第282回 金光幸秀さん
- 住 吉
- 住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のテーマは「大腸がん」です。お迎えしたのは、国立がん研究センター 中央病院 大腸外科長の金光幸秀先生です。おはようございます。よろしくお願いいたします。
- 金 光
- 今日はよろしくお願いします。
- 住 吉
- 新型コロナウイルスの感染はもちろん心配ですが、「がん」も無視できません。今や、日本人の死亡原因の1位は、男女ともに「がん」なのですよね?
- 金 光
- そうですね。がんを含めた悪性新生物(悪性腫瘍)が第1位です。
- 住 吉
- 中でも、大腸がんは多いのでしょうか?
- 金 光
- 今、大腸がんの罹患数は、男女を合わせると一番多いです。
- 住 吉
- 増加傾向にあるのでしょうか?
- 金 光
- 年々増えてきていまして、40歳を超えると大腸がんになる確率が上がっていき、50歳を超えるとさらに急激に上がるんです。
- 住 吉
- 死亡率はいかがですか?
- 金 光
- 大腸がんの場合は、人口10万人あたりの死亡率が41.6人となっています。
- 住 吉
- これは多いのですか?
- 金 光
- 多いですね。
- 住 吉
- 大腸がんの原因は、どのようなことがわかっているのでしょうか?
- 金 光
- 遺伝性よりも環境による因子が大きいと言われています。
食生活であれば、高脂肪食、高たんぱく食、食物繊維が少ない食事を中心にされていると、リスクが高くなると言われています。あとは、過度のアルコール摂取、喫煙、肥満、運動をあまりしないこと、ですね。 - 住 吉
- では生活習慣によって?
- 金 光
- そうですね。特に、食生活の欧米化が大きな原因になっていると言われています。
- 住 吉
- 症状は、どのようなものが表れるのでしょうか?
- 金 光
- 症状は、大腸がんができる場所によって違います。左側と右側に分けるのですが、右側は盲腸から横行結腸までの大腸、左側は下行結腸から直腸まで。
右側にできるがんの場合は、まだ便が液体ですので、通るときの症状が出にくく、腹痛なども少ないです。多いのは、貧血ですね。がんがどんどん進行しているのに、症状が出にくく、便に血が混じっていく中で貧血の症状が出ます。
左側は、便が固形になっていき、腸も細くなっていきますので、そこを通るときの腹痛や、嘔吐、吐き気。あとは直腸にがんができた場合は、便が細くなり、血便が出ます。さらに肛門に近いところにがんができますと、トイレに何度も行きたくなる、という症状が特徴的です。 - 住 吉
- 場所によっては、症状では気づきにくいのですね。
- 金 光
- そうですね。右側の大腸ですとなかなか気づきにくいので、症状はなくても、検診のときに貧血を指摘されて、精密検査を受けたら大腸に結構大きながんが見つかる、というケースも珍しくないです。
- 住 吉
- では、症状が明らかに出てから来院すると、結構進んでいることも多いのでしょうか?
- 金 光
- そうですね。症状が出て、精密検査でがんが見つかった場合は、まず進行がんですね。
- 住 吉
- 「早期に発見すると治りやすいがん」とも聞いたことがありますが、これは本当ですか?
- 金 光
- それは間違いないです。治りやすさ・治りにくさは、僕らの場合は5年生存率で示すのですが、大腸がんの場合、早期がんで見つかりますと、5年生存率は95%以上ですので、早期に見つかれば非常に治りやすいがんと考えられています。
- 住 吉
- 早期に見つけるための検査には、どのようなものがあるのでしょうか?
- 金 光
- まず、40歳以上になりますと、大腸がんになりやすくなっていきますので、40歳を超えたら、検診を毎年受けることをおすすめします。便潜血の検査を毎年受けることがいいと思います。
- 住 吉
- さらに、大腸内視鏡検査もありますよね。
- 金 光
- はい。便潜血で陽性となった場合、一度は精密検査として大腸内視鏡検査を受けるべきです。検診で陽性になりますと、大腸内視鏡検査は保険が適用されますので、一度は必ず受けたほうがいいと思います。