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第215回 森田豊さん

第215回 森田豊さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんです。リモートでお話を伺います。
森  田
よろしくお願いいたします。
住  吉
緊急事態宣言でも感染者がなかなか減少せず、延長になっていますが、森田先生は今の状況をどう考えていますか?
森  田
心配な状況になってきていますね。ただ、昨日からの報道で、様々な変異株でもワクチンが効くだろうという基礎研究結果が出てきていますから、今しばらくこの自粛生活を続けて、最終的にはワクチンにうまくバトンパスができればと願っています。
住  吉
ワクチンにバトンパスしたいですね。色々なことがスムーズに進むことを祈るばかりです。
そんな緊張を強いられる日々が続く中、リスナーの方からこんなメッセージが届いています。

「会社で仕事をしていると、最近頭痛が酷いんです。歯の矯正をやってるから?まさかコロナ?とか色々考えたのですが、テレワークをした日は全くない!これは会社の緊張感しか思い浮かびません。前はなかったのに。深呼吸もしているのですが、なかなかよくならず困っています」
住  吉
森田先生、これはいかがでしょうか?
森  田
おそらくこれは、最近多くなっている、マスクによって引き起こされる頭痛、「マスク頭痛」ではないかと思います。
住  吉
この状況の中で「マスク頭痛」という言葉ができあがったということですね。
森  田
そうですね。
住  吉
その「マスク頭痛」のメカニズムについて、森田先生に伺っていきます。
原因はどういうことなのでしょうか?
森  田
3つあるのですが、1つ目の原因は、マスクの耳掛けによって、首や顔にコリが出てくる、いわゆる「緊張型頭痛」の原因になるということです。
耳かけのゴムで、両方の耳が固定されています。すると、徐々にこめかみの筋肉に負担がかかってしまい、さらにあごの筋肉にも負荷が及び、最終的には、首の左右にあって、頭から鎖骨にかけて縦に走っている胸鎖乳突筋という筋肉が疲れてしまう、と考えられています。
あと、マスクをしていることで、表情を気にしなくなりますから、顔にある表情筋もあまり使わなくなって、顔の筋肉への血液の流れも悪くなったりして、顔のコリも出てきてしまいます。
ですから、マスクの長時間使うと、首や顔の筋肉全体にコリが引き起こされてしまうので、それが1つの原因となって、緊張型頭痛が起きてしまうと考えられています。
住  吉
対策としては、どのようなものがありますか?
森  田
人との距離を十分に保てて、感染の心配のない場所では、1時間に数分でも良いのでマスクを外すことですね。
あとは、筋肉のコリをほぐすような体操、例えば、両肩を上に、頭の方にギュッと挙げたあとに、ストンと落とす。そうすると、顔や首周りに血液がじわっと流れますよね。
住  吉
リラックスできます!
森  田
あとは、首の左右にある胸鎖乳突筋をなでるというのも良いかなと思います。
住  吉
肩こり対策をする感じでしょうか。
森  田
その通りです。
あとはお風呂に入ったり、リラックスするという意味では、適度なお酒も良いと思います。
住  吉
2つ目の原因は何でしょうか?
森  田
2つ目は、マスクによって二酸化炭素が多くなる状態が、片頭痛を引き起こすと考えられています。
マスクを着けていると、自分が吐いた息をまたすぐに吸うことになりますよね。そうすると結果的に二酸化炭素を多く含んだ空気を吸うことになり、身体は二酸化炭素が多い状態になってしまいます。
頭蓋骨の周囲には、脳に酸素と栄養を送るための血管が張り巡らされていますが、二酸化炭素はその血管を拡張させる、拡げる働きがあり、そのことで片頭痛が引き起こされるんです。
特に性能の良いマスクほど二酸化炭素が溜まりやすいので、片頭痛が起こりやすくなります。
住  吉
なるほど、そういうこともあるんですね。では先ほどおっしゃった、1時間に数分でも良いからマスクを外す機会を作る、などをして気をつけることが有効ですね。
森  田
そうですね。原因がわかるだけでも納得しますし、それならなるべく家にいよう、ということにもなるかなと思います。
そして3つ目ですが、気温が上昇することによっても頭痛が起こると考えられています。気温が上がることで、頭の骨の周囲の血管が拡張するんです。これが片頭痛につながってしまいます。