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第266回 安藤なつさん

第266回 安藤なつさん

住  吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、お笑いコンビ「メイプル超合金」の安藤なつさんです。よろしくお願いします。
安  藤
よろしくお願いします。
住  吉
相方はカズレーザーさんで、2015年に『M-1グランプリ』で決勝進出。今は女優としても活躍されています。
その一方で、ボランティアを含め、介護のお仕事に携わって20年だそうですね。
安  藤
トータルでいうとそのぐらいだと思います。
住  吉
すごい…!中学生のときから介護に関わるようになったと伺いましたが、きっかけは何だったのでしょうか?
安  藤
おじが小規模の施設を作りまして、そこに遊びに行く形でずっと行っていました。
住  吉
遊びに行ったときに、「ちょっと手伝って!」というような?
安  藤
そうです、そうです。
住  吉
そこで現場に通い慣れつつ、20歳のときに「ヘルパー2級」の資格を取得。このときはもう芸人をやっていたのですか?
安  藤
やっているときですかね。今でいう「初任者研修」というものなんですけど、最近自分はもう1個上げて「実務者研修」を取ろうと思って、教科書を取り寄せたばかりです。
住  吉
そうですか!
芸人のかたわらで研修というのは、結構大変ではなかったですか?
安  藤
そんなに苦ではなかったです。楽しかったですね。
住  吉
その経験を生かして、今回介護に関する本をまとめられました。『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』という本です。どうしてこういった本を出そうと思ったのですか?
安  藤
元々、介護の仕事をしていたということもあって、そういうお話をいただいて、「自分が橋渡しになれればな」と思って出させていただきました。
住  吉
介護のことで悩む方は少なくなくて。ほとんどの方が何かしら悩んだり、関わったり、悩んでいる方のかたわらに寄り添ったりしている時代ですものね。
安  藤
そうですね。絶対経験するであろうと。ただ、いつ来るかわからないじゃないですか。いつ来るかわからないけど、来たときの心構えとして、あったらなという本を出しました。
住  吉
とてもわかりやすく、絵や図もたくさんあって、読みやすくまとめていらっしゃいますが、結構肝なことが色々とおさえられています。
キーワードの1つが「お金」。今日もリスナーの方から、「自分は老人ホームに入りたいけどお金が不安…」というようなメッセージが来ていたり、親の介護もお金の不安がある方が多いと思います。
安  藤
そうですよね。でも、40歳を超えると必然的に介護保険を払うことになりますけど、介護保険というのは、だいたい9割は返ってくるんですよ。だから負担でいうと、保険料が1万円なら1000円で済むんです。
そういう介護サービスをどんどん使っていって、自分に合った生活を保障していったらいいなと思いますね。
住  吉
特に公で出ている介護サービスは、私たちには使う権利があるので、問い合わせて使わないと損だということですね。
安  藤
そうです。
住  吉
他に、介護に関するお金のことで、知っておくべきだと思うポイントはありますか?
安  藤
これは自分も知らなかったことで、共著の太田差惠子先生に聞いたんですけど、てすりやスロープを作るためにリフォームするじゃないですか。その費用に補助が出たりするんですよ。それを私は知らなくて。これは知っておいてほしいですね。実費で払おうと思っていたので。
住  吉
先ほどリスナーからメッセージがあったのですが、大丈夫だった親御さんが家の中の段差で転んで、そこから要介護になってしまった、などということをよく聞きます。なので結構早くからリフォームも考えておいたほうが…。
安  藤
もちろん。段差は2~3cmでもつまずくし、何なら自分は何もないところでもつまずいていたりするので、段差はないほうがいいですよね。
住  吉
あとは、どこからお金を持ってくるか、お金を親にどのぐらい出すか、親のお金はどうするのかなど、各家庭によりけりだと思いますが、この辺りはいかがでしょうか?
安  藤
お金に関しては、介護される親御さんのお金を使ったほうがいいですね。子供さんが自分のお金を出すという負担はやはり大変で、何年介護が続くかわからないじゃないですか。そうなったときに、親御さんとお話しして、「今いくら持っているのか?」とドライに聞いていくしかないと思っていますね。
住  吉
では、自分が無理して「良くしてあげたい」と悩まないほうがいいのですね。
安  藤
そうですね。そこはバッサリ、「親のお金を使う」と決めてやっていったほうがいいと思います。
住  吉
そして、お金の他にもキーワードがあります。その1つが「おトクなサービス」。
安  藤
はい。どういう風に介護のサービスを受けたらいいか、わかりづらいじゃないですか。子供さんなどの介護する側が親御さんのことを相談しに行くのに、自分の地域の相談所に行きがちなんですけど、親御さんが住んでいる地域の「地域包括支援センター」というところに問い合わせると、全部教えてくれます。
住  吉
自分ではなく、親御さんが住んでいる地域、ということがキーなのですね。
安  藤
そうです。
住  吉
そこだとかなり細かく教えてくれるのですか?
