文字サイズ

第155回 森田豊さん

第155回 森田豊さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんです。
森  田
おはようございます。よろしくお願いします。
住  吉
新型コロナウイルスの感染が世界中に拡大していて、日常をどう過ごすのか、素朴な疑問を持っている方も多いと思います。
そこで今日は、森田先生に「新型コロナウイルスに関する素朴な疑問」にお答えいただきます。

「子どもたちのストレスが限界です。子どもの外遊びはOKでしょうか?」
森  田
外で遊ぶことで、子供にとってはストレス発散になり、睡眠の質もよくなりますので、そのことが親や家族の心の健康、心の安定にもつながります。
ただ、ある条件を満たしていただいた方がいいと思います。
その条件とは、「(1)風邪や発熱などの症状のあるお子さんは、外出させないこと」「(2)なるべく人ごみを避けること(だいたい1~2メートル)」「(3)公園などには、他のお子さんと共有する遊具があるため、使用したら手洗いをすること」です。

「花見に行きたいけれど、新型コロナウイルスが怖い。歩くだけでも感染するのか? どこまで混雑が大丈夫なのかと考えてしまって…。今年も友達と花見の予定はしています。桜が見たいのですが、どうでしょうか?」
森  田
歩くだけで感染するということはないです。空気感染というのは否定的な意見がほとんどですのでね。
ただ問題は、花見をすることはいいのですが、花見に行ったために人ごみの中に入ってしまう、それによって咳のしぶきをあびてしまう、ということですね。
あと、酒盛りが始まって、例年のようにみんなでコップやお箸を共有する。そうすると、そこについているウイルスを手で触って、目や口、鼻に入ってしまう、ということなんです。
空いているところに数人で行ってお花見をする、といういつもとは違うお花見かとは思いますが、そういった静かなお花見を今年は楽しんでいただけたらと思います。

「外出時、どうしてもマスクをはずさなくてはいけないときは、どのようにしておいたらいいでしょうか?」
森  田
使い捨てが原則なのですが…はずしたら、口についている部分を上にして置いておくんですかね…。あまり推奨はできないです。
ただ、WHOの報告で、マスクをするべき人というのは「(1)咳などの呼吸器の症状がある人」「(2)看病する人」「(3)医療従事者」に限定すべきだと言われていて、一般の人が予防的にマスクをするのは、WHOでは「効果が期待できない」としています。
ただ、日本国内での専門家の間では、多少の飛沫は避けられるので、人ごみに行く時にはできればマスクをした方がいいということですが…今、マスクが手に入らないので、なければ手洗いなどの予防策だけに徹して、咳などの呼吸器の症状がある人、看病する人、医療従事者にマスクを譲る、ということも大事なのではないかなと思います。

「お札や小銭を触っただけで感染しますか?」
森  田
お札、小銭、宅配便で届いたものなど、確かに理論的にはウイルスが付着している可能性は否定できません。ただ、これを過度に恐れていては、日常生活が成り立たないのではないかと思います。
ですから、我々ができる予防策の最も大事なものは、手洗いをこまめにして、手に付着するウイルスをこまめに取り除く、ということです。
住吉さんは何秒ぐらい手洗いをしますか?
住  吉
20秒ぐらいはしています。病院でボランティアをしている知人が習ったそうで、「♪もしもしかめよ~」と歌い終わるまで洗うと、ちょうど20秒ぐらいになるので、歌い終わるまで必ず洗いなさいと。
森  田
♪Happy Birthday to You~」を2回歌ってもいいですね。
30秒かけて手洗いをすると、だいたい99%以上ウイルスが除去できるという報告もあります。

「飛沫感染なのに、なぜ空気を入れ替えなければいけないのでしょうか?」
森  田
新型コロナウイルスで特徴があるのが、換気の悪い密閉空間で集団感染が起きている、ということなんです。
インフルエンザウイルス同様、咳のしぶきに含まれたウイルスを吸い込むことによってうつされるのですが、そのしぶきが、新型コロナウイルスではかなり小さい状態で、インフルエンザよりも長い時間空気中に漂っているのではないかと考えられています。
ですから、通常の飛沫感染よりも換気が大事だということです。

「家族が風邪ぎみ。もしかしたら…でもまだ検査は受けられない、というときはどうしたらいいのでしょうか?」
森  田
まずは、外出を避けるべきです。これは基本です。
あとは、37.5度以上の発熱があり、持病のない一般の方で、なおかつ症状がそれほど辛くなければ、4日間経過を見てから帰国者・接触者相談センターに連絡するということになっています。 65歳以上だったり、持病があったり、妊娠している場合には、2日間の経過観察後にセンターへ連絡となります。
ただ、息苦しかったり、だるさが強い場合には、もっと早めにセンターへ連絡をして指示をもらいましょう。