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第248回 大曲貴夫さん

第248回 大曲貴夫さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で国立国際医療研究センター・国際感染症センター長の大曲貴夫先生です。
今日は「感染症」というテーマで、大曲先生にお話を伺います。よろしくお願いいたします。
大  曲
よろしくお願いいたします。
住  吉
今年6月にも、この番組で新型コロナウイルスのお話を伺いました。また状況も変わってきたので、今日は最新のお話を伺えればと思います。
特に、「オミクロン株」という新しい変異株が出てきて、ヨーロッパを中心に世界各国で感染が拡大。イギリスでは9割以上がオミクロン株に置き換わったと報じられています。
そんな中、なぜ日本では感染が比較的抑えられているのでしょうか?
大  曲
いくつかあるのですが、一つは、ワクチンを打ったタイミングがよかったのではないかと思います。7~9月に、高齢者だけでなく我々の世代も含めて、一気にワクチンの接種率を上げました。ということは、多くの方々は、ワクチンを打ってからそれほど時間が経っていないので、効果がまだ十分ある、ということが一つ。
でも、それだけでは完全に抑えこみができないので、なかなか目には見えにくいですが、一人ひとりの感染対策がしっかりしているのではないかと思います。マスクを取る人も見かけなかったですし。もっと出かけたりするかと思ったのですが、秋の皆さんの様子を見ていると、すごく慎重で。やはり日本はこうなのだなと思いましたね。それはすごく効いていると思います。
住  吉
オミクロン株に対して、ワクチンがどこまで効くかわからないと報じられていますが、この辺りは実際どうなのでしょうか?
大  曲
イギリスや南アフリカのデータが出始めたのですが、発症を防ぐ効果はかなり落ちている、ということは間違いなさそうですね。残念な話ですが…。ただ、重症化を抑える効果はそこそこ保たれているようで、そこは少し安心しました。
住  吉
それでは、また新たに立ち向かわなければならないかもしれない、ということなのでしょうかね…。
大  曲
そうですね。ワクチンを打っていれば、前ほど重症化しないかもしれません。日本に入ってきたらどうなるかはわかりませんが…。ただ、広がりやすいことは間違いなさそうです。
住  吉
重症化しにくいのではないかということを、オミクロン株そのものの特徴としてニュースで聞くのですが…。
大  曲
イギリスや南アフリカから出ている数字や報告を見ると、確かにそのように見えるんですよね。ただ、なかなか感染症は難しくて、どういう国のどういう世代の方々の間で流行したかで、全く見え方が違うんです。一番わかりやすい言い方だと、高齢の方々がかかると重症化しやすいので、高齢の方々がどのぐらいかかったかどうかで、全体の重症化率も変わってきてしまいます。そこは慎重に見たほうがいいのかなと。日本は世界一の超高齢社会なので、そこに入ってきたらどうなるかということは、全く別の話だと思っておいたほうがいいかと思います。
住  吉
そうすると、最初から感染症を増やしたくない、第6波はどうなるのだろうか、と皆さん心配されていると思います。第6波についてはどのように見ていますか?
大  曲
デルタ株がまだ日本でも出ていますが、そのデルタ株が次の流行を起こすという仮定で話をすると、1月の終わりから2月ごろに誰が見てもわかるような山が来るのではないかと言われていたんです。それは多くの方々がシミュレーションをして、シナリオを作って分析したら、そういう話になっていたので、僕もそうかなと思っていました。
ただ、問題はオミクロン株が入ってきたこと。オミクロン株は、デルタ株よりも感染が広がりやすいんです。それはワクチンだけだと予防効果がないということもあるのですが…。
ここからは僕の素朴な予想ですが、もしオミクロン株が急に増えるということになると、第6波が来るのが前倒しになる可能性が十分にあると思っていて。そこが今一番気をつけなければならないことかなと思っています。年明けや1月中旬にどうなるかなと、その辺りは心配しています。
住  吉
なるほど。今、色々なデータも発表されていて、先週出ていた記事などでは、東京都の新規感染者は2月に3000人に達する可能性がある、と報じられています。この数字はどのように見ていますか?
大  曲
オミクロン株をどこまで計算に入れるか、なのでしょうが…。イギリスや南アフリカでの新規陽性者数の増え方が、今までにないぐらい速かったので、そういうことを考えると十分ありえる話なのかなと思います。
住  吉
3回目のワクチン接種も少しずつ始まっています。「ブースター接種」と呼ばれるのですよね。そのブースター接種のタイミングや、接種した方がいいのかなど、皆さん色々と思っているのではないかと思います。
大  曲
日本で使ったmRNAワクチンを、2回打った後に3回目を打ったらどうなるかというのは、オミクロン株をターゲットにして調べてあるのですが、2回打った後と同じぐらいの抗体がつくらしい、ということがわかっています。今の段階だと、ワクチンを2回打っただけでは発症予防の効果は不十分ではないかと言われていますが、3回目を打つと発症予防効果もそこそこは保たれると想像されます。
オミクロン株がもうここまで来てしまっているので、なるべく早くブースター接種をしていきたいというのが正直なところです。
住  吉
そして、新型コロナウイルスの治療薬についても、ニュースが日々出ていますが、オミクロン株にも効きそうなのか、突破口になるのかなど、皆さん気になっていると思います。
大  曲
先週、アメリカの企業が開発したお薬が日本でも承認されたんです。世界でも初めての承認された飲み薬なので、非常に期待されていますよね。オミクロン株に対しても、少なくとも試験管のレベルだと十分効果がありそうだということがわかっています。我々としても、治験でも効果が示されているので、期待はしています。
ただ、世の中に初めて入ってくるものなので、使っていても多少悪くなる方もいらっしゃると思います。ですので、きちんと様子を見なければなりません。そして少しでも悪くなったら、すぐ病院にお連れする。そういうことも同時にしっかりとやらなければならないですね。「飲んだから大丈夫」というわけではない、ということです。