり、医療費が高くなったり、検診の受診率が低いなどの差が指摘されています。
住  吉
どういう時にどういう健康行動を取ればいいのか、どこにお金をかければいいのかなど、色んな情報を取ってきて、自分の健康のために活用できるかどうか…ということですよね。その健康リテラシーを上げることがすごく大事になってくると思うのですが、上げるにはどうしたらいいのでしょうか?
福  田
一番重要なことは、健康を自分事にするスイッチを入れることなんです。でも残念ながら、多くの人は病気になって初めてこのスイッチが入ります。例えば、乳がんを患った社員さんは、退院して帰ってくると、最新の抗がん剤や放射線治療について誰よりも詳しくなっています。でも、できれば病気になる前に、例えば「家族に心配な症状がある」「同僚に相談された」などきっかけは何でもいいので、そういう時に好奇心のスイッチを押していただきたいと思います。
もっと手っ取り早く知識を得たいという人は、日本医師会も監修している、「日本健康マスター検定」というヘルスリテラシーを高める検定があります。健康経営に取り組む企業の従業員の方などを中心に、毎回数千人〜1万人程度の方が受験されています。
住  吉
日常生活の中で心配事がある時、インターネットで調べると色んなサイトやブログが出てきて、どれを信じたらいいのか、不安になることもあると思うのですが、どうやって見極めて情報を入手したらいいのでしょうか?
福  田
これはすごく難しいようですし、それだけ情報が氾濫していますが、とにかく2つ。
1つは、誰が発信しているか。様々な情報がありますが、例えば大学病院や国の研究センターのような公的な機関の先生であれば、そこの看板を背負って発信しますので、あまり自分勝手なことは言えないです。医学の論文でも発表でも、そういった他人の目にさらされながら色んなことを発言しています。ですから、誰が発信しているかということは非常に大事です。
もう1つは、いつ発信したか。インターネットは古い情報も新しい情報も混ざって出てきますので、誰がいつ発信したか、ということに注目して見ていただく。
住  吉
では、なるべく最新の情報の方がいいと。
福  田
そうですね。
住  吉
「Blue Ocean」のリスナーには働く世代の方が多くて、外へ仕事に行っている方も、家で家事に育児にフル回転という方も多いのですが、そういう働き盛り世代に向けたアドバイスがあったら、ぜひお願いします。
福  田
会社でも家庭でも倒れられない、重要な役割を担っている方が多いと思います。ですから、自分の健康に少しでも「投資」をしてほしいと思います。お金をかけるということだけではなく、時間を使ったり、健康診断を受けていただいて、その結果を活用していただく。私が健診や臨床医をしていますと、健康診断の結果で引っかかっても、皆さん病院に行かないんです。私たちの調査によると、例えば糖尿病の人は5割しか病院に行かないんです。高血圧の人は7割が治療しない、コレステロールや中性脂肪が高い脂質異常の方は、9割が治療していません。
住  吉
それが後々もっと重大になってしまうことも?
福  田
そうですね。それが脳梗塞や心筋梗塞の原因になることもあります。ですから、健康診断を受けていただいて、結果が返ってきたら、5分でも10分でもいいのでじっくり見ていただく。それだけでも投資になると思います。
住  吉
福田先生も健康診断は欠かさず受診されていますか?
福  田
もちろん受けています。今、大学病院では、医療職、特に医師の健診受診に関して非常に厳しくなっています。医療安全や感染症の立場からも、私たちの病院で働く医師は、健康診断を受診したり、ワクチンを接種しないと、外来することを禁じられています。
住  吉
では最後に、福田先生の健康の秘密を教えてください。
福  田
健康の秘密は、“情報力”です。
住  吉
色んな情報の中から、自分のために正しい情報をつかみ取る力、そして活かす力ですね。福田洋先生、ありがとうございました!
ここで、働くあなたの健康をサポートする協会けんぽからのお知らせです。今年の4月に、協会けんぽに加入している皆さんのお勤め先に生活習慣病予防健診のご案内をお送りしています。来年3月までの期間のうち、お1人様1回に限り、協会けんぽが健診費用の一部を補助します。年に一度はフィジカルチェック。まずは健診機関を確認して、受診の予約をお願いします。詳しくは「協会けんぽ」で検索してください。
8月1日(木)のゲストは、ダンサーのスティーブン・ヘインズさんです。次回もどうぞお楽しみに!