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第156回 木村憲洋さん

第156回 木村憲洋さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、高崎健康福祉大学准教授の木村憲洋さんです。
木  村
おはようございます。
住  吉
木村さんは医療制度がご専門で、病院や医療費のしくみに大変お詳しいということで、今日は「病院のしくみ、医療費のしくみ」というテーマでお話しいただこうと思いますが、やはり今、気になるのは「新型コロナウイルス」。感染が世界に広がっています。イタリアでは「医療崩壊が起こっている」という見方、報じられ方もしていますが、これは何が起こっていて、どうしてこんなことになっているのでしょうか?
木  村
先進国では、感染症というのは過去の病気なんです。近代の医療は、感染症が爆発的に増えるということを想定していないので、対応体制が取れていない、ということです。
住  吉
「医療崩壊」と言われる内容として、一番大きいのは「ベッド数が足りない」というところですか?
木  村
ベッド数だけではなく、人材も足りない、ということです。
住  吉
日本で同じことが起こることはないのでしょうか?
木  村
確かに感染症が爆発的に増えていくということであれば、今現在、日本は高齢化していますので糖尿病のお医者さんが多いわけで、彼らの専門からすると、感染症というのは対象ではないんです。そういうことが、対応体制が取れない一つの原因です。ということは、ピークが早く来てしまうと、それに対応できる医師・看護師が少ないために診られなくなってしまう、ということが医療崩壊の一つだと思います。
住  吉
ベッド数が足りなくなる、という点はどうでしょうか?
木  村
ベッド数に関しては、例えば感染症を診るベッドというのは「感染症病床」というのが法律で決められているんです。これは、普通の一般病床からすると、1000分の1くらいしかないんです。全国に2000ベッドくらいしかないので、感染症をきちんと診るとなると足りないのではないか、というのはあると思います。
住  吉
患者が急増したら、例えばホテルなどを病院として使う、ということはできないのでしょうか?
木  村
ホテルを全部貸し切ればいいのかもしれませんが…医療従事者が足りないんです。医療は、箱物だけではなく、人、医師や看護師がどう機能するか。それと、ホテルでいいかと言われると、ここ最近肺炎で人工呼吸器が足りないと言われていますから、そういった機器も足りないということになります。
住  吉
日本でこの新型コロナウイルスによる医療崩壊が起こらないようにするためには何が重要なのでしょうか?
木  村
重要なのは、厚生労働省や保健所が言っていることを信用するということですね。専門家が言っていることを聞いて行動するということが一番重要なことになります。
住  吉
「医療機関にすぐ行くことが最善ではない」ということも言われていますよね。
木  村
そうですね。ルールが決まっていますので、そのルールに従っていくということが一番効率的で一番安全になるはずです。
住  吉
なるほど。
アメリカも事態が深刻になっていますが、新型コロナウイルスの症状があっても病院に行かない、あるいは行けない人がいて、感染を広げている可能性がある、という話もあります。
木  村
海外からすると、日本の人がどこの医療機関にもかかれるというのは逆に不思議なんです。それだけ日本の医療制度というのはしっかりしています。アメリカでは保険を持っていないと、例えば救急車を呼ぶのに何万円、入院を1日するのにベッド代が10万円、20万円とかかります。もし新型コロナウイルスで人工呼吸器を使ったら、1000万円かかってもおかしくないかもしれません。日本は、医師が治療で必要と認めれば、抗がん剤で1000万円の薬も保険適用で使えるんです。アメリカではそういうことはないんです。そこが大きい違いで、医療に気軽にかかれるというのはすごく良いことではないかと思います。