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第182回 池谷敏郎さん

第182回 池谷敏郎さん

住  吉
どうしたら、若い時のしなやかな血管を長くキープできるのでしょうか?
池  谷
それにはまず、生活習慣病を改善する必要があります。生活習慣病は、今は食べ過ぎと運動不足なんです。少し食べ過ぎても運動で消してしまえばセーフになるので、そういった意味でも運動はすごく大事なんです。
住  吉
なるほど。
あと、血管を若返らせる物質「NO(エヌオー)」というのは何でしょうか?
池  谷
「NO」は「一酸化窒素」と言うんですが、運動すると筋肉からブラジキニンという物質が出るんです。血管の内側には、内皮細胞という膜状の壁があって、血液と血管を隔てているバリアみたいなものなのですが、ここに傷がついて血管が老化していきます。ですが、ここからNOというガス状の物質が出るんです。これが出ると、血管がしなやかに開いて、血圧が下がったり、血管の内側についた傷が修復される、という効果が得られるんです。
住  吉
運動すると血管の壁から出てくると?
池  谷
そうです。NOが出てきて、それが血管をしなやかに開いてくれたり、血管を若返らせてくれたりするわけです。
住  吉
何歳になっても、運動すればNOが出てくるのでしょうか?
池  谷
出てきます。有酸素運動をすると、筋肉に血液を送らないといけない、そして体温も下げなければいけないから、全身の血管が広がって、血流が良くなるんです。良くなった血流で、血管が内側からマッサージされるようなイメージです。それでどんどんNOが出て、どんどん血管が広がって、どんどん流れて、またマッサージされていきます。
住  吉
そう言われるとすごくイメージが湧きますね。
そのゾンビ体操は、今おっしゃったような、血管に血液を巡らせることと、NOもゾンビ体操くらいの軽い運動でも出るのでしょうか?
池  谷
そうなんです。身体を動かして血流を増やすと、NOが出てますます血流が良くなって、またNOが出る、という風になっていきます。
住  吉
実際に、先生の患者さんの中に、このゾンビ体操を実践して何か体調が変わったという方はいらっしゃるのでしょうか?
池  谷
はい。まず、冷え性はすぐ良くなりますね。温水暖房のように、筋肉で温まった血液が全身にくまなく流れていきます。手足の先まで。だから温かくなるに決まっているんです。
これから寒い日にお風呂に入る時、湯船で温まった方が良いと言うじゃないですか。でもシャワーが良いという人もいますよね。そういう人はぜひゾンビ体操をやってからシャワー。“ゾンビ&シャワー”をやっていただければ、湯船で温まったのと同じような効果が得られます。
それから何と言っても生活習慣病の改善に繋がっていって、血圧が下がったり、糖尿病の状態が良くなったり、中性脂肪、脂質異常症が改善したりしています。
住  吉
そのためにも、難しく考えず、ハードルを上げすぎずに、シンプルな運動を続けることが大事ということなんですね。
池  谷
そうなんです。かっこよくて面倒臭い必要はないんですよ。かっこ悪くても簡単なことをやれば若い血管が手に入ります。
住  吉
番組ホームページでは、健康についてのアンケートを行っています。「9月は、厚生労働省が定めた『健康増進普及月間』です。心身の健康のために、何か取り組んでいることはありますか?」という質問には、「YES」が63%、「NO」が37%という結果になりました。
池谷先生はこの結果をどう捉えますか?
池  谷
取り組み方にも色々あるかと思います。継続できるようなことをやっているかなというのは気になりますね。「YES」と最初は言うんですよ。ただ、もたないんですよね。
住  吉
そして番組には、リスナーの方からの健康の秘密や質問も届いています。

「週1、ヨガ教室へいき、心と身体のバランスをとり、お休みの日は体調にあわせてウォーキングかジョギングをします。」
池  谷
優等生ですね。ただ、「お休みの日は…」という、この頻度がどのぐらいなのかなというのは気になりますね。
住  吉
毎日できない方もどうしてもいると思うのですが、意識的に取り組む場合は、週何回以上した方が良いのでしょうか?
池  谷
例えば、ヨガなどで自律神経を整えるのは、週末にやるのでも良いと思いますし、時間のある時に歩くということも良いと思いますが、普段、時間がなくてできないという時にも少し運動を取り入れていただく。トイレに行く時にゾンビ体操をやっていただけたら100点満点かなと思います。

「母と祖母は、膝が痛いからと運動をしません。健康に良くないと思うので、高齢者でも無理なくできる運動を教えてください。」
住  吉
まさに!
池  谷
これはあるあるですね。膝が痛いから運動しない。運動しないから筋力も弱って膝が痛くなる。あるいは太ってしまって、膝に負担がかかって痛くなる。もっと痩せれば治るのに、もう少しももの筋肉を鍛えれば膝が治るのに、というのに運動しないんですね。すぐそこに成功があるのに手を伸ばさないという方が多くて、言い訳パターンの典型。
こういう方には、まず最初に、姿勢を良くして座っていただいて、上半身でイヤイヤをやるんです。これを30秒~1分。これで上半身の体操はおしまいです。下半身は、椅子に浅く座っていただいて、両手で椅子をつかんでいただいて安定感を持たせて、お腹に力を入れながらもも上げを左右10回ずつ交互にやる、ということでも良いかもしれません。
住  吉
床から足を何センチぐらい持ち上げると良いですか?
池  谷
全部上げても良いし、できない方はかかとを上げてもいいと思います。
ポイントは、膝が痛い方は、膝をあまり曲げ延ばししないことです。
住  吉
膝はその形のまま、ももと腹筋を意識するんですね。
それでは最後に、池谷先生ご自身の「健康の秘密」を教えてください。
池  谷
健康の秘密は“NO”ですかね。それから“大豆”。
筋肉を動かす運動じゃないですか。やはり筋肉の材料を入れる必要があるんですよ。そこでおすすめしたいのが大豆なんです。大豆は、若い女性でしたら例えばイソフラボンが入っていて、骨粗しょう症の予防になったり、痩せすぎていて筋肉がない人も、タンパク質をとると筋肉が作れます。それからご高齢の方は、痩せてしまって、転倒、骨折してしまいますから、こういう方もタンパク質をとってほしいんですよ。そして運動して、NOを出す。ということで、“大豆”と“NO”かなと。
住  吉
『血管・骨・筋肉を強くする! ゾンビ体操』は、アスコムから発売中です。気になる方は、ぜひ手に取ってみてください。
そして、池谷先生がゾンビ体操などの健康体操を詳しく解説、実演しているYouTube『池谷敏郎 official Channel』もぜひご覧ください。池谷敏郎先生、ありがとうございました! ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。今月9月は、厚生労働省が定めた「健康増進普及月間」です。生活習慣病は、運動・食事・禁煙などに気をつけることで予防、改善できます。健康寿命を伸ばすためには、「1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後にクスリ」と覚えてください。また、積極的に健康診断を受けることもお忘れなく。協会けんぽ東京支部からのお知らせでした。
10月1日(木)のゲストは、音楽ユニット 三月のパンタシアさんです。次回もどうぞお楽しみに!