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第217回 蓮沼剛さん

第217回 蓮沼剛さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、中央区日本橋のセントラルクリニック院長、蓮沼剛先生です。先日リモートでお話を伺いました。
今日のテーマは、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)と新型コロナウイルス」。
蓮沼先生は内科の医師で、東京都医師会 禁煙担当理事。また、日本禁煙学会認定 禁煙専門医でもいらっしゃいます。禁煙やタバコフリー社会の実現にむけて、積極的に活動している方です。
まず前半は、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」がどんな病気なのか。原因や受診のサイン、そして治療法などを伺います。
そして後半は、COPDと新型コロナウイルスの関係について。罹患や重症化リスクのお話です。
住  吉
まず、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」はどんな病気かを教えてください。
蓮  沼
「COPD」という名称だと知らない方が多いんですが、昔は「肺気腫」や「慢性気管支炎」などと言われていたものを「COPD」とまとめていて、平たく言うと「慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)」です。原因のほとんどは長年の喫煙、あるいは大気汚染。肺には、肺胞という細かい袋がたくさんあるんですが、それがだんだん溶けてダメになってしまう病気なんです。
住  吉
「タバコ病」とも呼ばれるんですよね?
蓮  沼
そうです。95%は喫煙者なんですが、ややこしいことに、タバコを吸っている方が全員かかるわけではなく、遺伝的な面も少し関与しています。例えば、20本を20年ぐらいずっと吸うと、約2割ぐらいの方がこの病気にかかるんですが、かかるかかからないかというのは吸い続けてみないとわからないので、やはりやめた方が良いです。
住  吉
罹患すると、どんな症状が表れる病気なのでしょうか?
蓮  沼
例えば、1日に何回も咳が出たり、特に階段などで息切れをしやすくなったり、呼吸をすると「ゼーゼー」「ヒューヒュー」と音がしたり、黄色や粘り気のある痰が出たり…そんな症状がよく起こります。 ただ、そういう症状があまりない方もいるので、少しややこしいんですが、例えば、みんなで歩いていて、自分だけ少し追いつかない、という方は怪しいことが多いです。
住  吉
一度罹患すると、もう元通りに完治するということがない、と言われているんですよね?
蓮  沼
残念ながら、一度かかると元には戻りません。
住  吉
そうすると、ひどくなる前にとにかく進行を止めることが大事になってくる、と。
蓮  沼
吸入の薬やリハビリ、最近は筋トレやウォーキング、あとは栄養を十分にとることなど、そういうことが重要だと言われていますが、タバコをもし吸っている方なら、直ちに禁煙する。それが一番です。
最近、受動喫煙でもかかると言われているので、家族や会社の方は全員禁煙、友達も全員禁煙していただくのが大事です。
住  吉
もし自分がCOPDだとわかった場合には、周りにも喫煙者がいると、悪化していってリスクになる、ということですね。
必ずしも症状がわかりやすく出るわけではないので、気づきにくい病気だとおっしゃっていましたが、最初のサインや、受診すべきだというサインは、どういうところに気をつけていればいいのでしょうか?
蓮  沼
先ほど申し上げたように、咳がずっと出ることや、息切れですね。階段や長時間歩いた時の息切れ。あとは、年齢が40歳以上であるとか、タバコを長時間吸っているとか。それと、人間ドックの時に呼吸器の検査をやるんですが、その呼吸器の検査で異常を指摘されて、受診される方もいます。
住  吉
現在の治療法は、どういうものがあるのでしょうか?
蓮  沼
まずタバコを吸っている方の場合は、絶対禁煙。それと、薬物療法としては吸入の薬ですね。ステロイドという薬と、気管支拡張剤。最近はそれが混ざっている吸入薬もあるので、それを例えば1日1回や2回、吸入をしていただく。あるいは、運動する直前に少し吸入をしていただいて、それから運動するなど、そういったことですね。
あと、どうしても難しい場合は、在宅酸素療法と言って、酸素濃縮器という室内の空気を機械で濃縮して90%ぐらいの酸素にする道具があるんですが、それをずっと使ったり。外へ行く時は、電源がありませんので、小さい酸素ボンベを持ち歩いていただく。そういった治療法があります。
住  吉
ひどくなってくると、酸素ボンベを持ち歩かなくてはいけなくなる方もいるんですね。
蓮  沼
そうですね。時々、鼻に透明な道具をつけている方がいらっしゃると思います。日本では、大昔は結核の後遺症で在宅酸素療法になる方が多かったんですが、今はCOPDの方が多いと思います。
住  吉
番組サイトでリスナーの皆さんに「『COPD』という言葉を知っていますか?」と質問したところ、「はい」が34%、「いいえ」が66%という結果になりました。先生は、このアンケート結果をどのように捉えますか?
蓮  沼
思ったより皆さん知っていましたね。リスナーの方で、関心がある方が多いんですね。
住  吉
一般的には、知っている方がもっと少ないとお感じになりますか?
蓮  沼
はい。ネーミングがなかなか親しみにくいので…診断がついていない方が日本にはまだたくさんいるはずです。
住  吉
「新型コロナウイルス」も、重症化すると肺炎を引き起こすことが知られていますが、喫煙習慣がある方にとっては、そうでない方に比べて、新型コロナウイルスがより怖い病気だと言っていいのでしょうか?
蓮  沼
まさにその通りで、常にタバコを吸っている方の気管支というのは、炎症にさらされていて、そういったところは感染に弱いわけです。それは新型コロナウイルス以外でも、色々な感染症を起こしやすいと思います。ある論文では、3倍も新型コロナウイルスに感染しやすく、重症化しやすい、とあります。実際、日本でも禁煙を呼びかけています。
タバコを吸う時、喫煙所に行くと他の方も吸っていますよね。タバコを吸う時は、マスクを外して、タバコを手でつまんで、それを吸うわけで、そうすると色々な感染のリスクが非常に高くなると思います。
住  吉
喫煙習慣の中にすでに、他より感染リスクが高まってしまう行動が含まれているのですね。
蓮  沼
喫煙所は3密の状態ですからね。
住  吉
そうしますと、COPDに罹患している方は感染対策がより重要になると思うんですが、新型コロナウイルスの感染対策としてできることはありますか?
蓮  沼
とにかく早めに新型コロナウイルスのワクチンを打ちましょう。あと、普段からインフルエンザ予防も必要ですので、インフルエンザのワクチンも打ちましょう。
あとは細かい話ですが、マスクは不織布が一番良いです。
そして、肉と卵と大豆製品を食べる。筋トレやウォーキングなど、しっかり運動してください。新型コロナウイルス感染症が流行って、ずっと家にこもっている方がいて、病気がない方でもどんどん筋肉が落ちて「フレイル」という状態になっている方がたくさんいます。
栄養管理と運動習慣、それとワクチン、その辺が重要だと思います。