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第250回 森田豊さん

第250回 森田豊さん

住  吉
脳を使うことでしたら、例えば、新しいことを勉強したり、先ほどリスナーの方からのメッセージにもありましたが、麻雀をしたり、そういうことでもいいのですよね。
森  田
麻雀やゲーム、将棋、チェスなども、認知症のリスクを下げると言われています。
住  吉
認知症予防のための“食べ物”などはいかがでしょうか?
森  田
「魚介類に含まれるEPA、DHA」が効果的です。1日に1回以上魚を食べている人は、ほとんど魚を食べない人に比べて、アルツハイマー病の危険が5分の1になるというデータもあります。
住  吉
お酒はどうでしょうか?
森  田
お酒を飲む人にとっては朗報なのですが、「適度のお酒」が、アルツハイマー病の予防に効果的と報告されています。この“適度”の量は、ビールだと1週間に1~6本、すなわち1日1本以内が、認知症予防に効果的です。
ただ、飲み過ぎると逆に認知症のリスクを高める、という報告もありますので、適度なお酒なら良い、ということを覚えておいていただきたいと思います。
住  吉
他に、研究でわかった意外な予防法などはありますか?
森  田
意外なものは、「ブラックジョークは良くない」ということです。ブラックジョークを言う人は、そうでない人に比べて3倍も認知症を発症しやすい、ということが東フィンランド大学の調査でわかっています。
皮肉というのは、他人を傷つけようとしていて、自分はそんなに笑いながら喋っているわけではありません。そのため、脳の一部だけを酷使していて、認知症になりやすいのではないかと考えられています。明るく楽しいジョークに変更したほうがいいのではないか、という研究結果です。
住  吉
意外ですね…! 毒舌を吐けるのはすごく頭がいいからだと思っていましたが、脳を酷使してストレスになっていたり、脳全体をバランス良く使っていなかったり、ということがあるのですね。
ここからは、リスナーの方からのメッセージをご紹介します。昨日、高齢者の免許返納について番組で取り上げましたが、その際に専門家の方が「認知症になったら運転はやめるべき」とお話しされていました。そのことに対して、質問や意見が届いています。

「認知症になったら運転をやめると言いますが、認知症だと本人がわかるのはいつなのでしょうか? 視力、体力、思考能力も徐々に衰えていきますよね。徐々にだからこそ気づきにくいです。診断が下るまで運転します・させます、では怖すぎないでしょうか?」
住  吉
確かに、徐々に認知症になっていくので、どこからが認知症で、どのように本人がわかるのか…。
森  田
認知症になると、自分が認知症だと思えないんです。逆に言うと、「最近物忘れが多くなってきて心配だな…」と思っている人は、認知症でないことが多いです。「私は忘れることが少ない。認知症ではないから医療機関には行かない」と言い出している人のほうが、認知症になっている可能性が高いんです。ですから、周囲が気づくこと、そして、医療機関との橋渡しをしてあげることが大切なんです。
住  吉
周りの力が大きいのですね。
もう一通ご紹介します。

「認知症を疑われる当事者は、検査を勧められると『自分がぼけたと思われている』と感じ、反発する話をよく聞きます。運転に関わらず、一定年齢になったら全員認知症検査を定期的に受けられるようになったら助かる人も多いのに…と思います」
住  吉
確かに、「なぜ私だけ? 同級生はまだ行っていないのに!」ということになるよりも、健康診断のような形で受けられるようになったら…というご意見です。
森  田
共感します。私の母も認知症になって20数年経ちますが、最初に発症してから数年間、僕は認知症だとわかっているのですが、いくら説得しても医療機関を受診しなかったですね。ですから、周囲が気づくことは大切ですが、どのようにして受診させるかを考えると、「○歳以上は全員認知症検査をする」、あるいは「人間ドックのときに認知症の検査も入れる」などという制度があったほうがいいのではないかと思っています。
住  吉
メタボ健診のように、当たり前になるといいですね。
もう一通ご紹介します。

「自分は、家族・親族を見る限り、家系的にリスクが大きいような気がするもので…。アルツハイマー型認知症、もしくは認知症全般において、遺伝の要素はどれぐらいあるのでしょうか? 後天的要素のほうが重要なのかなど、気になるのですが…」
森  田
遺伝が関与しているという報告もあり、例えば、家族性が因子の認知症もあります。ただ、全体の2~3%と報告されているので、やはり環境が大切だと思います。
同じ家族内ですと、例えば、運動習慣がなかったり、食生活が同じだったりもしますよね。魚介類をあまりとらない家族だったり。あとは、人との会話が苦手だったり…そういったこともあるのかなと思いますね。
住  吉
生活や運動習慣などのつながりも大きいということですね。そこに気をつけるだけでも違うかもしれません。
高齢者の免許返納について、医師の立場でアドバイスするとしたら何かありますか?
森  田
やはり自分では認知症だと気づかないんです。3か月に1回家族会議をするなどして、みんなで情報を共有していくことが大切なのではないでしょうか。「お父さん、少し運転が荒くなったね」「運転はもうやめたほうがいいんじゃない?」など、そういう会話ができる状況を作っておくことが大切だと思います。
あとは、認知症の定期検診が、国や自治体、医療機関で進んでいくのがいいかなと思いますね。
住  吉
森田豊さん、ありがとうございました!
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