第143回 山西敏朗さん
- 住 吉
-
症状がひどい方は、今どんどん治療法が出てきていますので、いつも通っている耳鼻科の先生などに相談してみるのも手かなと思います。
ここで、リスナーから質問が来ているので、山西先生に伺います。
「花粉症について質問です。私は30歳頃から花粉症になったのですが、“歳を取ると治る”とか“30年経つと治る”とか聞いたことがあります。本当のところはどうなのでしょうか?」 - 山 西
- 花粉症は、元気いっぱいの人に多いんです。有病率は働き盛りの中高年が最も多いと言われています。身体の免疫が強く反応するというのが花粉症の症状なんです。そもそも花粉は、そんなに身体に害はないじゃないですか。それが異物として捉えられて、とんでもなく反応してしまう。つまり身体の免疫が元気いっぱい過ぎるんですね。だから、年齢と共に花粉症状、アレルギー症状が治まってくるという考えはあるんですよ。
- 住 吉
- では、この“歳を取ると治る”というのは本当なんですか?
- 山 西
- そういう説はあります。でも、今は元気いっぱいのご高齢の人がすごく多いですよね。だから、元気いっぱいなのは良いことですが、アレルギー反応も出てしまいます。
- 住 吉
- そもそも花粉症にならないための予防策はないのでしょうか?
- 山 西
- 食生活は重要ですね。毎日規則正しく、バランスの良い食生活をする。ストレスも影響すると言われていますから、なるべくストレス発散できるように。それから、花粉がたくさん飛んでいるところにわざわざ行かないようにするということも大事だと思います。やむを得ず行く時は、マスクやメガネをする。あと最近面白いものがあって、鼻の中にワセリンを塗るんです。目の周りや鼻の入口にワセリンを塗ると、花粉の分子がちょうどそのワセリンのところでブロックされます。実はこれは、昔からイギリスなどで予防的に使われているような有名な方法なんです。
- 住 吉
-
そうなんですか。簡単ですね。
あと、花粉症の薬を保険適用外にしたらどうか、という意見があると伺いました。 - 山 西
- 「スイッチOTC」と言いますが、我々医師の処方箋を必要とする薬、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬が、今は処方箋がなくてもドラッグストアで買えるんです。これは医療費削減の一環としてそういう話があるということも事実です。
- 住 吉
- 花粉症の時に、受診しなくても買える薬を薬局で買って、花粉症と付き合っていくというのはどうなのでしょうか?
- 山 西
- 実はそこには落とし穴があって、毎年花粉症だから薬局やドラッグストアで買えばいいやと思っている方、ずっと鼻がつまっていて受診したら、鼻の中にがんが見つかったりしているんですよ。だから一概に過信してはいけないんですね。本当に花粉症なのかアレルギー性鼻炎なのか、他の病気、鼻の中にポリープがあったり、慢性副鼻腔炎の方もいます。診断して、必要な治療薬、これを行うのが耳鼻科医の役割ですから、何となく花粉症だからと思ってドラッグストアで安易に薬を買うということは、あまりお勧めはできないと思います。
- 住 吉
- そして、今日のもう一つのテーマが「ジェネリック医薬品」です。ジェネリック医薬品はだいぶ馴染んできたと思いますが、花粉症の治療でも使うことができるのでしょうか?
- 山 西
- はい、できます。ジェネリック医薬品というのは、Aという先発品、最初からある薬と構造式が全く一緒で添加物が少し違うという薬で、開発に費用がかからなかったので少し安くお手元に届く、という薬なんです。ただ、これは医師の処方箋がないと手に入りません。
- 住 吉
-
今日は花粉症とジェネリック医薬品のお話を伺いました。
山西先生も健康診断は欠かさず受けていますか? - 山 西
- はい、受けています。
- 住 吉
- それでは最後に、山西先生の健康の秘密を教えてください。
- 山 西
- 私の健康の秘密は“ときめき”です。毎日ときめいて、ドキドキ楽しく過ごす。今日TOKYO FMのビルにお招きいただいて、外を見たら「なんて皇居が綺麗なんだろう」と。それだけでときめいて、「今日はよかったな。お招きいただいて嬉しいな」と。そうやって毎日過ごしていると、免疫力のバランスも良くなってくるんですよ。だから僕にとってはすごく重要です。
- 住 吉
-
なるほど! 山西敏朗先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。くしゃみや鼻水が止まらない、もしかしてその原因は風邪ではなくアレルギーかも。アレルギーの原因は、春先の花粉ばかりでなく、ハウスダストやペットの毛など1年中身近にあるんです。アレルギーの治療にはお薬の定期的な服用が欠かせませんが、そういったお薬にもジェネリック医薬品を使うことができます。協会けんぽ東京支部では、ジェネリック医薬品のご利用をお勧めしています。
1月2日(木)のゲストは、篠笛奏者の佐藤和哉さんです。次回もどうぞお楽しみに!