第278回 氏家無限さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のテーマは、「感染症」です。国立国際医療研究センター病院 トラベルクリニック医長の氏家無限先生をお迎えしました。よろしくお願いいたします。
- 氏 家
- よろしくお願いします。
- 住 吉
- まず、「トラベルクリニック」とはどのような役割のクリニックなのでしょうか?
- 氏 家
- トラベルクリニックは、海外に渡航される方の健康を守るため、海外に行く前の予防の相談、海外に行くときに求められる健康診断や検査などを行っています。
- 住 吉
- この夏休みは、ようやく3年ぶりに動くという方も増えていて、色々と対応するお仕事も増えていますか?
- 氏 家
- そうですね。新型コロナウイルスが流行し始めてから、海外に行かれる方が減ったので、そういった受診者は少なくなりましたが、ここ数か月、夏休み前などは受診者が増えて、海外に行かれる方がすごく増えているなということを実感しています。
- 住 吉
- 感染が再拡大してしまっていますが、今回の“第7波”は、氏家先生はどのように見ていますか?
- 氏 家
- オミクロン株のBA.5という、これまでのワクチンや感染によって得られた免疫でも、十分に感染が予防できないようなタイプのウイルスが拡大していて。重症化する人は減っていますが、感染者自体は過去にないぐらい全国で増えているという状況で、色々な影響が社会にも出るので、この感染対策も非常に重要になってくるだろうと思います。
- 住 吉
- そんな中、この夏、久しぶりに旅行や帰省を考えている方も多いと思います。この感染拡大の中での旅行や帰省は、どのように考えればいいのか、何に気をつければいいのでしょうか?
- 氏 家
- 新型コロナの感染による流行も非常に長くなっていて、日常生活を取り戻す、社会活動を再開する、ということの重要性も指摘されていますが、まずできることとしては、予防対策をしっかりとすること。予防接種を事前に受けておいたり、新型コロナに限らずですが、マスクを着用したり、手を洗ったり、人混みに必要以上に近づかないなど、そういった対策は重要だと思います。
また、感染したときに重症化する人は減っているのですが、どうしてもご高齢の方や元々病気のある方は、ワクチンを受けていたり、予防をきちんとしていても、感染すると重症化してしまう可能性もあるので、感染すると困るような方には、特に配慮が必要なのかなと考えています。 - 住 吉
- 海外旅行を予定している方もいらっしゃると思います。海外渡航者へのアドバイス、そして戻ってきた後に関してのアドバイスなどはありますか?
- 氏 家
- 海外へ行くと、色々な人に会いますし、これまで行ったことのないような場所へ行ったり、色々な活動をされたりすると思うので、飛行機の中や国際空港など、感染するリスクはどうしても高くなってしまいます。ですので、事前に予防できる対策というと、予防接種を含めて、どのような感染症がどのぐらい流行しているのかという情報を収集する。そして、もし万が一、病気になってしまった場合、どこの医療機関に行くことができるのか、保険に事前に入っておくなど、できる対策はしっかりと行うことが大切だと思います。
また、感染症は新型コロナだけではなく、日本にないような感染症で、すぐに治療しないと重症化してしまうようなものもありますので、帰ってきた後も、万が一体調が悪くなってしまった場合には、早めに医療機関を受診してください。そして、海外に行った後だという情報がないとなかなか診断がつきませんので、帰国後の体調管理も、だいたい1か月後ぐらいまではしっかり気をつけていただくといいと思います。 - 住 吉
- いつも以上に、自分の体の変化や体調の違いに気をつけて自己観察したほうがいいですね。
番組では、リスナーの皆さんに、「今年、海外・国内への旅行の予定はありますか?」というアンケートを行いました。「はい」が24%、「いいえ」が76%という結果になったのですが、氏家先生はこの結果をどのようにご覧になりますか? - 氏 家
- コロナ禍前に同じ方々がどのぐらい旅行を考えていたのか、というところを見てみないと、正確な評価は難しいと思いますが、24%という数字に関しては、感染症に対してまだまだ気をつけなければいけないという意識が働いているのかなと思いました。
- 住 吉
- また、「旅行の予定がある」とお答えいただいた方に、対策や不安なことについても聞いてみました。いくつかご紹介します。
「旅行先でコロナ症状になってしまったときにどうすればいいのか。どこに連絡をして指示を仰げばいいのか、知りたいです」 - 氏 家
- 旅行先で体調が悪くなってしまうと、勝手がわからないということもありますし、特に海外だと言葉が通じなかったり、保険のシステムが全く違うということもあるので、不安に思うことが多いと思います。国内か海外かによっても違ってきますが、やはり適切な医療機関を受診することが大事ですので、保険に入っていれば、保険会社に電話して、受診できる医療機関を紹介してもらったり。国内ですと、今は新型コロナが問題になりますので、地域によって、医療機関の受診の仕方が変わっていることもあると思います。宿泊先の機関や地域の保健所にご相談いただいて、体調が悪いときの受診先について助言を求める、という方法がいいのかなと思います。
- 住 吉
- ありがとうございます。続いて…。
「飛行機の機内での感染対策を知りたいです」 - 住 吉
- 他にも、新幹線の中での感染対策についても質問がありました。
こういった機内や新幹線の中での感染対策については、いかがでしょうか? - 氏 家
- 長時間の移動を要する場合は、普段は一緒にいない方が近くにたくさん座っているような状況でスペースを共有していますので、そういったところでの感染対策の難しさはあると思います。できることとしてはやはり同じですが、感染経路を断つということが大事です。飛沫感染であれば、マスクを着用して、食事をするときにはあまり大声で話さないようにしたり、何か物に触ったときや食事をとる前には手を洗ったり、という基本的な感染対策が大切になってくるだろうと思います。