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第287回 東川麻子さん

第287回 東川麻子さん

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住 吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のキーワードは、「コラボヘルス」です。お迎えしたのは、医師で、株式会社OHコンシェルジュ代表の東川麻子先生です。おはようございます。
東 川
おはようございます。お願いします。
住 吉
OHコンシェルジュは、産業医の専門集団だと伺いました。東川先生ご自身も産業医でいらっしゃるのですよね?
東 川
はい。
住 吉
産業医として活動することになったきっかけは何だったのでしょうか?
東 川
医学部の学生時代から産業医に興味があって、病院で働くというイメージよりは、工場の中で働く…。
住 吉
工場?
東 川
はい。今でこそ工場見学などが人気だったりしますが、当時はあまりそういうものはなかったんです。個人的には、工場の中の、日常とかけ離れた別世界で働く人の健康はどうなんだろう、ということに興味があって。学生時代に色々な工場を見学させてもらって、これはおもしろそうだと思って、卒業して研修を終えて、最初から産業医をしていました。
住 吉
そうですか!今も、東川先生ご自身も10社以上の産業医を担当されているということですが、産業医として働く人たちから、最近はどういう悩みや相談を受けることが多いのでしょうか?
東 川
ここ数年は、新型コロナウイルスの影響が大きいかなとは思います。特に、リモートワークで在宅勤務になって、周りの人とコミュニケーションが取りにくいとか、新しい機器などに馴染めなくて、ついていけないことへの悩みですとか。あとは運動不足ですね。通勤が少なくなった分、体重が増えて健康状態が悪くなってしまって…と、かなり影響があるなと思っています。
住 吉
産業医は、在宅勤務でのコミュニケーションや機器を使えないという相談まで担当するのかと思いましたが、総じて“ストレスになる”という意味で、健康面と関わってくるので相談にいらっしゃるのですか?
東 川
そうですね。「困ったことや悩みがあったら何でも相談してね」と声をかけていますので、「こんなことを相談してもいいですか?」と言いながら、皆さん色々なお話をしてくださいます。
住 吉
今日のテーマが「コラボヘルス」なのですが、この「コラボヘルス」とは何でしょうか?
東 川
元々会社では、私たち産業医も含めて、健康管理を昔からやっています。労働安全衛生法という法律に基づいて、色々な取り組みをしているんですが、一方で、皆さんが加入している健康保険組合でも、健診や食事指導、歯科健診など、様々な取り組みをしているんです。ただ、全て別々に動いているので、ここを連携させて、従業員一人ひとりの健康度をもっと上げていけないかということで、厚労省が旗振り役となって進めようとしているのが「コラボヘルス」です。
住 吉
コラボヘルスによって、具体的にはどのようなことが可能になるのでしょうか?
東 川
まず一番簡単にできるのは、健康保険組合がやっている取り組みで、ホームページなどには掲示されているんですが、なかなか見る機会がなく、いいサービスが見落とされて、サービスを受けずに終わってしまっている…ということがありますね。その辺を会社が「健保でこういうことをやっているので、皆さん利用しましょうね」と呼びかけたり、健保からの依頼で従業員がサービスを利用できる時間を取ったりと、簡単なコラボはできているかと思います。
住 吉
その先にはもっと?
東 川
そうですね。その先には、健診のデータや病院を受診した際のレセプトデータなど、健康に関わる情報が色々あるんです。このデータをうまく分析して、必要な人に必要な情報を届けたり、必要な人に絞って新たな取り組みを健保や会社が考えたりと、より効率の良い健康管理ができるということもあり得るかと思います。
住 吉
なるほど。こういう傾向がある人だから、この情報はその人たちだけに届けよう、など。
東 川
ピンポイントに、届けたい人に届けることができると、もっといいですね。