第179回 森田豊さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんです。
- 森 田
- よろしくお願いします。
- 住 吉
- 9月に入りましたが、気温は落ち着いてきたなと感じつつ、蒸して暑いですね。
- 森 田
- そうですね。やはり湿度が高いと汗が蒸発しにくいので、熱がこもりやすいですね。最近、「蓄積熱中症」と言われていて、これだけ蒸し暑い日が続きますと、暑さ、疲れ、脱水などが日々蓄積していって、残暑の今、熱中症を発症するという方も結構多いので、まだまだ油断は大敵です。
- 住 吉
-
蓄積熱中症という状況があるんですね。
今日のテーマは「残暑に負けない! 最新の医学」。森田先生に、医学的知識に基づいた方法を教えていただきます。
今日もクイズ形式です。早速、第1問お願いします!
「熱中症対策としては、首、わきの下、太ももの付け根を冷やすのが効果的だと言われています。では、首、わきの下、太ももの付け根以外にも、ここ数年、熱中症対策として冷やすと良いと考えられている体の部位は、次のうちどれでしょうか?」
A. ふくらはぎ B. 手のひら C. 後頭部 - 住 吉
- 私自身、ここを冷やすと気持ちいい、というだけの理由ですが…「C. 後頭部」!
- 森 田
-
後頭部は確かに気持ちがいいですね。
ただ、正解は「B. 手のひら」なんです。 - 住 吉
- 手のひらですか!?
- 森 田
-
はい。手のひらには動脈と静脈を結ぶバイパスのような血管があって、体に熱がこもりますとこの血管に血液が多く流れるんです。
ですから、手のひらを冷やすことで効率よく血液を冷やして、体の温度を下げることができる、ということなんですが、氷水のような冷たいものだと、手の血管が収縮してしまってあまり冷えないので、だいたい15℃ぐらいの水に5~10分、水道水ぐらいがいいのかなと思います。 - 住 吉
- では手を洗う時に長めに水をあてたり。
- 森 田
- そうですね。去年の甲子園でも、熱中症対策として適度に冷えたペットボトルがベンチに用意されたと聞いています。
- 住 吉
-
そうか、ペットボトルを握るだけでもいいんですね。
それでは「残暑に負けない! 最新の医学」第2問、お願いします。
「熱中症対策で正しい汗の拭き方は、どちらでしょうか?」
A. しっかり拭き取る B. 少し湿り気がある程度に拭く - 住 吉
- 熱中症対策で拭き方があるの!? これもあくまで気持ちいい方で…「A. しっかり拭き取る」。
- 森 田
-
確かに、しっかり拭いた方が気持ちいいですよね。
でも正解は「B. 少し湿り気がある程度に拭く」なんです。
熱中症にならないために体に備わった仕組みというのがあって、それは皮膚から汗が出て、汗が蒸発する時に気化熱という熱を奪わせて体を冷やす、ということなんですが、しっかり拭き取らず少し湿り気がある程度にして、うちわなどで仰いで皮膚から蒸発させる、という方が体を冷やすのにはいいんです。
ただ、激しい運動をしている時はたくさん汗が出てきますので、しっかり拭き取ってもいいです。
バスタオルで完全に拭いた後、体が火照ったという経験はないですか? - 住 吉
- そう言われると、お風呂の後にあるかもしれないですね。
- 森 田
- 多少残っていた方がいいんです。
- 住 吉
- 汗はかいた方がいいんですよね? どんどん水分補給をして汗をかいて…。
- 森 田
- そうですね。水分補給も大事ですし、汗をかいたら塩分も取るんですが、住吉さんは水分補給ってだいたいどのぐらいの温度ですか? 例えば、キンキンに冷えたお水が好きとか。
- 住 吉
- これもたぶんダメなんだと思うんですが…喉はキンキンに冷えたものを求めますよね…!
- 森 田
-
そうですよね。気持ちいいですよね。
ただ、医学的には飲み水の温度というのは、8~13℃が腸からの吸収が良いとされているんです。8~13℃というのは、だいたい冷蔵庫から出して20分ぐらい常温で置いてから、という温度なんです。結構この温度は、キンキンほど美味しくはないかもしれませんが、飲みやすくて、意外に冷たくて美味しいので、試していただくといいと思います。 - 住 吉
-
それでは「残暑に負けない! 最新の医学」第3問、お願いします。
「熱中症になりかけている時に、変化が現れやすい体の部位は、次のうちどこでしょうか?」
A. 爪 B. 毛髪 C. 眼球(瞳) - 住 吉
- すぐに変化が出るところ…「A. 爪」?
- 森 田
- 正解です!
- 住 吉
- ちょっと具合が悪い時、爪が青白くなったりするなと思い出したんですが、熱中症の時もそうなんですか?
- 森 田
-
おっしゃる通りです。
爪は透明に近いので、爪の下にある血管の状態を観察しやすいんです。
親指の爪を見つめながら、別の手の指でギュッと押して、押すのをやめてみるんです。押した時は爪が白くなりますよね。押すのをやめると、それがピンク色に戻るんですが、色が戻るのに3秒以上かかるようなら脱水になっている可能性があります。
3秒以内にピンク色に戻ると大丈夫なんですが…どうですか? - 住 吉
- 大丈夫でした! 1秒ぐらいで戻ります。
- 森 田
- 大丈夫ですね。水分を補給しているということですね。