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第254回 中村中さん

第254回 中村中さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、シンガーソングライターの中村 中さんです。おはようございます。
中  村
おはようございます。よろしくお願いします。
住  吉
今年、活動15年目。おめでとうございます。
中  村
ありがとうございます。
住  吉
15年目を迎えて、いかがですか?
中  村
自分が宣伝下手なんだなということに気づきまして…。
住  吉
どういうことですか?
中  村
曲を書いたり、芝居をしたりもするんですけれど、作ることは、やり遂げるとある程度達成感があるわけです。ただ、それを人に聴いてもらうには、さらに聴いてもらうための努力が必要なんですけれど…私、割と燃え尽きてしまうタイプですので、その辺はファンの方に頑張っていただこうと思っています。
住  吉
なるほど!
そして、2月16日に、オールタイム・ベストアルバム『妙齢』をリリースされます。ヒット曲、代表曲に新曲を加えた、全16曲です。このアルバムを作るにあたって、聴きなおしたり、集めなおしたり、色々と作業をされたと思いますが、形になってみて、ご自身ではどのようなことを感じられていますか?
中  村
2006年にデビューをしたんですけれど、自分の曲ながら、考え方は変化するんですよね。デビューした当時の曲は、自分が生まれた意味を他人に求めがちというか、誰かと一緒に生きることに意味があると思っていたんですよ。1人で生きることが未熟なのではないかと。でも、最近作っている歌は、そもそも自分自身が生まれた意味や生きている意味を、他人にもらうというよりは、自分で作れる自分でなければ、誰かと何か意味を作ろうというときに相手もろとも倒れてしまうのではないか、と思っているので、そういう変化があったんです。色々聴き返して、ちょうど人間が成長するような曲順にもできるなと思ったので、そういった内容になっています。
住  吉
まさに人間の精神が成熟していく過程そのものですよね、その気づきというのは。
コロナ禍に生まれた『一杯の焼酎』という曲は、映画『パラサイト 半地下の家族』のエンディングテーマ『Soju One Glass(焼酎一杯)』に、日本語の歌詞をつけて歌った曲だとか?
中  村
そうですね。その曲も収録されております。
『パラサイト 半地下の家族』という映画のエンディングテーマでたまたまかかっていた曲が、ポン・ジュノ監督の詞で、字幕で歌詞が出ていて。PM2.5が韓国の街を覆っていて、その中で働く人たちの歌、だと思って聴いたんです。“見えない霧”という歌詞が出てきて、ウイルスのようだなと思って。そのときちょうど緊急事態宣言なども出されて、私もツアーができなくなってしまったり、世界中の人たちが身動きを取りづらくなったじゃないですか。自粛はするんですけど、その間に何か、心の鬱憤を少しでもよそ見できるようなというか、そういう歌が書きたいなと思ったときに、ふと思い出したんです。あの歌で何かできるのではないかと。
住  吉
素敵です。
もう1曲、新曲が収められています。『あいつはいつかのあなたかもしれない』という曲です。こちらもコロナ禍だからこそ生まれた曲なのでしょうか?
中  村
うーん…そうかもしれないですね。確かに今、自粛などをしていて、フラストレーションが溜まっている方がたくさんいると思います。ニュースなどを見ていても、我慢の限界に達している人が多いんだなということを感じるんですよ。SNSなどをやられている方は、今、SNSというツールで自由に自分の言葉を発信できるじゃないですか。でも、使いようによっては誰かを傷つけかねなくて。何か不祥事を起こした人とか、道を踏み外した人に対して、袋叩きにするような誹謗中傷が問題になっていますよね。確かに美紀さんがおっしゃるように、今の時期だからより気になったんだと思うんですけど、不祥事を起こした人を叩くことで、フラストレーションを発散するのではなく…。いつ自分が逆の立場になるかわからないじゃないですか。道を踏み外してしまう人にだって、事情があると思うんです。何か物事が起きてしまってから叩くのではなくて、もしかして自分も、あるいは身近な人も、限界が来ているかもしれないな、何か道を踏み外してしまいそうな人はいないかな、というように目配りすることも必要なのではないかと思って作ったのがこの歌です。