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第148回 川合厚子さん

第147回 Micacoさん

住  吉
ここからは、リスナーの方からの質問にもお答えいただきます。

「タバコを10年前に妊娠を機にやめましたが、COPDになる可能性はありますか?」
川  合
やめてよかったですね。お子さんのために素晴らしいプレゼントをされたなと思います。おそらくCOPDになる可能性はとても低いと思うのですが、0ではない。でも低いと思いますので、受動喫煙、他の人のタバコの煙も吸わないように、またタバコの煙の匂いがするところには入らないようにしていただければなと思います。
住  吉
ちなみに、やめてから10年後など、時差でCOPDになってしまうケースはあるのでしょうか?
川  合
もちろんあるんです。壊れてしまった肺は元に戻らず、そこに老化で肺機能が落ちていきますので…。
住  吉
なるほど。

「電子タバコを吸う人や電子タバコの副流煙は肺に影響があるのでしょうか?」
川  合
とてもいい質問をありがとうございます。私は今日このことを話したかったんです。結論から言いますと、電子タバコの副流煙というのは、肺に影響があります。今、日本で新しいタイプのタバコ、新型タバコと言われるものには、2つあるんです。1つは「加熱式タバコ」という、タバコの葉っぱを使っているもの。もう1つが「電子タバコ」です。日本で売られている電子タバコには、ニコチンが入っていません。なので、この方は加熱式タバコのことを意味されているのか…。そういう風にタバコの葉っぱを使っている加熱式タバコと、ニコチンの入っていない電子タバコでは、少し違うんです。
住  吉
電子タバコの方はタバコの葉っぱが入っていないので大丈夫、ということではないのでしょうか?
川  合
そうではないんです。エアロゾルという微細なミストが発生します。あれは決して“水蒸気で害のないもの”ではなくて、中に有害成分があって。元の物質が安全とされるものでも、加熱してエアロゾルになると有害に変わるものがあるんです。電子タバコの煙はやはり危険で、肺に障害が起こるという事例がどんどん報告されてきています。
一般の方は、有害物質が多ければ多いほど健康被害も大きい、と考えられる方が多いと思うのですが、タバコに関しては、ごくわずかでも1本でもひと吸いでも発症するリスクが高くなるんです。
一方で、電子タバコや加熱式タバコに変えた方に、変えた理由を聞いてみますと、自分の健康や周りの人の健康を気遣って、少しでも身体にいいのではないかと思って変えている方が多いんです。売る側が「煙が見えない」「匂いが少ない」などと言って売っていますので…。その電子タバコ、加熱式タバコを吸っている方は、そういう風に健康を大事にされている、気遣っている方が多いと思うので、タバコ自体をやめるという選択をしていただきたいなと思います。
住  吉
「自力でやめられないから、せめて…」ということなのでしょうね。
川  合
おそらくそうだと思うのですが、タバコを自力でやめようとする方がとても多いんです。でも、それはもったいない話で。というのは、自力で1年やめられる方というのは、20人に1人くらいしかいないんです。「自分にはもうやめられない」「タバコが必要だ」などと思ってしまうんです。でもそれは非常にもったいなくて、禁煙外来に行ったら、3ヶ月で10人中8人もやめられるんです、きちんと通うと。禁煙外来は楽です。楽で効果的で、少ない費用でやめられるので、少しでもやめたいなと思った方は、禁煙外来を受診していただけたらと切に思います。楽をしてやめることがおすすめです。
住  吉
番組ホームページで「喫煙がCOPDの最大の原因だということを知っていますか?」というアンケートを実施したところ、「知っている」という方が35%、「知らなかった」という方が65%という結果も出ているんです。この結果について、先生はどう思われますか?
川  合
まだまだ少ないですよね。今は少し下がってきているのですが、前は日本人男性の死因の8位にもなったことがあって、500万人以上の患者さんがいます。それだけ、ご本人の生活や日本の医療経済を圧迫している病気であるにも関わらず、まだまだ知られていないというのは本当にもったいないことで、もっともっと知っていただきたいです。
住  吉
COPDについて心配なことがある方は、何科を受診すればいいのでしょうか?
川  合
内科、特に呼吸器内科を標ぼうしているところがおすすめです。と言いますのは、COPDの診断というのは、呼吸機能の検査が中心になるんです。呼吸機能検査はどこでもできるわけではないので、呼吸器の先生の所ではだいたいやっていると思います。また、今かかりつけの先生がいる場合には、まずはかかりつけの先生に相談をしてみるのもいいかなと思います。紹介していただいたり、色々な助言をいただけるかと思います。
住  吉
川合厚子先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関で呼吸機能検査を受けてみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
2月6日(木)のゲストは、シンガーソングライターの片平里菜さんです。次回もどうぞお楽しみに!