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第199回 森田豊さん(Blue Ocean Professional オンラインミーティング supported by 協会けんぽ 健康サポート)

第199回 森田豊さん(Blue Ocean Professional オンラインミーティング supported by 協会けんぽ 健康サポート)

住  吉
確かに一人暮らしの方は、家庭内感染の心配が少ない分、一人で感染してしまった時に大丈夫かなと。
森  田
自分がかからないと思ってしまうと、実際に発熱した時に何をしたらいいのかわからなくなってしまうと思います。
ですから、できることは電話番号のリストを作ることです。今、発熱相談センターも大変電話が混みあって、繋がりにくくはなっていますが、まずその電話番号を一番上に書いて、その下に、お住まいのところからかかれるような医療機関のリストを、おそらく3つ4つだけではなく、10個ぐらい書いてもいいかなと思います。そうすれば、何かあった時に上から順に電話をしていく、という安心感もありますよね。それをおすすめしたいと思います。
住  吉
あとは、食料を買っておいたり…防災とも似ていますよね。
森  田
そうですね。災害が起こったと思って、例えば自宅療養を急に言い渡されることもありますので、2週間分のお水や食料などを買い込んでおくということも大事かなと思います。
住  吉
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リスナーの皆さんとの家庭内感染対策のお話がありましたが、この後は、私自身の新型コロナ罹患体験のお話を皆さんにさせていただきました。
そんな中、森田先生とのお話で出てきたのが、「感染症対策は防災である」ということ、そして「うつさない、うつされない」というキーワードでした。

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森  田
住吉さんの実体験というのは、とてもみんなに伝えてほしいことだと思うんですよね。というのは、ご自身が感染した時のことを準備するだけでなく、家族がどう動くのか、あるいは旦那さんが感染した時にどう動くのか、ということで、定期的にコロナ会議みたいなものを家族でやっておいてもいいかなと。
住  吉
そうだと思います。WHOのシニアアドバイザーの進藤奈邦子さんに、昨年の初夏にインタビューさせていただいたんですが、その時におっしゃっていたことがものすごく印象的で。ずっと感染症のプロとしてWHOでやってきている進藤さんがおっしゃっていたのが、「感染症は防災です」と。日本の地震などに備える防災と全く同じに考えて、防災として取り組んでほしいとおっしゃっていて。
だから例えばこのコロナ禍が収束したり、下火になっても「全然大丈夫」と思うのではなく、そこからこそ「防災」として、「もしこうなったらどうするか」「これは買っておいた方がいい」「誰がどういう役割で動くか」などというような準備が、実際に感染してしまった時に効くんだなとすごく思いました。
森  田
多くの人は、「災害は起きないだろう」「自分はあまり関係ないだろう」と思っているんでしょうね。だけど今の状況は、いつ誰がどこで新型コロナになってもしょうがない、と思うので、いつでも災害が起こるんだということを想定して動かなければいけないと思いますね。
住  吉
そうですよね。今ものすごく感染者数が増えてしまって、緊急事態宣言下にまた入っていますが、ニュースを見ていてもなかなか感染者数が下がらないことが不安だったり、頑張っているのに…という気持ちになります。皆さんもそういう気持ちになっているのではないかと思うのですが、森田先生は今の状況をどう考えて見ていますか?
森  田
今回、第2回目の緊急事態宣言の内容は、そんなに厳しくないですよね。逆に言うと、甘いというか、ちょっとゆるいところがあるんですよね。それは、経済に重きを置いた対策なんだと思います。それが正しいのか悪いのかはわかりませんが、できることは我々一人一人がうつさない、うつされない、という行動を続けていくことなのかなと思います。だから、人への思いやりの気持ちを強く、そして長く持ち続けるということで、なんとか対策をしなければいけないと思います。
あとは、若い方も本当に努力されて、手を洗ったり、マスクをしたりされていると思うんですよ。ただ、どうしても若い方の感染者が多いんですよね。そういう方が、軽症だとか症状が出なくて、年配の方に広めてしまう、ということをどうやって若い方たちに啓蒙していくか、というところも大事なのかなと思いますね。
住  吉
どうしたら良いのでしょうね…。
森  田
若い方たちの言葉で、テレビやラジオのみならず、SNSなどで、色々な人が発信していってくれればと思いますけどね。
あと、住吉さんのように実際に体験された方が、自分のつらかったことや、こうすれば良かったということを、きちんとお話ししていただくということが、一番の処方箋かなとも思います。
住  吉
私が今心配なのは、罹患した方も心配ですが、感染者が増えてしまうことで、若い方や強い方は軽症で治って大丈夫だとしても、感染者数が増えることで医療関係の方や施設に非常にプレッシャーがかかるといいますか、大変な状況になったり、ひっ迫したりする…そのことを思うと、自分に割と体力があったり、免疫力が高そうだと思っても、気をつけてほしいですし、気をつけようと思うポイントですかね。
森  田
新型コロナの患者さんを扱う病棟の状態というのは、時々テレビやラジオで出てきますが…。
住  吉
森田先生の周りの方々はどうですか?
森  田
時々連絡を取りますけれども、それはもう大変ですね。集中治療室から出てきた時には、疲れと何か強い感情と共に涙が出てくると。帰るたびに涙が出てくるという友人が多いですね。それぐらい疲弊しているんだなと思います。
もちろん、国は国で病床を広げるなどということをやっていますけれども、病床をいくら広げても人材には限りがあるので、民間病院がそこに参入しても、なかなか限りがあるので…。とにかく一人一人が感染対策を頑張っていただく、そして可能な限りステイホームで自宅に留まっていただいて、可能な限りリモートワークを実践する、ということに尽きるのではないかなと思いますね。
住  吉
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ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。新型コロナウイルスの感染を警戒して、必要な健診や受診まで控えていませんか? 行き過ぎた受診控えは、健康上のリスクを高めてしまう可能性があります。コロナ禍でも、健診や持病の治療、お子さまの予防接種などの健康管理は大切です。医療機関や健診会場では、換気や消毒でしっかりとした感染予防対策を実施しています。健康に不安がある場合はまず、かかりつけ医、かかりつけ歯科医に相談しましょう。
1月28日(木)のゲストは、川崎市健康安全研究所 所長の岡部信彦さんです。次回もどうぞお楽しみに!