安  藤
教えてくれます。全部自分で背負おうと思わないで、プロに頼むのが一番いいんですよね。
住  吉
これは例えば、「転倒して介護が始まりました」というときには当然行くと思いますが、「そろそろ介護を考えなければ…」ということで習いに行くのは有りなのでしょうか?
安  藤
有りだと思います。「様子がいつもと違うな…」というぐらいでも対応してくれると思いますし、不安はプロに頼んだほうが一番いいと思います。
住  吉
たしかにそうですね。
あとは、「ケアマネージャー」もポイントになるそうですね。
安  藤
そうですね。色々なお宅があると思うんですけど、その方に合った生活でケアプランをきちんと立ててくれる方なんですよ。何万、何億通りの中から「この方はこういう生活でいきましょう」というプランを立ててくれるので、フルオーダーメイドみたいな感じでやってくれます。
住  吉
例えば同居している家族がいるのか、いないのか、あるいはその家族がどのような仕事をしていて、どのときにはいて、どのときにはいなくて…など、色々なことを全て鑑みて考えてくれるのですね。
安  藤
そうです。なので結構要となるプロの方です。
住  吉
例えば、親御さんが頑固になってしまって、「デイサービスに行きたくない」「○○したくない」などと言う場合も、ケアマネージャーさんは上手に説得してくれたりするのでしょうか?
安  藤
説得とか、時間をかけて色々と考えてくれると思いますし、デイサービスに行かなくても、その方が有意義に過ごせるようにプランを立ててくれると思います。
プロの専門知識のある第三者が入ることによって、親と子のお互いの生活に余裕ができることが一番大事だと思っています。
住  吉
今日はリスナーの皆さんからも、介護についてのメッセージをお寄せいただいています。
まずは、今日のテーマのきっかけになった方です。80代の認知症のお母様の介護をされていて、「老人ホームには行きたくない」「ヘルパーも嫌だ」とおっしゃるお母様。でも実際は1人で何もできず、お風呂の介助も必要、持病や薬も必要という状態で、どうしようかと悩んでいるのだそうです。
安  藤
こういったことはよく聞きますよね。大変なお話ですもんね…。
住  吉
はい…。こういうお話には、どういう言葉をかけてあげますか?
安  藤
第三者の方で、時間をかけてゆっくり歩み寄ってもらえる方がいたらいいかなと思うんですけどね。理想ですけどね。
住  吉
親と子は、感情がね…。
安  藤
感情論になると、難しいんですよ。
住  吉
そこにケアマネージャーさんが入ってくれると、最初は「えっ!?」と言っても、話を聞いて寄り添ってくれる方がいたら、きっと途中からはお母様もお話しになってくれたり…。
安  藤
その可能性もあると思います。
住  吉
息子さんに言えないことを言ったりとか。
安  藤
そうですね。やはり第三者が親と子の間に入るというのは、私は大事な気がしますね。
住  吉
他のリスナーの方で、37歳の男性の方は「親の介護が始まると、このまま自分は結婚すらできない、逃げ出せない」とおっしゃっています。自分が30代のときに介護が始まると、自分の生活にものすごく支障をきたしてしまって、でも「親なのでやってあげなければ」という義務感や罪悪感もあって…というメッセージも来ています。これもやはり第三者に頼る?
安  藤
それが一番だと思うんですけどね。別に罪悪感を感じることもないし、「親だから絶対に自分が見なければいけない」というのは誰の約束だという話でもあるし、そういうことで自分の生活を苦しめないでほしいなと思いますね。第三者に頼れる部分があるなら、たくさん頼ってサービスを受けたほうが、豊かな生活を送れるのではないかなと思います。
住  吉
一部を持ってもらうだけでも、すごく楽になると思いますし、ご自分の悩みをケアマネージャーさんに吐き出すだけでもまた違いますよね。
安  藤
全然違うと思いますね。