第165回 望月友美子さん
第165回 望月友美子さん
- 住 吉
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では、タバコを吸っていた方がどんなきっかけで禁煙を決意したり、成功されたりしたのか、どんな方法で禁煙成功したのかを伺ってみました。
「以前吸っていました。しかし長男誕生を機に禁煙。苦しかったのですが、生まれてくる子供の顔を思い浮かべ…、3か月で禁煙できました」
- 望 月
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すごく良かったと思います。このお子さんが、この方の命を救ったことにもなるし、パパになるのがきっかけで頑張られたと思うのですが、こうやって妊娠や出産をきっかけに禁煙する方はすごく多いと思います。
「以前吸っていましたが、友人が肺気胸になったので一緒にタバコをやめようということに。友人のためと思い禁煙を始めたけれど、1人だと難しい事も誰かと一緒だと頑張れてきっぱりやめられた。友人に感謝です」
- 望 月
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この方のように、身近な方と一緒に禁煙するというのはすごく成功率も高くて、お互いに励ましあったり、その人の顔を思い浮かべながらというのはとても良いことだと思います。実際にこういうやり方を積極的に取り入れた禁煙のプログラムもあります。
「私は禁煙外来に行ってなんとかやめられました!禁煙歴7年になりました」
- 望 月
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タバコは自分の力でも禁煙できますが、本質であるニコチン依存症という病気に対しては、安全性と有効性がきちんと検証されたお薬やカウンセリングが一番適しています。医療機関に通ってお薬をいただくということで、改めて依存症なんだという病気に対する認識も深まると思います。それから、医療機関ですから他のタバコ関連疾患に対してのアプローチもできると思うので、一石何鳥にもなる方法だと思います。一方で、日本対がん協会の支部などでは、がん検診を行っていますし、一般的にも健康診断や人間ドックは日本で普及していますよね。でもそういうところで意外と禁煙へのアドバイスは後回しになっていて。ですから医療機関に行かなくても、そういう場で禁煙がすすめられれば、さらに日本の喫煙率も下がっていくのかなと思っています。
- 住 吉
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そして望月先生は、子どもたちによるがん予防プログラム「タバコフリーキッズ」を開発したと伺っています。「タバコフリーキッズ」とはどういうものですか?
- 望 月
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タバコフリーキッズの「フリー」というのは「吸わないでいる」という意味なのですが、子供はあっという間に大人になるので、未来の主人公なんですね。今までの学校教育の場だと、大人が子供に教えるという一方向だったと思うのですが、自分たちが自分で未来をつくっていける、選んでいける、というプログラムです。
子どもたちを取り巻く環境というのは色々なものが満ち満ちていて、必ずしも正解は一つではないのですが、そういう知識を詰め込むよりは、知恵を身につけていくプログラムの一種で、キーワードは「情報採集」ということになっています。
- 住 吉
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具体的にはどのような活動を行っているのでしょうか?
- 望 月
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今の形になったのは、この6~7年です。場として家庭と学校の中間にある学童保育所にこだわっています。2日間で合計10時間のカリキュラムで、1年生から6年生まで、場合によっては3年生以上など、少し学年の幅はありますが、異年齢の子供たちが「タバコはいる? いらない?」というような問いを基に、iPadを手にして、街に出て大人にインタビューしていきます。それから、例えばポイ捨て調査をしたり、情報を集めていくんです。そしてその問題を可視化して、その情報を統合して分析して、人前で発表する、という一連の活動なんです。
導入では、私が講義をしたり、ミミズを使った実験などもするのですが、基本的には子供たちと学童の指導員の先生方が指導して行っていて、最後はみんなの前で発表するという。学会のような感じで、マイクを持って堂々と子供たちが発表するのですが、さらに、それが終わってからビデオメッセージを収録して、子供たちによる禁煙のコマーシャルのような、大人に向かってだったり、自分が感じたことを言葉で語ってもらうというプログラムです。
- 住 吉
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子供の時から知るというのは大事ですね。
それでは最後に、望月先生ご自身の「健康の秘密」を教えてください。
- 望 月
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今までは“おいしいものを食べること”だったのですが、先月都内でもとりわけ空気の綺麗なところに引っ越して、改めて気づいて実践しているのは、“おいしい空気を吸うこと”。産まれてから息を引き取るまで休むことなく、生きるために呼吸するシステムなんですね。そして空気から酸素を取り入れて、体内で発生した二酸化炭素を外に出していくんですが、そのために肺だけでなく全身を使う、それが呼吸なのだと思います。なので最近やっていることは、朝なるべく早く起きて、窓を開けて、綺麗な空気を部屋にも身体にも取り入れてから1日をスタートしています。快食、快眠、快便にも通じて快調です。
- 住 吉
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望月友美子先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関に相談してみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
6月4日(木)のゲストは、DEPAPEPEさんです。次回もどうぞお楽しみに!