第169回 新井康通さん
- 住 吉
- ちなみに、調査をされている中で、ご長寿で元気な皆さんは「性格的にはこういう方が多い」というのはあるのでしょうか?
- 新 井
- 実は、長寿と性格は関係している、ということがわかってきています。誠実性といって、決めたことをきちんと守る、ある意味“頑固”ということになるんですが…。
- 住 吉
- では、頑固の方が多い、ということも言えるわけですね。
- 新 井
-
そうですね。私の知っている方でも、70歳の頃にラジオを聴いていて「リンゴが体に良い」ということを知ったと。それ以来、100歳になるまで毎日リンゴを食べ続けた、という方もいらっしゃるんです。
「リンゴが体に良い」というよりは、「決めたことをきちんと守る」という性格が長寿に繋がっているのではないかと考えています。 - 住 吉
- なぜ、決めたことをきちんとやる、という人の方が長寿になるのでしょうかね…。
- 新 井
- おそらく、健康行動と言って「毎日運動する」などの決めたことを守る、という律儀な性質。
- 住 吉
- それが健康管理にも繋がっているということですね。
- 新 井
- そうですね。
- 住 吉
- 比較的若い世代が、将来を見据えて、健康長寿のために今できることは何でしょうか?
- 新 井
- 「健康長寿への道 その1」で、糖尿病や肥満、メタボの予防が重要とお話ししましたが、これは血管を守って動脈硬化を防ぐということなんです。実際に、この動脈硬化が病気となる、例えば心筋梗塞や脳梗塞など、こういう病気になるのは、年をとってからが多いんですけれども、実はこの動脈硬化は、若い頃から進んでくるんです。糖尿病だけではなく、高血圧や肥満、コレステロール、タバコ…こういったものは、動脈硬化のリスク因子、危険因子と言われているんですが、若い頃からこういう危険因子をなるべく少なくしていただく、それが後々健康長寿に効いてきます。そのためには、ぜひ特定健診をきちんと受けていただいて、もし何か異常があった場合には、早くライフスタイルの改善に取り組んでいただければと思います。
- 住 吉
- 問題が小さいうちにライフスタイルの変化でカバーして、深刻にならないように若いうちから気をつけておくということですね。
- 新 井
- そうですね。病気のもとは若いうちから始まっているということです。
- 住 吉
-
そして、番組サイトでアンケートを実施しました。「健康のために、日常的に運動したり、食事のことを考えたりしていますか?」という質問に対して、およそ8割の方がYES、2割の方がNOというお答えでした。
具体的な健康の秘訣もリスナーの皆さんから届いていますので、新井先生からアドバイスがあれば伺いたいと思います。
「私の健康の秘訣は糖質制限です。極度の糖質制限は体によくないといいますが、甘い物や炭水化物が好きな私には、制限するくらいがちょうど良く、健康に過ごせています。」 - 新 井
-
私もご飯が大好きで、ついつい食べ過ぎてしまうんです。そうすると太ってしまったりするので、私も糖質制限に気をつけています。一方で、糖質はエネルギー源として非常に重要ですので、極端な糖質制限、特に長期的に続けるのは良くないと言われていますので、バランスが大切ですね。
「私の健康の秘訣は、毎日15kmのウォーキングをする事です。景色や自然の花々を楽しみながら歩くと、あっという間です! やはり、健康でないと楽しいことも楽しくないですからね。」 - 住 吉
- 15km! すごい!
- 新 井
-
すごいですね。毎日15kmというのは、なかなかできないですよね。無理して運動するのはあまり良くないと思いますが、楽しみながら心地よくやっていただくと非常に良いと思います。ぜひ続けてください。
「簡単なストレッチを毎日欠かさず続けています。健康診断は、嫌な病気が見つかるのが嫌だなと、ずっと避けてきました。でも、自分のためだけでなく、周りの人たちの為にも、受けるべきなのかなと思うようになりました。」 - 新 井
- 先ほども性格のお話をさせていただきましたが、“毎日欠かさず”というところがまさに誠実性が高くて百寿者タイプ。ぜひ日課として末永く続けていただければと思います。
- 住 吉
- 健康診断も“受けるべき”と思いを変えれば…。
- 新 井
- そうですね。ぜひ早めに対処していただいて、ライフスタイルで解決できるうちに解決していただくのが良いと思いますね。
- 住 吉
- 今日は健康長寿のお話を伺ってきましたが、最後に新井先生ご自身の「健康の秘密」を教えてください。
- 新 井
- 健康の秘密は“気持ちよく汗をかくこと”です。私は学生時代、アイスホッケーをやっていたんですよ。かなり激しいスポーツで、爽快に汗をかきます。医師になってからも、社会人リーグでしばらくアイスホッケーを続けていたんですが、40代半ばで試合中に膝をケガしてしまったんです。次の日から、足を引きずりながら病院で診療していましたら、患者さんから心配いただくようなこともありまして、これはいけないなと思って、アイスホッケーはそこで引退しました。やっぱり身の丈にあったことをやらないといけないなと思いまして、最近はジョギングを楽しんで、自分が気持ちいいと感じるぐらいの、自分の体に合った運動を心がけています。
- 住 吉
-
新井康通先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。協会けんぽでは、35歳以上の加入者ご本人向けの生活習慣病予防健診、40歳以上のご家族向けの特定健診をご用意しています。健診の結果、生活習慣病の発生リスクが高いとわかった方には、保健師や管理栄養士が食生活や運動などの改善策をご提案する、特定保健指導を行っています。特定保健指導のご案内が届きましたら、ぜひご利用ください。
7月2日(木)のゲストは、昭和西川副社長で睡眠改善インストラクターの西川ユカコさんです。次回もどうぞお楽しみに!