第138回 ゴスペラーズさん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、ゴスペラーズの北山陽一さん、安岡優さんです。
- 北山・安岡
- よろしくお願いします。
- 住 吉
- ゴスペラーズ、今年メジャーデビューから25周年。おめでとうございます!
- 北山・安岡
- ありがとうございます。
- 住 吉
- すごいことですよね。
- 安 岡
- びっくりしちゃいますよね。数字だけ聞くとね。だけど僕らは1回も止まらずに、休止とかもなくやってきたので、第一部、第二部みたいな感覚が全然ないんですよね。ずっと第一部なんです。
- 住 吉
- 人生のようですね。新しい時代のアカペラグループという意味では、ゴスペラーズが草分け的な存在ですよね。
- 北 山
- 色々な系譜があるとは思うんですけれども、僕らがデビューした時には僕らがやろうとしているスタイルは全く理解してもらえなくて。シングルを出していたんだけど「アカペラもやるんです」と言うと「アカペラって何ですか?」となって、その場で歌うんだけど「でもこれはシングルじゃなくて…」みたいな(笑)。毎回毎回色々と大混乱が起きていましたが…。今はもう「アカペラ」と言えば、誤解もあるとは思いますが、だいたいみんなわかってくださいます。
- 安 岡
- 「人の声だけで演奏する」というね。もちろん大先輩方にいらっしゃるんですが、僕らがデビューした時の同世代、若者は、日本ではあまりいませんでした。でも当時、アメリカでは実はハーモニーグループがむしろ全盛期で、大流行りだったんです。Boyz Ⅱ Menをはじめとして。だから僕らとしては、最先端の今一番イケている音楽をやっているつもりだったのに、日本だと「なんで若いのにそんな古くさいことをやっているの?」というような言われ方をしてしまって。
- 北 山
- 「全員マイクを持っているのにアイドルじゃないんだ」と言われたり。
- 安 岡
- 「踊らないし楽器も弾かないってどういうこと?」と。最初は理解していただくのに時間がかかりましたね。
- 住 吉
- アカペラと向き合って25年以上だと思いますが、色々と通ってきた今、アカペラの魅力はどんなところでしょうか?
- 安 岡
- 最初から変わらず、シンプルに「手軽だ」ということだと思います。でもそれはすごいことで、いつでもどこでも音楽を始められる。
- 住 吉
- 道具がいらない?
- 安 岡
- 道具がいらない、電源もいらない、楽器もいらない。お金があるとかないとかも関係ないし、子供だとか大人だということも関係ない。でも、そういう意味では音楽の原点に一番近い、「歌いたい時が歌える時」というのは、アカペラの良さかなと思います。
- 住 吉
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そして、2018年に20周年を迎えた、苗場のコンサート。ゴスペラーズの冬の風物詩となっていますが、2020年2月28日(金)、29日(土)、苗場プリンスホテルで開催されます。
さらに今年の10月30日には、25周年を記念したシングル『VOXers』をリリースされました。 - 安 岡
- 「VOX」は「声」を意味する単語で、それとスポーツの「ボクシング」をかけた造語です。
- 住 吉
- 今回のシングルは「ケンカアカペラ」と伺いました。
- 安 岡
- そうです。アカペラは、綺麗とか美しいとかそういうイメージを持っていらっしゃる方がいると思うんですが、それだけではなくて、人の声だけしかないということは、逆に言うと、人の声同士のぶつかり合いなんです。隣の人と揃えよう揃えようばかりではなく、5人がバラバラに違う声をぶつけ合ったら、どんなアカペラができるだろうという、僕らがデビューの頃から目指していたもう一つのアカペラなんです。それを今までシングルとしてはなかなか伝えることができなくて。ライブでは、ファンの方々は実はそこの部分が好きな方もたくさんいると思うんですが、初めてシングルとしてそういうアカペラを。これはそういう意味では、新しいアカペラだと思います。
- 北 山
- 僕らは色々なアカペラがあると思っているんですが、そのうちの一部しか認知してもらっていないんです。今だと「ケンカ」という言葉と「アカペラ」という言葉はあまり親和性がないと思われていると思うんですが、僕らにとってはすごく自然なことで、歌を集めたらアカペラになるわけで、歌って色々な歌があるでしょ。だから、激しい歌を集めたら激しいアカペラになるはずなんですが、激しいアカペラというのは何なのかをわかってもらっていないので、「ケンカアカペラ」というのは僕らの大事な大事な柱なんです。それをやっと25周年のシングルとして世に送り出すことができました。