第191回 小田原雅人さん
- 住 吉
- あと、糖尿病の治療は医師だけではできない、と伺ったのですが、これはどういうことでしょうか?
- 小田原
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これは、例えばインスリンを打ちますと、血糖値が下がります。ご自分のインスリンが足りないから、それを外から打てばいいわけです。ですから、たくさん打てば下がるんですが、下がった分のカロリーは無くなるわけではなくて、脂肪として蓄えるんです。そうすると、太ることによって色々な病気を発症するということと、太ることによってますますインスリンがたくさん必要になるということが起こります。
つまり、外から打ってもご自分のインスリンが出ても、過剰にインスリンが働けば、血糖値は下がるんですが、食べる量を減らさない限り、太ってしまうばかりなんです。ですから、ご自分でカロリーを制限する、もしくは運動する、ということがなければ、医師の治療だけでそれをまかなうことができないということなんです。 - 住 吉
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なるほど。本人の意識ややる気などがすごく関係しているんですね。
リスナーの皆さんからも、糖尿病についての質問が届いています。
「息子と一緒に階段を上るのが健康の秘訣です。糖尿病は太っている人がなるわけではないと聞いたことがありますが、細くても糖尿病の方はいるんですか?」 - 小田原
- 階段を上られるというのは非常に良いです。例えば通勤の時でも、運動をまめにされるというのが非常に良くて、ジムに行かないと運動しないという方は、ジムに行けなくなると運動不足になってしまいますから、生活に取り入れて運動されているというのはすごく良いんですが、実は痩せ型の糖尿病というのは日本人に非常に多いんです。欧米人は、糖尿病の方はほとんど肥満しています。ところが、日本人は痩せ型の糖尿病が非常に多いんです。インスリンというホルモンは、血糖値を下げて、その下げた分のカロリーを脂肪に蓄積させる働きがあるんです。ですから、欧米人はインスリンがたくさん出て、高血糖になりそうなところを全部脂肪に溜め込んでいますから太っているんです。ところが日本人は、溜め込むインスリンの出が悪い人が多いんです。つまり、高血糖に対して、インスリンがたくさん出ている時期もあるんですが、それがすぐ出なくなってしまう。ピークが元々低いんですよ。そうすると、溜め込むことができないので痩せているんですよ。痩せているけれども、血糖値を下げられないので、痩せた糖尿病が多いんです。
- 住 吉
- 番組ホームページでは、リスナーの皆さんに健康にまつわるアンケートを行っていまして、今月は「直したくても直せない食生活や生活習慣はありますか?」という質問を投げかけました。回答は、「ある」が69%、「ない」が31%という結果になりました。
- 小田原
- きちんと生活習慣を直せる人ばかりだと、我々は必要ないわけですから、そういう方がいらしてもしょうがないですし、糖尿病の医者でも太っている人はいますから、要は、できる範囲でより努力をしていただく、ということですね。だから、どうしても食べ過ぎてしまった時は、次の日その分のカロリーを減らす。罪悪感がある方が多いですから、次の日は頑張れるという方はいらっしゃるわけですよね。次の日は健康的に、食べる量を減らして、できるだけ運動をする。何か悪いことがあったら、次はそれを取り戻す、という形で、大負けをしないということですね。
- 住 吉
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なるほど!
最後に、糖尿病についてこれだけは知っておいてほしいと先生が願うことはありますか? - 小田原
- 先ほども話しましたが、症状で診断はつかないので、よっぽどひどい方は別ですけれども…。検診を受けていただくということと、治療を始めたらやめないということです。というのは、途中でドロップアウトした方というのは、次にいらっしゃった時に相当悪くなっている方が非常に多いです。なぜドロップアウトした後に来られるかというと、目が見えなくなったとか、むくむようになったとか、何かしらの合併症が出てから来られる方が多いんです。ですから、そのブランクの間、まめに通っていらっしゃる方は、お薬が必要であればお薬が出るわけですよね。それで修正されます。ところが、ほったらかしの時期がありますと、非常に悪い病気の進行が起こっていてもわからないということになりますから、とにかくきちんとチェックして、フォローアップをまめにしていただくということが大事です。
- 住 吉
- では最後に、小田原先生ご自身の「健康の秘密」を教えてください。
- 小田原
- 健康の秘密は、“大負けしない”。
- 住 吉
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小田原雅人先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。日本人の4人に1人は、糖尿病かその予備軍と言われています。食べ過ぎや飲み過ぎ、運動不足、喫煙、ストレスなど、生活習慣の積み重ねによって自覚症状のないまま進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの合併症を起こす怖い病気、糖尿病。協会けんぽでは、加入者ご本人様向けに糖尿病やその予備軍を見つける手がかりとなる、生活習慣病予防健診をご用意しています。早期発見・早期治療のためにも、ぜひご利用ください。
12月3日(木)のゲストは、スターダスト☆レビューの根本要さんです。次回もどうぞお楽しみに!