第143回 山西敏朗さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、新宿区「山西クリニック」の院長、山西敏朗先生です。
- 山 西
- おはようございます。よろしくお願いします。
- 住 吉
-
今日のテーマは、「花粉症とジェネリック医薬品」。
花粉症の方で「今はまだ大丈夫でしょ」という方もいると思います。2~3月ぐらいから花粉が飛び始めるかなというイメージだと思うのですが、飛び始めるタイミングや、2020年は実際どのぐらいになりそうかなどはわかっているのでしょうか? - 山 西
- まず、2020年の花粉の予測が出ていまして、例年より少ないと言われています。それは、2019年の夏の気温や日照時間、雨量などから予測されます。でも、花粉量が例年より少ないからといって、決して安心はできません。毎年必ず花粉症になる人は、花粉が少しでも飛んでくれば症状が出てきますから。そのXデーはだいたい2月10~14日です。
- 住 吉
-
割と早いですよね。
改めておさらいですが、花粉症とはどんなものなのでしょうか? - 山 西
- 花粉はそもそも、例えばスギやヒノキなど、身体にそんなに有害な物質ではないですね。でもそれが鼻の中に入ると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、それから目にくっつくと目のかゆみ。これを4大症状と言います。これが日常生活に支障をきたして、QOL(生活の質)が下がる、という症状です。
- 住 吉
- 花粉症になっている方が増えていますよね。
- 山 西
- どんどん増えています。今、都心部では3人に1人です。多いですよね。
- 住 吉
-
3人に1人ですか…!
花粉症になる人とならない人がいるのはなぜですか? - 山 西
-
色々な説があるのですが、そもそも花粉は、戦後の焼け野原にスギの植林を政策として行われたんですね。それが芽を出して、花をつけて、花粉が飛ぶ…それがちょうど1960年以降からたくさん花粉が飛ぶようになってきたんです。それがまず一つ。
それから、衛生仮説と言うのですが、我々は今色々なものに抗菌、それから感染症をとにかく抑えるために抗生剤だらけ、そういうことをすると身体の免疫バランスが変わってきてしまうんですね。それで、大したことのない花粉に異常に反応してしまう人がいます。
それから遺伝的な部分もあります。例えばご両親が花粉症、アレルギー性鼻炎だったりすると、そのお子さんは6~7割、何かのアレルギーが出てくるという説もあります。
そして何といっても、色々な環境や食生活の変化、これが大きいですね。昔の人は和食を食べていましたが、今は洋食に傾き始めてきていて、免疫バランスが狂ってきてしまう。それから大都市ではほとんど道路はアスファルトで、土はないですよね。アスファルトのところでは、花粉がくっついたらいつまで経っても残っています。土に吸収されないわけですよね。そういう色々なことが複雑に絡み合って、花粉症になってしまう人が増えてきています。 - 住 吉
- 最近は、スギやヒノキ以外の花粉症も増えているそうですね。
- 山 西
- そうですね。実は花粉は、ほぼ1年中飛んでいるんですよ。スギやヒノキだけではなく、ハンノキやシラカバ、カモガヤ、秋にはブタクサなど、とにかく1年中飛んでいて、非常に可能性が増えています。
- 住 吉
- 花粉症に対する最新の治療というのは、どのようなものが今注目されていますか?
- 山 西
- 今までは、内服の抗ヒスタミン薬や点鼻スプレーなどを使っていたのですが、最近は、貼る抗ヒスタミン薬を腕に貼って治したりするんです。それから免疫療法と言いまして、今までは注射をしていたのですが、口の中に花粉のエキスを垂らして治す「舌下免疫」という治療が最近は確立されています。
- 住 吉
- 舌下免疫を行いたいという場合は、花粉症の時期より前から治療を始めた方が良いのでしょうか?
- 山 西
- おっしゃる通りで、初めて導入する方は6~12月までに受診しておかないといけないですよね。
- 住 吉
-
では今からだとちょっと遅いですね。
2021年を見越して今から始める、というのはアリなのでしょうか? - 山 西
- 初めてスタートする時は、6月以降になります。
- 住 吉
- そうなんですね。先生も舌下免疫治療を行ったことがあるそうですね。
- 山 西
- そうなんです。ひどいスギ花粉症で、薬も点鼻薬も効かなくて困ってしまって。それで舌下免疫治療を3年半ぐらいやりましたね。
- 住 吉
- 毎週ですか?
- 山 西
- 毎日です。
- 住 吉
- 毎日ですか! では自宅で?
- 山 西
- そうです。歯磨きの習慣があるので、必ず決まった時間、朝に口の中に入れるということは、そんなに大変ではないです。
- 住 吉
- ずいぶん変わりましたか?
- 山 西
- 絶好調になりましたね。