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第269回 相良博典さん

住  吉
このコロナ禍、新型コロナウイルスは、重症化すると肺炎を引き起こすとされている病気ですが、喫煙習慣のある方は、新型コロナにも細心の注意が必要だと、この2年間叫ばれてきました。 先生は、新型コロナの患者さんもずっと診てこられたと伺っていますが、やはり喫煙者だと重症化リスクが高まるのでしょうか?
相  良
非常に高いと思います。特にCOPDの患者さんの場合は、肺の一番最後にある“肺胞”というところが壊れています。そうすると、そこで炎症を起こしやすくなりますので、新型コロナに感染すると重症化しやすいです。そういう面で、タバコを吸っている方は注意しておかなければいけないと思います。
住  吉
そして、喫煙習慣は、COPDだけでなく健康寿命にも影響を及ぼすそうですね。
相  良
そうですね。平均寿命とよく言いますが、元気に長生きをするということが重要だと思うんです。まずCOPDになりますと、肺が壊れて、風船のように膨らんできます。
住  吉
えっ!どうして膨らむのですか?
相  良
どんどん壊れていきますので、呼吸をして膨らんだ肺が縮まなくなるんです。それで風船のようにどんどん広がっていきます。
例えば、肺が膨らんで、横隔膜がずっと下に押し下げられます。横隔膜の下には胃袋があります。物を食べて胃袋が膨らみますが、胃袋が膨らむと横隔膜を下から押し上げるわけです。そうすると、膨らんだ風船が少し縮むような感じになります。そうなると、空気が入らなくなってしまいますので、苦しくなって、たくさん物を食べられない、ということになってしまうんです。それによって、どんどん痩せが進行していって、“フレイル”という状態になってしまいます。
住  吉
フレイルは、介護が必要になる前の状態だということで、最近よく聞くようになった言葉ですよね。
肺の疾患だけではなく、それによって食べられなくなることで、体力の低下が早まってしまうことがあるのですね。
他に、健康寿命という意味で、肺疾患やCOPDが関係していることはありますか?
相  良
COPDの患者さんは、色々な疾患が合併していきます。例えば、心臓の病気や糖尿病、あるいは、外に出られなくなりますので、日光を浴びなくて、骨粗しょう症になったりします。そういう面では、色々な疾患のデパートと言われています。ですから、COPDにならないように気をつけなければいけないと思います。
住  吉
あるいは、もしCOPDになっていても、早期発見が重要ということですね。
相  良
そうですね。
住  吉
番組サイトで、リスナーの皆さんに健康に関するアンケートを行っています。「現在タバコを吸っていますか?」という質問には、「はい」が9%、「いいえ」が91%という結果になりました。この結果についてはどうでしょうか?
相  良
タバコを吸っている方が少なくは見えますが、例えば受動喫煙があったりもしますので、おそらくもう少し数値は高くなるだろうなと思います。
住  吉
なるほど。さらに、「喫煙している」と答えた方に、「タバコをやめたいと思うのはどんなときですか?」と伺いました。いくつかメッセージをご紹介します。

「職場の喫煙所は屋外で屋根なし。なので、雨の中、傘をさしながら喫煙所まで行く事に馬鹿馬鹿しくなった時に、“もうタバコはやめたい”と思います」

「何度も禁煙にトライをしていて、いまもニコチンパッチを服用中です。まだ第一ステージですが、タバコを吸う行為から解放されたいと思っています」

「家族の事を考えたときに、やめなきゃなと思います」
住  吉
このようなメッセージをリスナーの方からいただいていますが、かけてあげられる言葉はありますか?
相  良
やはり、「やめたいな」と思ったときにしっかりやめてもらいたいなと思います。そういうきっかけはすごく重要なんです。例えば、「風邪をひいたときにタバコが不味くなって、それでやめようと思った」ということで、禁煙に成功する方もいらっしゃいますので、何らかのきっかけはすごく重要だと思います。「タバコをやめようかどうしようか…」と思ったときに、それはやめるタイミングだと思いますね。
住  吉
確かに、周りが一生懸命言っても、本人が自分で「やめよう」と思わないと、「禁煙外来に行こう」などという行動につながらないんですよね。
相  良
そうです。タバコをやめようと思う方は禁煙外来に来ますし、タバコをやめようと思っていない方は禁煙外来に来ませんので、そういうきっかけはすごく重要だと思いますね。
住  吉
COPDの早期発見や予防という観点で、健康診断でわかることはありますか?
相  良
健康診断の中には色々な問診があります。例えば、咳や痰、息切れ、同じ年代の方たちよりも歩く速度が少し遅くなった、などが発見の1つでもあります。
あと重要なのが、呼吸機能です。去年、今年、来年と、どんどん呼吸機能が落ちてきているということであれば、それが1つのポイントになるかもしれません。
住  吉
数値が低いというだけではなく、経過をみる。それでは、やはり毎年健康診断を受けるということが、すごく大事になってきますよね。
相  良
はい。毎年の結果を比較してもらいたいと思います。
住  吉
ちなみに、相良先生ご自身が健康や元気のために心がけていることを教えてください。
相  良
健康の秘密は、“美味しいものをたくさん食べること”です。
住  吉
今日はCOPDについて伺いました。今日お話を聞いて、「もしかして…」という方は、一度受診したほうが安心ですよね。
相  良
そうですね。受診したほうがいいと思います。
住  吉
何かきっかけがあることが重要だとおっしゃっていたので、今日この放送がきっかけになる方がいらっしゃればいいなと思います。相良博典先生、ありがとうございました!
ここで、あなたの健康をサポートする協会けんぽ東京支部からのお知らせです。COPD(慢性閉塞性肺疾患)という病気をご存知ですか? 別名タバコ病とも言われ、長年の喫煙習慣によって肺の細胞が徐々に破壊される病気ですが、咳や息切れなど風邪に似た症状のため、放置してしまう人が少なくありません。喫煙歴が長く、慢性の咳にお悩みの方は、医療機関に相談してみてください。COPDに関して、詳しくは協会けんぽのホームページをご覧ください。
次回もどうぞお楽しみに!