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第130回 宮川智行さん

第130回 宮川智行さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、東京都 福祉保健局の宮川智行さんです。
宮  川
よろしくお願いいたします。
住  吉
「受動喫煙防止条例」という言葉、聞いたことがありますよね? でも、具体的にどんな内容なのか、いつ何がどう変わるのか、きちんとわかっている人は意外に少ないかもしれません。
宮川さんは、東京都受動喫煙防止条例の担当課長でいらっしゃるということで、詳しく伺いたいと思います。
まず、この条例は昨年2018年6月に成立したそうですが、都の条例の狙いはどういったことでしょうか?
宮  川
「受動喫煙」とは、他人のタバコから発生した煙にさらされることですが、こちらは健康に悪影響を与えることが科学的に明らかにされています。肺がんや乳幼児突然死症候群とのリスクを高めると言われていますし、日本では受動喫煙による年間の死亡者数が約1万5千人と言われています。また、受動喫煙のある人は、ない人に比べて肺がんのリスクが約1.3倍になるという風に言われています。こうしたことを踏まえまして、「受動喫煙による健康影響を防ぐ」という狙いから、昨年度、都において条例を制定いたしました。
住  吉
特に、子供たちを守るというのが目的だそうですね。
宮  川
そうですね。子供たちを守るというのも一つの柱です。昨年、まず国の方で健康増進法が改正されまして、多数の者が利用する施設においては、一定の場所では禁煙ということが定められました。加えて、都におきましては、健康影響を受けやすい子どもたちを守る、それから受動喫煙を防ぐにくい立場である従業員を守る、この二つの観点から独自のルールを定めました。
住  吉
では、条例の内容をわかりやすく教えていただけますか?
宮  川
はい。現在、条例を段階的に施行しており、来年の4月に全面施行いたします。まず、この9月からは東京都独自のルールとして、受動喫煙による健康影響が大きい子供たちを守るため、幼稚園、保育所、小学校、中学校、高校、こういったところでは敷地内における屋外も禁煙となっています。また、飲食店においては、店内禁煙か喫煙できる場所があるかを示す店頭表示が義務づけされています。来年4月の全面施行時においては、受動喫煙を防ぐにくい立場である飲食店の従業員を守るため、東京都独自のルールとして、従業員がいる飲食店では原則屋内禁煙となります。喫煙は、一定の基準を満たした喫煙専用室のみで可能となります。なお、従業員のいない飲食店では、禁煙にするか喫煙にするか、経営者の方が選択できます。
住  吉
つまり、自営でお一人でやっているお店なら喫煙のまま続けることができるけれども、一人でも、例えばバイトさんなどを雇っていたら、禁煙にしなければいけない?
宮  川
そうですね。原則禁煙で、タバコを吸いたいということであれば、一定の基準を満たした喫煙室を設ける必要があります。
住  吉
今、たまにお店に、喫煙する方はこちらでお食事してください、というようなガラスなどで仕切られた部屋がありますが、あれもダメになるんですか?
宮  川
飲食しながらタバコを吸うことはできなくなります。タバコのみ吸うことはできます。
住  吉
会社などにもあるような、喫煙室を設置するのはいいけれども、吸いながら飲食できる部屋で吸う、ということはなくなるんですね。
宮  川
そういうことです。ただし、加熱式タバコに関しましては、飲食しながら加熱式タバコが吸える部屋を設けることもできます。
住  吉
なるほど。
歩きタバコなども気になるのですが、こちらはどうなりますか?
宮  川
今回の法律条例においては、屋内の受動喫煙による健康影響を未然に防ぐことを目的としているため、路上での喫煙に関する規制はありません。ただ、今回、屋内においても屋外においても、喫煙する際には受動喫煙を生じさせないよう、周りの方に配慮するように義務付けされていますので、屋外においてもタバコを吸う際にはこれまで以上に周りの方に注意していただきたい、ということが法律や条例の中でうたわれています。一方、路上喫煙に関しては、各市区町村でルールを定めている場合がありますので、それぞれの市区町村のルールを確認していただければと思います。