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第176回 メイ・オキタさん

第176回 メイ・オキタさん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、精神科医でジャズシンガーの、メイ・オキタさんです。
メ  イ
おはようございます。よろしくお願いいたします。
住  吉
日本とアメリカ、両方の医療資格をお持ちの、精神科のドクターでいらっしゃいます。精神科医として日々臨床に携わる一方で、ジャズシンガーとしても活動されています。
まずはメンタルヘルスケアのお話から伺いたいのですが、このコロナ禍で不安やストレスを抱える方が増えているなど、何か変化はありますか?
メ  イ
まず、最初の頃、2~4、5月頃までは、皆さん新たなストレスにさらされたということで、世の中全体で不安が増したなという印象はありました。医学的に言われているのは、ストレスが大きくかかると抗ストレスホルモンというものが出て、一時期は頑張れる体制になるんです。今は、その抗ストレスホルモンの効果が切れてきて、元々不安定さを抱えていらっしゃった方の課題が明るみに出てきたなというような印象を受けています。
一方で、元々人間関係でものすごく悩んでいらっしゃった方は、テレワークになって楽になったというお声も聞いていまして、二極化しているなと感じます。
住  吉
テレワークも合う合わないだったり、性格や生活状況などで、良くなったり浮き彫りになったりする問題もありそうですよね。
メ  イ
そうですね。休むことが苦手な方もいらっしゃって、一つのことに集中し始めるとなかなか止められないという方は、テレワークになって働きすぎてしまうというお話も伺っています。一方で、自分でちょこちょこ休憩をとったり気分転換するのが好きな方は、テレワークをエンジョイされているなというお話も伺っています。
住  吉
先日、番組のイベントを行った時にリスナーの方が、「ずっとテレワークで一人暮らしなので、人と話さなくて孤独を感じてしまう。どうしたらいいのか…」とおっしゃっていたのですが、出かけて色々な人に会うわけにはいかないので、どうしたらいいのでしょうか?
メ  イ
今は皆さん、オンライン飲み会などをやっていらっしゃるじゃないですか。なので、直接お会いすることが難しくても、人とコミュニケートするということ自体は、とても大事なことなのではないかなと思います。
住  吉
では、コミュニケーションがとれる機会を探す、ということですね。
今日は、新型コロナウイルスによる不安やストレス、相談したいことについて、メッセージが届いています。

「コロナが流行りだした頃は、ニュースを四六時中見て、ネットでも情報を集めたりしていましたが、過度の情報は自分を不安にすると思い始め、1日にニュース1回だけにしました。また、気分を明るく保つために、動画のサブスクリプションサービスで、評価を参考にしながら明るい気分になるような映画を見ることにしています。こんなことがなければ知らなかった作品なども出会えて、心豊かになったような気はしています」
メ  イ
情報がたくさん出ますので、混乱してしまったり、全部まっすぐ受け止め過ぎて苦しくなってしまうというお声を、私も患者さんからたくさん伺っています。このコロナ禍になってから、それぞれの方の価値観の違いがすごく浮き彫りになってきたので、自分と違う考え方や行動の仕方をしている方を見ると、やっぱり不安になったりイライラしてしまうというお話も伺っています。多すぎる情報とどう向き合えば良いかということなのですが、普段外来でお話ししているのは、まず1つ目に、この方は正しい対応をされていると思うのですが、情報と接する頻度を下げる。それから2つ目、情報の出どころを確認して、きちんとした専門家の方が発信している情報なのかどうか、信じる価値がある情報なのか、ということを検討する。それから3つ目は、自分自身と直接関連があるかどうか。この3つのフィルターを持つといいですよ、というお話を患者さんにもしています。

「学校が休校の時に、両親が共働きの家でうちにいないので、リモートで学校の授業を受けていましたが、一人でいること、仲良しのクラスメイトがいないことで、すごくメンタルが落ち込んだことがありました」
住  吉
12歳の方ですから、小6か中1ですね。
メ  イ
よく頑張ってくださっていると思います。私がまずおすすめしたいのは、お友達に会えなかったり、普段と違う状況になってしまったという時に、寂しい、悲しい、つらいなどという自分の気持ちを否定しないこと。こんなに大変なことになっているんだから、辛くても仕方がない状況なんだ、と1回受け入れることができるといいのかなと。
かと言ってコロナが今すぐいなくなるわけではないですから、その上で何ができるかということを考えていきます。うちにも7歳の女の子がいるんですけれども、娘の場合は、お友達とFaceTimeやZoomを使ってランチ会をしていました。なかなか一緒にご飯を食べられなかったんですけれども、コミュニケーションを無くさない、ということをしてきました。あとは、親子でよく話をして、ご両親が共働きでお家にいらっしゃらないと言いましたけれども、帰ってきてからフィードバックをもらえるといいなと。例えば、簡単に、ちょっとした達成感を味わえる活動をしてみる。お手伝いだったり、お料理の準備をしてみたり、片付けをしたり、宿題や習い事の練習だったりを、1日の中に必ず1つ入れて、帰ってきたお父さん・お母さんにその成果を見てもらって、褒めてもらったり、お互いに感謝の言葉を言い合ったり。感謝の言葉は、気持ちを助けるなと思うんですけれども、ちょっとした達成感を毎日自分で用意していくようなことができると、メンテナンスに繋がるのではないかなと思っています。