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第214回 孫大輔さん

第214回 孫大輔さん

住  吉
孫先生は『対話する医療 人間全体を診て癒すために』という本もお書きになっています。なぜ、医師と患者が対話することが重要なのでしょうか?
  孫  
対話というのは、医療のコミュニケーションの基本中の基本ではあるんですが、患者さんから聞いた病気の話を、医者が解釈して、見立てを立てて、「こういう病気だからこういう風に治療しましょう」という。そのコミュニケーション自体が対話なんですが、私が捉えている対話はもう少し広い意味がありまして、ものすごく簡単に言うと、言葉を交わさなくても対話だと思っているんです。
街の繋がりと同じように、一緒の空間にいることや、相手の存在をしっかり受け止めて、相手の気持ちに共感したり、相手に寄り添って支えてあげるという、そういうことも対話かなと思っています。
住  吉
昨年、先生は鳥取に移住されて、東京と鳥取を行き来しながら活動を行っているということですが、どんなきっかけでこういう活動の仕方を選ばれたのでしょうか?
  孫  
東京で結構長く働いていたんですが、先ほどのまちけんなど、地域に関わる活動が多くなってきて、東京という大都市の地域も面白いんですが、地方の地域というのはもっと全体が見えやすいんです。数年前から時々岡山や鳥取の方に来て、少し活動もお手伝いしていたんですが、本格的に移住してみて、そういう活動や仕事をしてみるのも面白いのではないかと思いまして、思い切って移住してみたんです。その移住した直後から新型コロナウイルスが流行し出して…。移ったのがちょうど流行の直前のタイミングでもありました。
住  吉
コロナ禍ということで、いつもとはまた違う状況ではあったかもしれませんが、1年間地域医療に関わってきて、何か気づいたことなどはありましたか?
  孫  
地域がよく見えるという意味では、この前、高齢者の方々の前で健康の話をして、たこ焼きパーティーに参加した時に話を盗み聞きしていたら、その街ではほとんどが知り合いだと。お互い顔見知りなので、行方不明者がほとんど出ないという話をしていたんです。例えば、認知症のおじいちゃんが徘徊してしまって、行方不明になってしまうということがありますが、その街ではそういうことはほとんどないねという話をしていて、これはすごいなと。地域の繋がりがまさに実感できる話を聞いたりして、面白いなと思いました。
住  吉
このコーナーでは、リスナーの皆さんに「健康の秘訣」を伺っています。お寄せいただいたメッセージを一つご紹介します。

「私は毎朝1時間程度、散歩して体調管理をしています。
散歩のおかげか、この1年間は大きな病気もなく、健康でいられました。
1年近く同じルートを散歩していると、顔なじみもできて、軽く挨拶する仲になったりもしています。
住  吉
まさに、“まちが人を健康にする”だなと感じます。
孫先生は、ご自身の健康のために心がけていることはありますか?
  孫  
鳥取は車社会で、ドアtoドアで車なので歩かなくなってしまうんですよね。週末だけでも、少しでも外の空気を吸うために散歩すると全然違うなと思っていて。散歩の習慣はものすごくいいと思います。あと、顔なじみの人との挨拶程度のコミュニケーションも非常に重要ですね。 僕は、好きなことをやるというのが健康にいいかなと思っていまして、私は映画が特に好きなので、映画を観るというのが健康法ですね。
住  吉
好きなことをしてストレスを溜めないのは大事ですよね。
今日は、薬や手術などだけが医療ではないこと、街との関わり、コミュニケーションの大切さなどについても伺いました。
最後にリスナーの皆さんに伝えておきたいことはありますか?
  孫  
病気を予防する、病気がないということも非常に重要ですよね。生活習慣病を予防する。ただ、病気を恐れてばかりいると、不安が高まってしまうこともあるので、どちらかというと僕は、ウェルビーイングという自分の健康を底上げしていくものを見つける。それは散歩でもいいですし、自分の好きな趣味でもいいです。そういうものを見つけて、どんどん自分のウェルビーイングを底上げしていく、ということも考えるといいのではないかと思います。
住  吉
孫先生のご著書『対話する医療 人間全体を診て癒すために』はさくら舎から発売中です。孫大輔先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関に相談してみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
次回もどうぞお楽しみに!