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第126回 渡邊清高さん

第126回 渡邊清高さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、帝京大学医学部腫瘍内科 准教授 渡邊清高先生です。
渡  邊
よろしくお願いします。
住  吉
今日のテーマはずばり「大腸がん」です。日本人の2人に1人が一生のうちがんにかかると言われているそうですが、これは本当なんですか?
渡  邊
そうなんです。正確には「生涯累積罹患リスク」という言い方をするんですが、一生のうち、生まれてから亡くなるまでに何らかのがんにかかる確率というのは計算できていて、男性ですと一番最新のデータで62%、2人に1人を超えているんです。女性ですと47%、2人に1人ですので、決して珍しい病気ではないんです。
住  吉
そんな中、今日を取り上げるテーマが「大腸がん」なんですが、患者さんは実際どのくらいいるのでしょうか?
渡  邊
がんにかかる人は、罹患率という言い方をするんですが、男性ですと10万人あたり124人、女性ですと88人。この数字だとピンとこないかもしれませんので、先ほど言った生涯累積罹患リスクで言うと、一生のうちに大腸がんにかかる方は、男性ですと11人に1人、女性ですと13人に1人。ですので、こちらも決して珍しい病気ではないということになりますね。
住  吉
死亡率で言うと、他の色々ながんに比べて大腸がんというのはどのくらいなんでしょうか?
渡  邊
年間にがんで亡くなる方は大体34~36万人と言われていますが、その中で大腸がんで亡くなる方は、男性ですと2.7万人、女性です2.3万人で、男性のがん死亡の中では第3位、女性では第1位です。
住  吉
第1位なんですね。
大腸がんの原因はわかっているんですか?
渡  邊
こうすれば大腸がんになるとか、これを食べると、もしくは食べないと大腸がんになる、というはっきりとした因果関係があるわけではないんです。ただ、いくつか大腸がんのリスクを上げるものがあるということは、欧米の研究や、日本人を対象とした研究でもわかっています。欧米ですと、飲酒や体脂肪、身長が高いことがリスクになる、と報告されています。
住  吉
身長が高いことがリスクになるんですか?
渡  邊
はい。これも、はっきりとしたどういう要素で大腸がんになりやすいのかというところまでは、きちんと説明ができていないのですが、色々な生活習慣や運動習慣という影響を考えても、やはり高身長というのはリスクとして挙げられています。これは欧米を対象とした研究ですので、日本人の場合ですと、飲酒や肥満、ハムやベーコンなどの加工肉のとりすぎ、あとは糖尿病も大腸がんのリスクを上げるのではないかと言われています。
住  吉
罹患すると、まずどんな症状が現れるのでしょうか?
渡  邊
実は、大腸がんの進行していない状態、いわゆる初期の状態というのは、ほとんど症状がないんです。大腸は、食べたものを排泄する通り道ですので、便が赤くなったり、出血が混じるようなお通じが出たり、便が細くなったり、便秘と下痢を繰り返す、なんとなくお腹が張る感じが続く、ということが症状として出ることが多いです。ですが、お腹に何らかの症状が出る頃には、進行して見つかることが多いですから、症状が出る方もいらっしゃれば出ないこともあるので、人によっては診断が難しいこともあります。
住  吉
死亡率の順位は、先ほどおっしゃったように、がんの中で言うと男性は3位で女性は1位と高いのですが、早期に発見すれば治りやすいがんである、というのも本当ですか?
渡  邊
そうですね。大腸がんというのは、今お話ししたように食べ物の通り道ですので、腸の中に何か出血を起こしているようなことを早く見つける、検出すると言いますが、そういったことを早く探ることによって、それがポリープなのかもしれないですし、腸の粘膜が荒れて一時的に出血しているだけかもしれないです。痔かもしれないです。ですが、その中に大腸がんが隠れていることもあって、それは検査をしないとわからないんです。ですので、検診と言って、お通じを調べて、中に出血が混じっていないかを調べることによって、大腸がんの可能性があるのか、あるいは特に出血しているところがなくて問題ないのか、ということを調べることができます。
住  吉
調べて早く見つかれば、治すことができる?
渡  邊
そうですね。
住  吉
便に血が混じっていると良くない印かもしれない、とおっしゃいましたが、大腸がんの検診というと、広く一般的なのが検便の検査ですよね。それがまさに、血液が混じっているかどうかを見る検査ということですか?
渡  邊
はい。大腸で、食べたものが消化されてお通じとして排泄されるわけですが、その通り道の中に、出血をしているような病気が隠れている場合には、便に血が混じることがあります。ただ、それは目に見える場合もありますが、多くの場合、特に早期の大腸がんの場合には、目に見えないので、検査をしないとわかりません。今ですと、便潜血2回法という言い方をしますが、別の日に2日間お通じをとっていただいて、それを検査する。その中に血液の成分が混じっていないかを調べるんです。それによって、2日とも便に血が混じっていないということであれば、検査は問題ないということになります。1回だけではきちんと判定するには少し十分でなく、検出ができないのではないかということで、より確実に検査をするために、2日間に分けてお通じをとったものを検査して、どちらかでも血が混じっているようであれば、もう少し詳しく調べてみましょう、ということになるんです。