第187回 明石定子さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、昭和大学病院・乳腺外科、明石定子先生です。
- 明 石
- おはようございます。
- 住 吉
-
Blue Oceanでは、これまでも何度か「女性の健康」にスポットをあててきました。
女性特有のがんにも注目してきましたが、今日のテーマは、ずばり「乳がん」です。
今日は、番組のホームページで募集している乳がんに関するリスナーの皆さんの質問も交えながら、明石先生にお話を伺っていきます。
まずは、乳がんの基礎知識をおさらいしたいと思うのですが、「乳がん」とは、どんな病気でしょうか? - 明 石
- 「乳がん」は、乳房の中にある乳腺組織という母乳を作るところ、また、母乳を乳頭まで運ぶ乳管という管があるんですが、その辺りから出てくるがんです。なので、圧倒的に女性に多くできるがんではありますが、男性もゼロではないんです。日本人の中だと、0.5%ぐらいは男性の乳がんの方もいらっしゃいます。
- 住 吉
-
その乳がんについて、リスナーの方から質問が届いています。
「どのようなタイプの人、また生活スタイルにも発症する人の関連性があるのでしょうか?」
「肉食が乳がんになりやすいと聞いたことがあります。事実ですか?」 - 住 吉
- 人のタイプや生活スタイル、食生活によって、乳がんになりやすい・なりにくい、という関連があるのでしょうか?
- 明 石
-
関連があります。まず、どのようなタイプかというと、一つは、ご家族に乳がんの方がたくさんいらっしゃる場合です。あと、乳がん、卵巣がんといったがんがたくさんある方の場合は、気をつけていただく必要があります。片方、例えば右側に乳がんができたという方は、左側にまたできる確率が他の方よりは高いんです。それから、高齢者の方も乳がんになりやすいと言われています。
生活スタイルですが、一つはアルコールですね。飲む量が多い方は、なる確率が高くなります。あと、若い頃のタバコ、それからお食事だと、肉食というかバターなどの動物性脂肪をたくさん取ると増えると言われています。あと閉経後の肥満も関連しています。
逆に乳がんを減らすのは、特に閉経後の方で言われているのは、軽い運動です。週に1時間ぐらいのジョギングで乳がんを減らすことができると言われています。 - 住 吉
- 乳がんを罹患する人は、増えているのでしょうか?
- 明 石
-
残念ながら今非常に増えていて、年間9万人の方が新しく乳がんという診断を受けています。
気をつける年齢としては、一つは40代後半がなりやすい年齢で、最近は、閉経後の肥満と関連して、60代前半の乳がんも増えています。 - 住 吉
- 早期発見をすると治るがん、とも最近は言われていますよね?
- 明 石
- そうですね。2cmまでのしこりで見つけた場合には、9割以上治りますので、やはり早期発見が大事になります。
- 住 吉
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早期発見ということは、やはり検査なのですが、その検査について質問が届いています。
「マンモグラフィと、エコーは、どちらを受けたらいいのでしょうか?」 - 住 吉
- 違いや特性、方法などを教えていただけますか?
- 明 石
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はい。ご質問の方が36歳とお若い方ですよね。乳房は乳腺組織と周りの脂肪とでできているんですが、乳腺と脂肪の比率で乳腺が多い方の場合、マンモグラフィを撮った時に乳房全体が白く写ってしまうんです。そうすると、がんも白く写るので、ちょうど隠れてしまって見えづらいということが起こるんです。それはデンスブレスト(高濃度乳房)という表現をするんですが、若い女性ではデンスブレストの方が多いので、マンモグラフィをせっかく受けても見えないことがあります。ですので、特に若い女性で、特に痩せ型の方の場合には、超音波検査を中心に受けていただくのがいいです。
あと、日本人の40代女性で行った大規模な研究があるんですが、マンモグラフィだけを受ける人とマンモグラフィと超音波を受ける人、全部で7万人というたくさんの方にご協力いただいた試験で、マンモグラフィと超音波の両方を受けた方が乳がんの発見率が上がるという結果が出ています。なので理想的には両方受けていただく、ただ両方受けるのが大変であれば、交互に受けていただくということが良いかと思います。 - 住 吉
- ちなみに、エコー(超音波検査)は寝ながら胸にゼリーを塗って機械をあてるので痛くないですが、マンモグラフィの方は、強めに胸を左右からと上下から挟んで潰して、乳腺が見やすい形にして撮るので…。
- 明 石
- はい。なかなか痛いということで、皆さんちょっとためらってしまうかと思います。特に生理前の乳腺が張った状態だと、痛みを感じやすいということがありますので、できれば生理が始まってから10日目ぐらいの比較的乳房が柔らかい状態の時に受けていただくと、少し痛みが楽なのではないかと思います。