第205回 渡辺徹さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、俳優の渡辺徹さんです。
- 渡 辺
- おはようございます。
- 住 吉
- 渡辺徹さんは、今月、ミュージカル『アリージャンス~忠誠~』に出演します。早速ですが、どんなミュージカルなのでしょうか?
- 渡 辺
- これは、アメリカに実在した人物、出来事がもとになっているお話で、第二次世界大戦が勃発した頃、そこに暮らしていた日系一世二世の方々のお話なんです。アメリカと日本が戦争になってしまいましたから、どっちに忠誠心を示さなければいけないんだ、というような話や、そういう社会的な話だけではなくて、そこに巻き込まれる一家の話、ということもあって、複雑かつ涙ありの話ができているなと思っていますね。
- 住 吉
- 日本の学校ではそんなに習わない歴史かもしれませんが、特にアメリカ大陸の西海岸で、当時、日系の方々が強制収容所に入れられたり、大変な思いをされた方が実はたくさんいらしたんですよね。その中のある家族の物語。
- 渡 辺
- 家族も引き裂かれてしまいますからね。
- 住 吉
- 徹さんはどんな役どころですか?
- 渡 辺
- 私は4人家族なんですけども、母親は亡くしておりまして、私、そして娘の濱田めぐみさんと息子の海宝直人くん、そしておじいちゃんが上條恒彦さんという、4人構成の家族です。
- 住 吉
- お父さんですから、家族の中軸の役ですね。
- 渡 辺
- 頑固親父なんですよ。アメリカに従えばなんてことなく生活できたのに、「俺はそれは許さない」と言って、親父が頑固なために家族が振り回されるという…そういう役どころですね。
- 住 吉
- ミュージカルは初めてですか?
- 渡 辺
- 初めてなんです。ありがたいことに色々なオファーはいただいていたんですけど、打合せの時に「踊りますか?」と聞いたら「踊りますよ」と言われて、「じゃあ、辞めます」と…。踊りが苦手なものですからね…。歌は、一応トップアイドルだったわけですから(笑)。
- 住 吉
-
お声もいいですからね!
今回は、踊りはないのですか? - 渡 辺
- あまり踊りメインではないんです。歌はもちろん歌いますよ。
- 住 吉
- でも、踊りがないから受けたということではないですよね。
- 渡 辺
- 正直言うと、このお話を企画会社からいただいて、読んだ時に涙したんですよ。台本を読んで涙するというのは相当久しぶりだったんですが、二度目も読んでみようと思って読んだらまた涙してしまって、これはもうやるしかないな、と思った作品だったんです。家族の絆にすごく感動してしまいました。
- 住 吉
- 日本では初めての上演で、2015年にニューヨークのブロードウェイで上演されて、大変話題を集めたミュージカルだとか?
- 渡 辺
- そうなんです。それが日本上陸ということで、演出家の方もカナダの方なんですけど、新型コロナウイルスの影響で来日ができなくなってしまいました。かなりマメにメッセージを送ってくださったり、我々の芝居の様子もビデオで送っているらしいんですが…。
- 住 吉
-
スタフォード・アリマさんですね。この方ご自身も日系カナダ人の演出家の方だと。オンラインでのやりとりで思いを受け止めて、日本での上演となるのですね。
移民問題や人種差別など、アメリカではまだまだ根深い問題で、ニュースや国民の行動にも大きく結びついていますが、そんな中、演出、脚本、キャストのほとんどがアジア系という、ある意味異色のミュージカルだったのですね。日本の方々はどのように受け止められるのか…でも徹さんが涙したということは、すごく共感したり…。 - 渡 辺
- 芯をついているんです。と同時に、我々はブロードウェイミュージカルというと少し構えて観てしまうのですが、アジアのスタッフで作っているので、日本人が観ていてもものすごくほっとするテイストがあるんです。盆踊りが入っていたり…。
- 住 吉
- そうなんですか! それは、日系の方々なので、現地でも日本の文化を大事にされていると。
- 渡 辺
- そうなんです。以前、それとは別に、ボリビアという国に日系人の取材で1年ぐらい行っていたんですけど、日本にいらっしゃる方以上に、日本の文化や風習をすごく楽しみにしていらっしゃる。そういったものが、今回ふんだんに入っていますね。
- 住 吉
- ある家族の物語と同時に、今も日系の方で本当は日本を訪ねるはずだったり、1年に1回はゆかりのある地に帰ってきている方も、行き来できないでしょうし、そういったことに思いをはせる機会にもなりそうですね。
- 渡 辺
- このご時世ですからね。