第139回 岩岡秀明さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で船橋市立医療センター 代謝内科部長の岩岡秀明先生です。
- 岩 岡
- どうぞよろしくお願いいたします。
- 住 吉
-
今日は「糖尿病とその合併症について」がキーワードです。岩岡先生は「糖尿病」のスペシャリストということで、今日は詳しく伺っていきます。
まずは、リスナーのあなたに問題です。
【問題】糖尿病の予防や治療で耳にする「インスリン」とは、いったい何でしょうか?
1. 糖尿病の治療に使う飲み薬の名前
2. 糖尿病に関係の深いホルモンの名前
3. 糖尿病の原因を解明したドクターの名前 - 住 吉
- 私の答えは「2. ホルモンの名前」です。先生、いかがでしょうか?
- 岩 岡
- 素晴らしい。正解ですね。1921年にカナダのバンティング博士とベスト博士が発見した、血糖値を下げることができる、人間の身体にある唯一のホルモンです。他のホルモンは血糖値を上げてしまうんです。
- 住 吉
- そのインスリンと糖尿病が深く関わっているんですね。
- 岩 岡
- はい、そうなんです。インスリンが足りなくなる、または作る力がなくなる、働きが悪くなる、それで糖尿病になると言うんです。インスリンの治療としては、まだ注射薬しかありません。
- 住 吉
- 患者数はどのくらいいるのでしょうか?
- 岩 岡
- 日本人では、明らかな糖尿病の方が約1000万人、予備軍が約1000万人、合わせて約2000万人。ですから全人口の約6人に1人。
- 住 吉
- 多いですね。
- 岩 岡
- でもこれは0歳から100歳までですから、40歳以上に限りますと予備軍を含めて約3人に1人は糖尿病かその予備軍です。
- 住 吉
- そうなんですね。ちなみに糖尿病になりやすい人はいるのでしょうか?
- 岩 岡
- よく生活習慣病と言うのですが「2型糖尿病」と言っている病気は、生活習慣は実は半分ぐらいで、半分は遺伝的な体質ですね。ですから、親、兄弟、おじいちゃん、おばあちゃんぐらいに糖尿病の方が家系にいる方は要注意です。プラス、特に家系にいなくても、肥満してくる方。特に、20歳の頃の体重から比べて10%以上増えている方。それから、すごく運動不足の方、すごくストレスが多い不規則な生活をしている方。そういう方は多いですね。ですから、現代人に多いと。当てはまる方が沢山いるので、この30年でどんどん増えています。
- 住 吉
- 初期症状はどんなものが出てくるのでしょうか?
- 岩 岡
- 実は、初期症状はほとんどないんです。というのは、血糖値が上がってきても軽いうちは何も症状がなくて、正常血糖はだいたい空腹時で100未満と覚えておくといいのですが、150くらいでは何もなくて。すごく血糖値が上がってくると、ものすごく喉が渇く、やたらお水やお茶を飲む、トイレの回数が増える、急に体重が減る、異常に疲れやすい、こういう症状のどれかがあれば、すぐに病院に、今日にでも行った方がいいです。
- 住 吉
- 「急に体重が減る」ということもあるんですか。
- 岩 岡
- そうなんです。よく太っている人が糖尿病というイメージがありますが、体重が増えている時に、実は発症した時はまだ軽くて、我々の病院に来る時は体重が急に1ヶ月で5kgも減ってしまったと。減ってきた時はすごく悪化しています。ですから、太っているうちだとまだ軽い。インスリンというのは脂肪を蓄える作用があるんです。ですから、インスリンが出ているうちはまだ糖尿病にならないのでどんどん太る。そしてインスリンの出が悪くなってくると痩せてしまう。尿に糖がどんどん出ると、尿を通ってものすごくカロリーが失われるので、それで痩せてしまう。身体にエネルギーが入っていかないんです。
- 住 吉
- 先ほど年齢の話も少しされましたが、20~30代の若い世代の方には関係がある病気なのでしょうか?
- 岩 岡
- かつては40歳以上に多いと言われたのですが、今の時代ですと、不規則な生活やストレスが多い方、糖質を沢山食べて太るという方が20代、30代でも増えてきているので、若い方でも他人事とは思わないで、毎年1回は健診を受けて、血糖値を測るということが大事です。