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第243回 松澤陽子さん

第243回 松澤陽子さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、松澤内科・糖尿病クリニック院長の松澤陽子先生です。先日、リモートでお話を伺いました。
今日のテーマは「糖尿病」。糖尿病の基礎知識に加えて、女性の糖尿病についても詳しく伺いました。
住  吉
松澤先生のクリニックでは、「行くと元気が出るクリニック」をキャッチフレーズに、地域の方々の健康をサポートしていると伺いました。
松  澤
糖尿病の受診というと、怒られたり、点数をつけられたりすると思ってしまう方もいるのですが、そういうことではなくて、「スタッフとたくさん話して元気になってください」という意味で、このようなキャッチフレーズを使っています。
住  吉
それでは早速、今日のテーマ「糖尿病」について伺っていきます。まず、糖尿病はどのような病気で、どのような方がなりやすいのでしょうか?
松  澤
糖尿病というのは、血糖値、つまり全身をめぐっている血液の中のブドウ糖の濃度が、高い状態が長く続いてしまう病気です。「1型」と「2型」がありますが、成人の多くの方は「2型」の糖尿病です。これは、まず遺伝的な体質があって、そこに、食べすぎや運動不足、ストレスなどが複雑に影響して発症する病気です。
住  吉
どのようなことがきっかけで、糖尿病だとわかることが多いのでしょうか?
松  澤
最初の頃は、何も症状が出ないんです。ですから、自分では何も感じないのですが、健康診断を受けたら「血糖値が高い」ということを指摘されて、病院に来る方が多いです。
ただ、さらに重症になると、喉がやたらに渇いたり、トイレが近くなったり、身体が疲れやすくなったり、体重が減る、などの症状が出てきます。最近では、ご自分でこれらの症状に気づいて、それをネットで調べて、「自分は糖尿病なのではないか?」と思って受診される方も増えてきています。
住  吉
糖尿病になってしまうと、一番危険なことや怖いこと、リスクはどのようなことがありますか?
松  澤
糖尿病は、血糖値の高い状態が続くので、全身の血管が傷ついてしまいます。その結果、様々な合併症が起きます。
昔から3大合併症と言われているのは、「目の障害」「腎臓の障害」「神経障害」です。また、そのほかに、心筋梗塞や脳梗塞になりやすく、最近では認知症や骨粗しょう症も増えると言われています。
そして、感染症に対する抵抗力も弱くなってしまいます。例えば、新型コロナウイルスに感染してしまった場合も、血糖値がうまく管理できていないと、そうでない方よりも重症になりやすいことがあるので注意が必要です。
住  吉
糖尿病の治療は、生活習慣の改善が大きいと言われますが、食事や運動の習慣を改善することはなかなか難しいのかなと想像します。松澤先生は患者さんと向き合ううえで、どのようなアドバイスをされていますか?
松  澤
本当におっしゃる通りで、生活習慣といっても一人ひとり違いますし、好みなどもありますし、一概に「食事はこう」「運動はこう」と決めようとしても、なかなかうまくいかないと思います。例えば、食べる量だけではなく、食べる時間もすごく大事なのですが、その方の仕事や家庭の状況によって、できることとできないことが出てくると思うんです。
そこで、私たちのクリニックでは、まず最初にスタッフがその患者さんの生活について、できるだけ詳しく聞き取りをするところから始めます。今ある自分の生活を見つめ直していただいて、そこから出発。その中で、少しだけでも変えられるところはあるか、自分で工夫できそうなところはどこか、などを患者さんと私たちとで一緒に探していく、ということに気をつけています。そして、習慣として望ましいことは色々とありますが、長く続けていこうと思ったら、自分自身がそれを「楽しい」とか食事なら「美味しい」とか、そう思えることでないとポジティブに続けていくことはなかなか難しいと思うので、そういうものを見つけていくこともとても大事だと思います。
住  吉
具体的な患者さんの成功例はありますか?
松  澤
夜遅くに食べてしまうという方がいたんです。寝る前に間食してしまう、と。詳しく聞いてみると、夜ご飯を夕方5時、6時というすごく早い時間に食べていて、寝るのが夜12時ぐらいなので、その間にお腹が空いて何か食べてしまう、と話していました。なぜそうなっているのか、など色々と話を聞いていって、結局、「夜ご飯の時間を少しずらして、夜7~8時にしてみましょう」ということになりました。内容は全然変えていないのですが、それだけで寝るまでの間は我慢できるようになって、結果的に体重が減りました。
自分の生活の内容自体は変えなくても、少し工夫をこらすだけで良い結果が得られるという場合は結構たくさんあるのではないかなと思います。
住  吉
すごく苦しいことをやらなくても、少しアドバイスしてもらって、「それだけで良くなるんだ」ということがわかると、患者さんもきっと元気が出ますよね。
松  澤
あとは、「あれはダメ」「これはダメ」と言われてしまうと皆さん元気がなくなってしまうと思うので、自分で考えて、「これならチャレンジできそうかな」ということを自分で探してもらう、スタッフと一緒に考えてもらう、それが一番大事なことかなと思っております。
住  吉
ここからは、「女性の糖尿病」という視点でお話を伺います。女性の糖尿病は増えているのでしょうか?
松  澤
令和元年の厚生労働省の統計で見てみますと、糖尿病が強く疑われる人の割合は、男性が19.7%、女性が10.8%となっています。この割合は、過去10年ぐらいの間は大きな変化がありませんが、いわゆる予備軍を含めると、だいたい6人に1人ぐらいは糖尿病の危険があると言われています。
男性は、40代ぐらいから患者さんが徐々に増えていきますが、女性の場合は、50代以降に血糖値の高い人の割合が増えてくる、ということが特徴です。
住  吉
何の違いで、男女の差が出るのでしょうか?
松  澤
実は、女性ホルモンがまず1つ影響していると言われています。「エストロゲン」という女性ホルモンに、血糖値を下げる作用、身体を糖尿病から守ってくれる作用があるんです。
女性が更年期を迎えると、エストロゲンの分泌が減ってきますので、そうなると血糖値が上がる女性が増えてきます。
それから、若い世代では、妊娠したときに糖尿病を発症してしまったり、生理の周期に合わせて血糖値が変動したりすることもよくあって、糖尿病血糖値と女性ホルモンはすごく深く関係しているんです。