第139回 岩岡秀明さん
- 住 吉
- あと、糖尿病は合併症が怖い病気だと聞きますが…。
- 岩 岡
-
そうです。合併症も色々あるのですが、覚え方があって、私たちもよく患者さんに話すのですが、きのこの名前で覚えます。まず、「し・め・じ」と覚えてください。「し」は神経、「め」は目、「じ」は腎臓で、これが糖尿病に特有な三大合併症です。
「神経障害」というのは、両足の先がしびれる、ジンジン火照る、痛む、あとはしょっちゅう足がつる。神経というのは足の方から来るんです。足先の方から来るので、手もしびれることがあるのですが、先に足に来ます。これが神経症で、これが一番先に出ます。
次に「目」ですが、これは「網膜症」という、カメラでいうフィルムにあたるところです。そこに小さな血管のコブやシミが出てきます。視力障害はうんと進まないと出てこないんです。私たちは目の中心で見ていますが、端の方から起きる。眼底という、眼科に行ってしっかり瞳を開いて目の検査を受けないとわからないんです。
「腎臓」は、おしっこにタンパク尿が出てきて、それがだんだん増えてきて最終的には腎不全になると、週に3回、透析センターへ行って血液透析を受けなければいけない。透析の原因疾患の約45%は糖尿病。一番多い原因が糖尿病なんです。それから、目が見えなくなる方も年間で約3000人。失明原因の第2位なんです。ですから糖尿病は「し・め・じ」がとても大事。 - 住 吉
- 「し・め・じ」の順番で?
- 岩 岡
- そうです。
- 住 吉
- 糖尿病になって、合併症をなるべく防ぐという方法はあるのでしょうか?
- 岩 岡
-
まず糖尿病を早期に発見する。そのために健診を受ける。そして、しっかり病院に行く。しっかりその後コントロールする、そのコントロールで大事なのは「A・B・C」と覚えるんです。
「A」は「A1c」。「HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)」と言って、過去1~2ヶ月間の平均血糖を表す数字です。正常な人はだいたい5%。これを7%以下にする。
「B」は「Blood Pressure」、「血圧」です。「C」は「コレステロール」。
ですから、「A・B・C」という3つの指標。これを下げた状態で保つと合併症にはなりません。 - 住 吉
-
そして、リスナーの皆さんから質問が来ています。
「夫が健康診断で糖尿病と診断されました。好き嫌いが多い夫なので、食事を考えるのが本当に大変で、お米が大好きなんですが、主食を食べさせる時にどんな工夫をすればいいですか?」という、糖尿病になってしまった時の食事法はどうしたら良いのでしょうか? - 岩 岡
- 糖質が一番血糖値を上げるんです。ご飯、パン、パスタ。実は食べる順番が大事で、お米が大好きな人はご飯をバクバク食べてしまうんですが、先に野菜を食べていただいて、汁物を飲んで、それからお肉やお魚、最後にご飯を食べるようにしていただくと、血糖値の上がりが抑えられます。これは腸から出る、血糖値を抑えてくれるホルモンの分泌が促進されるんです。それと、ゆっくり20分ぐらいかけて食べる。
- 住 吉
- 満腹中枢が刺激される?
- 岩 岡
- おっしゃる通りです。
- 住 吉
- 糖尿病になると、こうやって生活が一変して、食事もそうですが、家族にも影響が出るし、子育て中であれば子供の食事はどうするのかということも大変ですよね。
- 岩 岡
- そうですね。ですから、糖尿病の予防が一番大事で、健診をきちんと受けること、あと健診を受けてもそのまま結果をスルーしてしまう方が結構多いので、必ず異常値が出たら症状がなくても内科の近くのお医者さんを受診していただくことが大事です。
- 住 吉
- 岩岡先生ご自身も健康診断は欠かさず受けていますか?
- 岩 岡
- はい。毎年2回、病院できちんと受けています。
- 住 吉
- それでは最後に、岩岡先生の健康の秘密を教えてください。
- 岩 岡
- 健康の秘密は“ストレスの発散”です。私の場合はロックが大好きですので、山下達郎さんやThe Whoを聴きながら、大好きな車で運転しています。
- 住 吉
-
やはり音楽は発散になりますよね。岩岡秀明先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。日本人の4人に1人は、糖尿病かその予備軍と言われています。食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、喫煙、ストレスなど、生活習慣の積み重ねによって自覚症状のないまま進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす怖い病気、糖尿病。協会けんぽでは加入者ご本人様向けに、糖尿病やその予備軍を見つける手がかりとなる、生活習慣病予防健診をご用意しています。早期発見、早期治療のためにもぜひご利用ください。
12月5日(木)のゲストは、シンガーソングライターの奥華子さんです。次回もどうぞお楽しみに!