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第207回 ゴスペラーズさん

第207回 ゴスペラーズさん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、ゴスペラーズの酒井雄二さんと安岡優さんです。
酒井・安岡
よろしくお願いします。
住  吉
日本のボーカルグループのパイオニア的存在でいらして、2019年にはメジャーデビュー25周年を迎えました。この1年は、ゴスペラーズとしてもこれまでにない1年で、ツアーも途中で一度中止に…。
酒  井
そうです。延期で粘っていたんですけど、やっぱり無理だなと。
住  吉
皆さんはそれぞれ、コミュニケーションを取ったりとか、どのようにして過ごしていらしたのですか?
酒  井
リモートで配信番組をやってみようとか、色々なチャレンジをするきっかけにもなったんですけれども、やっぱりツアーに出て声が仕上がっていくというのがすごく楽しいので、それが途中で中断させられてしまったのは悔しかったですね。
安  岡
去年の3月末ぐらいから、5人で揃って会うというのを一回中止して、それから3ヶ月後ぐらいに、やっと夏に1本だけ配信ライブができるということで、6月の終わりぐらいに5人でやっと集まった時に、こんなに5人で一緒にいなかったことは今までなかったな、と。
そのリハーサルはちょっと感動的ではありましたね。
住  吉
お互いの声の響きを聴きながらハーモニーを追求していらっしゃるということは、生で5人の声の波動のようなものを肌で感じながらする仕事ですからね。
安  岡
そうなんです。北山が中心になって、リモートでハーモニーをやる練習みたいなことをしたんですけど…やっぱり難しいね。
酒  井
タイムラグとの戦いですね。
住  吉
そうですよね。
安  岡
ソフトウェアも作ってくださって、どんどんできるようにはなっているんですけど、やっぱり目の前で5人で輪になって歌った時の、あれにはならないですね。
住  吉
きっとそういう思いが結実しているのが、先週リリースされたアルバム『アカペラ2』。アカペラアルバムは、2002年以来18年ぶりなのですね。声の素晴らしさというものを再度実感して出すことになったのですか?
安  岡
実は、新型コロナ前から企画があったんです。ちょうど25周年ツアー中に色々なことが起こってしまったんですけど、その25周年に向けて、アカペラの曲で出発しよう、と。それで、『VOXers』という曲を酒井さんが作ってくれて。その時に、うちはメンバー全員が作詞・作曲をするんですけど、持ち寄ったアカペラの曲で結構いい曲がたくさんできたので、このままアカペラアルバムまで繋げられるのではないかと思って、ツアーをしながら実は進めていたんですよね。結果的に、アカペラアルバムだったからこの状況の中でも作り上げることができました。1人でも関わる人数が少なくなりますし、5人だけいればレコーディングができるので。
酒  井
しかも入れ替わりで、1人入っては帰り…という感じで作ることもできるので。
住  吉
なるほど!
安  岡
アカペラだったら、マイクを1本立てて5人で輪になって録る、という曲もあるんですけど、今回は、作曲者とその時歌う人、という感じで。
住  吉
今の時期ならではのアカペラアルバムなのですね。
この時期は大変なことが多いですが、発見などもあると思います。今回のアルバムの仕上がりを聴いて、何か思うことや発見などはありましたか?
酒  井
アカペラが、この18年の間ですっかり変わったな、というのがあるんですよね。当時は、日本でアカペラをやっているのは俺らしかいないから代表作みたいなものを作らなければ…という気持ちがすごく強かった、気負いがあったんですけど、今や動画サイトを中心に、アカペラ人口が世界的に多くなっていて。今のアカペラは、当時とはまた違うものになっていて、1人で重ねまくる人もいるし、リモートで録っている人もいるし、ペンタトニックスもヒットを出して、アカペラの認知度も上がったし…こういう時代に僕らが投げる球が、カジュアルに、リラックスして作れるようになりました。
安  岡
18年前は、アルバムを出した以上、「それ、本当にできるんだよな? ライブでやって見せられるんだよな?」というところを、我々はプライドとして守っている部分があって。だから、非常にヒューマンだったと思うんですよ。でも今は、デジタルでアカペラをどんどん装飾していく。ヒューマンビートボックスも、自由に入れて、デザインして…というような、表現の幅が広がったので、アカペラのある種の呪縛から解き放たれたというか…。
若い世代が自由な発想でアカペラをデザインしてくることが、僕らのヒントになって、勉強になっています。
酒  井
後輩のアカペラクリエイターの皆さんにも作品に参加してもらえるようになった、というのは大きいですね。
安  岡
昔は5人の脳みそだけで全てを作っていたので…。そういう意味では、色々な世代と交流しながら、新しいアカペラの世界へ踏み出したのではないかなと思います。