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第252回 山越志保さん

第252回 山越志保さん

住  吉
できるだけ、会って話しているときと同じような環境に近づけるということですね。
コロナ禍は、リモートワークでも心と身体のバランスを保つことは難しい、というお話を伺いました。気をつけるべきことは何でしょうか?
山  越
自宅で働く環境を整えていただいて、働くスペースとくつろぐスペースを分けていただくことをおすすめしています。
あとは、オンラインであっても、仕事をするときは全身仕事着に着替えていただいて、仕事をするモードに入っていただきたいと思います。
住  吉
下だけパジャマ、ではダメですね(笑)。
山  越
そうですね(笑)。
住  吉
それはどうしておすすめなのでしょうか?
山  越
気持ちのうえで、「これから仕事をする」ということと、仕事が終わったときに着替えることで「仕事が終わった」という、儀式のようなことにしていただけるといいのではないかと思います。
形から入って、心も切り替えられる、というイメージです。
住  吉
あとは、先ほど「働き続けてしまう」というお話がありました。家では時間の管理が難しそうですが、それを意識することも大切そうですね。
山  越
本当に皆さん頑張っているなと思うのが、通勤時間がなくなったので、その時間に仕事ができるとか、オフィスにいた頃は、昼休みに同僚や先輩と外に出てご飯を食べていましたが、その時間はおにぎり片手に仕事をしてしまうとか。
もっと集中しすぎる方は、朝起きてから仕事をしていて、気づいたら暗くなっていた、という方がいるんです。一見、仕事熱心でいいように感じるのですが、仕事効率は落ちていくと考えています。なので、定期的に小休憩を挟みながら、昼休みの時間もきちんと取るように、とお伝えしています。
住  吉
今回、リスナーの皆さんにこのようなアンケートを行いました。
「精神的ストレスを感じるのはどのような時ですか?」
「ストレスを緩和するために行っていることはありますか?」
その中から、いくつかご紹介します。山越先生には、お答えやアドバイスをお願いできればと思います。

「職場でのコミュニケーションが上手くいかないときに精神的なストレスを感じます。ストレスを緩和するための予防策、知りたいです」
住  吉
こちらは、リモートワークに限らないお悩みなのかなと思います。
山  越
仕事をしていると、ストレスはつきものですよね。そうなったときに、このご質問のように、自分の中で対策を作っておくといいと思います。その1つ、自分にとって話しやすい人に、ストレスに感じていることを話してみる、ということをおすすめしています。
職場の人に直接的に問題点やストレスに感じている点を話せたら解決に近いのかなと思うのですが、なかなか難しいと思うんです。そんなときは、一人で抱え込まないで、家族や友人、あるいは別の部署の話しやすい先輩などに話すことで、すぐに解決を求めなくても、ご自身の中で整理されてくるのではないかと思います。
住  吉
何人か話せる方がいると、まずそこで安心ですよね。「仕事の愚痴は聞きたくないかな…」と気を使ってしまうときもありますが、正直に「ごめん、すごくストレスが溜まっていて…聞くだけでいいから聞いてくれる?」と言うと、意外にみんな快く「話して!」と言ってくれるものです。先生がおっしゃるように、話すだけでも気が済みますよね。
山  越
そうですよね。「ちょっと聞いて!」と言ってしまうことはとてもいいことですね。
住  吉
メンタルの悩みは、なかなか近くの人には相談しづらい、ということもあると思います。専門医や専門家に相談したほうがいいという目安がありましたら、教えていただけますか?
山  越
心の悩みは色々なものがありますし、一人ひとりが置かれている環境もずいぶん違うんです。なので、一概にこうと断定できないのですが、いつも話しているのは、この2つの目安です。1つは、「日常生活に何かしら支障が出ている」、もう1つは、「症状なり、心のもやもやなり、つらい気持ちが2週間以上続く」というところです。こういった2つのことがあった場合には、専門家に相談していただいたほうがいいのではないかと思います。
住  吉
一方で、コロナ禍、受診控えや健診控えも問題になっていますよね?
山  越
はい。新型コロナウイルスに感染してしまうのではないかというイメージからか、医療機関を受診される方が非常に少なくなりました。ただ、外に出るリスクはあるのですが、きちんと病院を受診されたほうがいい方もいらっしゃるので、そこは控えないでいただきたいんです。
今、医療機関でも、発熱患者と一般の方を分けるという対策をとっていますし、本当に心配であれば、受診を考えている医療機関に、新型コロナが心配だということを率直に相談してみたほうがいいかなと思います。
受付で、“こういう新型コロナ対策をしている”と聞くだけでも安心につながるのではないかと思います。
住  吉
最後に、山越先生ご自身の健康の秘密を教えてください。
山  越
健康の秘密は、“リズムを整える”です。
住  吉
先ほど、「きちんと休憩を取る」「仕事のときは着替える」などとおっしゃっていただきましたね。
それでは、コロナ禍で働く全ての方々にメッセージがあればお願いいたします。
山  越
休むときは休みましょう。皆さん、本当に頑張って働いていらっしゃいます。仕事だけでなく、家庭のことも含めて、全て頑張っていらっしゃって、本当に素晴らしいです。ただ、働きすぎてしまうと疲れてしまいます。人生100年時代、長距離マラソンのようなものですので、自分のペースで長く、健康で働きましょう。
住  吉
山越先生のご著書『健康リモートワーク読本 コロナ新時代の働き方』は、メディア・ケアプラスから発売中です。山越志保先生、ありがとうございました!
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