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第235回 勝川史憲さん

第235回 勝川史憲さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、慶應義塾大学スポーツ医学研究センター所長で教授の、勝川史憲先生です。
勝  川
よろしくお願いいたします。
住  吉
勝川先生は内科の医師で、スポーツ医学や健康維持のスペシャリスト。
今日のテーマは「糖尿病予防と運動習慣」です。日本の糖尿病患者と予備軍は2000万人を超えるとか?
勝  川
そうですね。厚生労働省が毎年やっている国民健康・栄養調査では、一番多いのが「高血圧」で約45%、「脂質異常症」がその半分の約23%、「糖尿病」はそれより少ないんですが、約15%です。男性が約20%、女性が約10%ですから、男性は5人に1人、女性は10人に1人と、ずいぶん多いですよね。
住  吉
多いですね。そこでまずは基礎知識からですが、「糖尿病」とはどのような病気でしょうか?
勝  川
糖尿病は、「1型」と「2型」に分かれています。「1型糖尿病」は、主に小児の時、すい臓のインスリンを出す場所が壊れて、だんだんインスリンが出なくなってしまうという病気です。ですから、生活習慣病ではありません。
今日のテーマに関係してくるのは、「2型糖尿病」です。これは、インスリンの出が悪くなるという部分と、インスリンの効きが悪くなるという部分、何割ずつかは人によって違いますが、それらが合わさって血糖が上がってくる、という病気です。
住  吉
どうしてインスリンが出なくなってしまうのでしょうか?
勝  川
出なくなるのは、遺伝の関与が結構大きいんです。ただ、血糖が高い状態がずっと続くとますます出なくなる、という悪循環にも陥ります。
住  吉
遺伝というお話もありましたが、糖尿病になりやすい人はどのような人なのでしょうか?
勝  川
今言った遺伝の問題、それから、年齢が上がると糖尿病になりやすくなります。
あともう1つ大事なのが、生活習慣です。一番は「肥満」、それから「運動不足」の問題、あとは「睡眠不足」です。寝不足は悪いですし、寝る時間が長くても質が悪いとダメです。
住  吉
そうなんですか!
勝  川
遺伝的に恵まれている人でも、不摂生をしていると糖尿病のリスクが上がってきます。
住  吉
このコロナ禍で、新型コロナウイルスに感染した時の重症化リスクが高い基礎疾患として、「糖尿病」という言葉をよく聞きます。
勝  川
元々糖尿病は、免疫が弱くなるんです。傷の治りが悪くなったり。ですから、新型コロナウイルスのような感染症にかかった時に、重症化しやすいんです。それで重症化リスクの1つとなっています。
住  吉
先生の患者さんからは、心配の声やご相談などは増えましたか?
勝  川
そうですね。ワクチン接種が始まった頃に、「早くワクチンを打ちたい」という問い合わせが結構ありましたね。
住  吉
万が一、糖尿病になった場合はどうなってしまうのか…と思う方もいると思います。最初はどのような症状が表れるのでしょうか?
勝  川
今は、健康診断で割と早く見つかるのですが、基本的には自覚症状がない病気だと思った方がいいです。自覚症状もなく、痛くもかゆくもないから…と放っておくと、合併症が出てきます。
1つは、腎臓が腎不全になったり、網膜症になって、ひどい場合は失明してしまったり。それから、神経障害でしびれが出たり、立ちくらみが起こったり、突然死のリスクが上がる、ということもあります。 もう1つは、大きい血管が傷むんです。ですから、タバコや高血圧と同じように、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが上がります。
住  吉
合併症のリスクはたくさんあるのですね。
勝  川
そうです。糖尿病は、血糖をコントロールするというよりも、腎不全や心筋梗塞、脳梗塞を減らすことが最終目標になってくると思いますね。
住  吉
先ほど、年齢が上がると糖尿病になりやすいというお話がありましたが、20~30代の若い方々には関係のない病気なのでしょうか?
勝  川
生活習慣を考えてみると、男性は20~30代に体重が増えますよね。女性も油断していると、20~50代にかけてコンスタントに体重が増えていきます。それから、生活習慣も20~30代の間に固定されてしまうので、40代になってからだと手遅れとは言いませんが、20~30代のうちから体重コントロールや生活習慣のことをきちんと考えて、健康的な意識づけをしていくことが大事だと思います。
住  吉
20~30代でも、糖尿病の予備軍になってしまう可能性は十分あると。
勝  川
あると思います。
住  吉
自分が糖尿病予備軍かもしれない、とわかる方法はあるのでしょうか?
勝  川
最初は、食後の血糖が上がるんですよ。ですが、どんなものを食べたか、食べてから何時間後か、などでばらついてしまうので、食後の血糖はなかなかきちんと測ることができないんです。健康診断は、ご飯を食べない状態で測定しますよね。そうするとどうしても糖尿病は発見が遅れてしまいます。きちんと検査をする場合は、ブドウ糖75gが入った飲み物を飲んで、ご飯を食べない状態の血糖と、その飲み物を飲んで2時間後の血糖を測る、という検査をします。少し大変ですよね。自覚症状もないですし、早くチェックできるいい方法もないので、ご自分が自覚して健康習慣を維持していく、ということになると思います。
住  吉
糖尿病にならないための健康管理の1つ、「運動習慣」のお話も伺っていきます。
糖尿病だけではなく、色々な生活習慣病を予防するために運動が欠かせない、ということは常識になってきているかと思います。特に、糖尿病予防に効果があると考えられている運動は、どういったものがあるのでしょうか?
勝  川
少しややこしいですが、2つの異なるデータがあるんです。1つは、運動量が多い人と少ない人を比べて、多い人がどのくらい糖尿病になりにくいかを測ったものです。そうすると、少しでも運動量があると、全く運動していない人よりも糖尿病のリスクが少なかったんです。もっと運動量が多いと、さらに少なくなる。直線的にリスクが下がる。そういうことで言いますと、少しでもいいから運動しましょう、と。そして、今運動している人は、少しでも増やしましょう、というアドバイスになります。