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第204回 若林進さん

第204回 若林進さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、杏林大学医学部付属病院 薬剤部にご所属の薬剤師、若林進さんです。リモートでお話を伺います。
若  林
よろしくお願いします。
住  吉
若林さんは薬剤師、つまり「お薬のスペシャリスト」ということで、今日は薬、特に「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」についてお話を伺っていきます。
番組サイトに寄せられたリスナーの皆さんの質問にお答えいただく形でお話を伺います。

「先発のお薬とジェネリック医薬品の違いが知りたいです」
若  林
先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)ですが、基本的に化学構造は同じ医薬品です。製薬会社が新しい医薬品を開発して、新薬として厚生労働省に申請して承認されたものが先発医薬品です。その先発医薬品は、しばらくすると特許が切れて、どの製薬会社でも発売することができるようになります。ジェネリック医薬品(後発医薬品)を発売しようとする製薬会社が、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の基準に基づいて新たに厚生労働省の承認を受けて発売します。なので、先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)は有効成分が同じで、どちらも厚生労働省の承認を受けて発売されています。
住  吉
ジェネリック医薬品(後発医薬品)のメリットは何でしょうか?
若  林
メリットは、薬価(薬の値段)が安い、ということになります。安い素材を使っているから安い、というわけではなく、製薬会社は先発医薬品のように医薬品の開発に時間やお金を費やす必要がないので、その分、薬価が安く抑えられています。

「効き目が今一つ、というジェネリック医薬品も存在するのでしょうか。私はアトピーの飲み薬がジェネリック医薬品でしたが、効き目に差を感じたことはありませんでした。ただ知人に、“ジェネリック医薬品が効かない”という方がいらしたので、質問します」
若  林
先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)は有効成分が同じで、厚生労働省から承認を受けていますので、「効かない」「効き目が今一つ」ということは、あってはいけないはずです。
医薬品を作る場合、例えば「アスピリン」という有効成分があって、そのアスピリンにデンプンやセルロースなどの添加物を加えて固めたものが錠剤になります。その添加物の部分は、先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)では必ずしも同じとは言えません。なぜかというと、特許が切れるくらいですから、かなり昔に承認された医薬品になります。その先発医薬品が発売されてから、当然、製剤技術の進歩などもありますので、より飲みやすかったり、溶けやすかったり、味が良かったりと、新しい技術を入れる余地があるわけです。
子供が飲むような粉薬などは、先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)とで味の違いがずいぶんあって、助かることもあります。その添加物の違いが、人によっては好ましくない作用となってしまう可能性はありますね。

「効能が同じ薬で、ジェネリック医薬品で微妙にネーミングが異なる理由を教えてください。使用者としてはネーミングを統一した方がわかりやすいと思います」
若  林
これは、我々の間でも問題になっていました。
まず、先発医薬品は一般的に登録商標があって、製薬会社がそれぞれの薬に思いを込めて名前をつけています。その後、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が発売される際には、「一般名」と呼ばれる共通のネーミングになります。
例えば、皆さんがペットを飼う際にポチやタマなどと名前をつけると思いますが、それが「製品名」にあたります。そして、イヌやネコといった呼び名が「一般名」です。 現在は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)は共通のネーミングになりますが、実は昔は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)も製品名を持っているものが多くて、主に、先発医薬品の名前の一部を変更したような名前が多かったんです。
ただ、我々も統一されていた方がわかりやすいので、厚生労働省から2005年に「医療用後発医薬品の承認申請にあたっての販売名の命名に関する留意事項について」という通知が出されて、「これからは一般名しか認めません」という流れになりました。
その後、2012年頃から製品名を持っていたジェネリック医薬品(後発医薬品)が一般名の名称に変更されていって、現在、独自の製品名が残っているジェネリック医薬品(後発医薬品)はわずかとなっています。
住  吉
そういう事情があったのですね。

「すすんでジェネリック医薬品を使っています。もっと、薬局ですすめるようにしてほしいと思います」
若  林
おっしゃる通りです。
私は、病院に勤務する薬剤師なので、まず病院の中の話になりますが、病院の中でもジェネリック医薬品(後発医薬品)の導入は進んでいます。病院の中で使っている医薬品のうち、ジェネリック医薬品(後発医薬品)が存在するものについては、9割ぐらいジェネリック医薬品(後発医薬品)を使っています。なので入院した場合などは、飲み薬だけでなく、注射薬についても、あるものについてはジェネリック医薬品(後発医薬品)を使うようになっています。
こちらのご質問は“薬局で”とのことなので、病院の外の保険薬局の話になると思います。病院から処方箋を持ってかかりつけの薬局に行くと、先発医薬品かジェネリック医薬品(後発医薬品)かを選べる場合があると思います。医療費抑制、ご自身の負担を減らしたい場合は、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を選択していただくのが良いと思います。