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第265回 岡部正さん

第264回 岡  部さん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のテーマは、「健康診断」。お話を伺うのは、岡部クリニック院長の岡部正先生です。よろしくお願いします。
岡  部
よろしくお願いします。
住  吉
岡部先生のご専門は「糖尿病」ということで、予防や治療に長年携わってこられました。 銀座にクリニックがあるとのことですが、コロナ禍の診察で、先生が気になっていることはありますか?
岡  部
新型コロナウイルスの影響で、「銀座に来るのが怖い」「電車に乗るのが怖い」と言って受診を控えられて、3~4か月後に来ると、糖尿病が非常に悪化している、というケースが多かったですね。
住  吉
受診もですし、健診もきっと控えられて…。
岡  部
はい。今年になって、進行したがんの方が数名見つかっているんですが、皆さん、去年健診を受けていないんです。もし受けていたら…ということも、新型コロナの影響かなと思います。
住  吉
健診控えが問題になっていますが、やはり現場でもそう感じていらっしゃるのですね。
そもそも、「健康診断に行きましょう」「健康チェックを受けましょう」と言われていますが、なぜ健康診断を受けたほうがいいのか、健康診断で何がわかるのか、今日は改めてお話を伺います。
一般的な健康診断でチェックできる項目は、どのようなものがあるでしょうか?
岡  部
血圧、血糖値、血液中の脂質、コレステロールや中性脂肪、肝機能、腎機能、検尿、貧血の検査、肺や胃のレントゲンなど、色々とありますね。
住  吉
こういう一般的な健診の数値で、私たちがなり得る病気の予兆がわかったり、未然に防げたり、実際に病気になってしまっているとわかったり…かなりのことがわかるのですよね?
岡  部
早期の発見ができます。糖尿病で定期的に通院されている方で、「病院に来ているから健診は受けなくてもいいでしょ」と言う方がいらっしゃるんですが、保険診療は、治療中の病気に関連する検査しかできないんです。他の検査はしていないんですよ。もちろん、例えば「すごく痩せてきた」「貧血になった」という場合は、がんの疑いで検査をしますが、その時はもう進行しているんです。早期発見するには、健診が大事だと思います。
住  吉
検査項目をいくつもあげていただきましたが、特に予防の観点から、大事だと思われる数値はどの辺りでしょうか?
岡  部
もちろんどれも大事なんですが、私が選ぶのは、血圧、脂質、血糖、この3つです。
住  吉
それぞれどのような理由で、そしてどのような病気の予防につながるのでしょうか?
岡  部
高血圧やコレステロール、糖尿病の予防につながるんですが、すべて、最初のうちは自覚症状が全くないんです。ですから、検査を受けなければわからないんです。
住  吉
血圧が上下しても、あるいは脂質や血糖値が増えても減っても、あまり本人にはわからないと。
岡  部
全く痛くもかゆくもないです。
それを放っておくと、10年後ぐらいに動脈硬化が進みだして、心筋梗塞や脳梗塞など、怖い病気になってしまうんです。
住  吉
血圧は、高血圧や血管の病気などに影響が?
岡  部
今の3つはすべて動脈硬化につながります。
住  吉
血糖もですか?
岡  部
血糖もそうです。
住  吉
そうなのですね。当然、血糖は糖尿病とも関係がありますものね。
岡  部
血糖値が高くなると、糖尿病になります。糖尿病を放置しておくと、脳梗塞が普通の人の2倍、心筋梗塞が3倍ぐらい起こります。
住  吉
岡部先生のご専門の「糖尿病」でいうと、やはり血糖値はすごく大事な指標ですよね?
岡  部
はい。糖尿病というと、尿に糖が出る病気だと思っている方が多いんですが、病気の本体は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが悪くなるんです。それで血糖値が上がってきます。非常に血糖値が高くなって初めて、尿に糖が出てくるんです。
住  吉
尿に糖が出てきた時点では、もう進んでしまっているのですね。
岡  部
もう糖尿病が発病して5年ぐらい経っていますね。
住  吉
糖尿病はこのコーナーでも何度もピックアップしていますが、罹患されている方は日本で多いのですよね?
岡  部
はい、今推定されているのは、糖尿病の患者さんが1千万人、その予備軍も1千万人。ですから、60歳以上の男性の4人に1人は、糖尿病か、その予備軍ということになりますね。
住  吉
これは全体的に増えているのでしょうか?
岡  部
増えていますね。年齢関係なく増えています。
住  吉
なぜ増えているのかは、わかっているのでしょうか?
岡  部
1つは、運動不足。自動車社会になって、運動量が減っているということ。
それから、食べる量のカロリーは変わっていないんですが、脂質の量が増えているんです。
それが原因ではないかと言われています。
住  吉
糖分だけではなく、脂質も影響してくるのですね。
岡  部
そうですね。
太ってはいけない病気なんです。
住  吉
どのような人が糖尿病になりやすいかを考えると、今おっしゃったような食生活の方、ということでしょうか?
岡  部
日本人の糖尿病患者の95%は、2型糖尿病というタイプなんですが、この糖尿病は、遺伝の影響が非常に濃厚なんです。遺伝の素質があって、太っている方、食べすぎの方、運動不足の方、そういう方が糖尿病を発病します。
住  吉
糖尿病になると、どのような状況になり得るのでしょうか?
岡  部
血糖は、例えば砂糖水を想像してください。砂糖水を机の上にこぼすと、乾いた後はカリカリになりますよね。それと同じで、血糖値が高いと、長い間かけて血管にカリカリとついて、血管の病気になるんです。
特に、糖に弱い、目の血管や腎臓の血管がやられると、失明や人工透析につながります。
住  吉
糖尿病は、健康診断で発見や予防ができる病気ですか?
岡  部
血糖値を測れば一目瞭然でわかりますが、初期の糖尿病は、空腹時の血糖値が正常なんです。食べた後に血糖値が上がる。健康診断は空腹時に行きますから、そうすると初期の糖尿病は見つからないんです。先ほど言った、糖尿病の家族がいる方や太っている方、糖尿病の心配な方は、ブドウ糖を飲んで血糖値が上がるかどうかをみる、「ブドウ糖負荷試験」という検査がありますから、それをおすすめします。
住  吉
自分で先生に相談すると、そういう検査が受けられるということですね。
岡  部
かかりつけ医に言えば大丈夫です。
住  吉
番組サイトでは、リスナーの皆さんに健康に関するアンケートを行っています。今回は、「1年に1回、健康診断を受けていますか?」と伺いました。「はい」が73%、「いいえ」が27%、という結果になりました。先生はこの結果をどうご覧になりますか?
岡  部
理想は100%なんですが、73%はそこそこいい数字ではないかと思います。