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第294回 森田豊さん

第294回 森田豊さん

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住 吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、医師で医療ジャーナリストの森田豊さんです。おはようございます。
森 田
おはようございます。よろしくお願いいたします。
住 吉
新型コロナウイルスの第8波がついに来てしまいましたね…。
森 田
そうですね…急に感染者が多くなってきましたよね。これから寒くなりますが、人が大勢集まるところで、いかに環境を取り入れていくか、また、オミクロン株の対応ワクチンがどこまで普及するか、これが第8波の高さを決めるのではないかなと思いますね。
住 吉
自分のワクチン接種状況のアップデートと、あとはどのような病気に対しても、普段からの体調管理は大事ですよね。
森 田
そうですね。早期発見・早期治療ですよね。
住 吉
さて、今日はまずリスナーから届いたメッセージをご紹介したいと思います。

「最近身近に『帯状疱疹』にかかった方がいて、発熱こそ無かったけれど、それはそれは激痛だったと聞きました。
歌手の山口一郎さんなどもり患したと、ツイートされていたのを目にしました。
●もともとは水ぼうそうと同じウイルスだとか、免疫が減るとかかりやすいとか
●40~50代がかかりやすいとか、若い人でもかかるとか
●痛いってどういうことなのか、そもそもどんな病気なのか
など知りたいです。ぜひ番組で詳しく教えて頂けたらと思います」
住 吉
確かにコロナ禍で、「帯状疱疹になった」ということを以前より聞くようになった気がします。
森 田
そうですね。相談に来る患者さんも多くなってきたと思います。
住 吉
とはいえ、どのような病気なのか、あまりなじみがないと思います。まず、帯状疱疹の原因と症状について教えてください。
森 田
帯状疱疹の原因は、水ぼうそうと同じウイルス、すなわち水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルスというもので、このウイルスによって生じる病気です。 帯状疱疹の症状としては、初めは皮膚がピリピリするような痛みを感じ、時間の経過と共に、赤みや小さな水ぶくれ(水疱)のような症状が現れ、やがて激痛になることも多いです。時に、顔面神経の麻痺や視力障害をきたすこともあります。
住 吉
水ぼうそうと帯状疱疹は、同じウイルスが原因なのに、違う名前の病気になるのはどうしてですか?
森 田
この水痘・帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、「水ぼうそう」として発症するんです。これは、主に子供の頃に感染した人が多いかと思いますが、一度感染しますと、その後もこのウイルスはずっと体の中に潜伏してしまいます。日本人成人の約9割は、このウイルスを持っていると報告されています。普段は悪さをすることはありませんが、ストレス、疲れ、抵抗力の低下などに伴い、体の中に潜んでいたウイルスが再び活性化することで、その後は、「帯状疱疹」として発症します。
住 吉
何歳ぐらいで起こりやすいのでしょうか?
森 田
帯状疱疹は、年をとるにしたがって発症する割合が高くなり、特に50歳代から急激に増加し、80歳までに約3人に1人が発症するとされています。
住 吉
結構多くないですか!?
森 田
結構多いんですよ。
子供の頃に感染したウイルスがずっと体の中に潜んでいて、年と共に悪さをする可能性が高くなる、ということなんです。
住 吉
「痛い」というのは、どのぐらいで、どのような痛みなのか、生活や仕事に支障が出るほどの痛みなのか、などが気になるのですが…。
森 田
このウイルスは、体の神経節に潜んでいるんです。ですから、症状が現れる部位としては、肋骨と肋骨の間にある肋間神経の部分や、胸、背中、あとは顔、下腹部、腕、脚、お尻など、神経があるところでしたらどこでも発症します。
ピリピリ、チクチクするような痛みですが、発疹が治った後も数か月から数年にわたって頑固な痛みが続く場合があり、「焼けつくような痛み」「電気が走るような痛み」と表現されることが多いです。
衣類がこすれたり、冷たい風が当たったりするだけでも強い痛みが引き起こされることがあり、人によっては夜も眠れないほどの痛みが生じることもあります。
さらに、皮膚が正常に治った後も、痛みや感覚の異常などが数か月から数年にわたって続くことがあります。これを、帯状疱疹後の神経痛と呼んでいます。
住 吉
それはつらいですね…。
治療法はどのようなものがありますか?
森 田
帯状疱疹の治療は、一般的には抗ウイルス薬による治療が行われていて、発症後72時間以内に飲み始めることが大切なんです。ただ、皮膚に発疹が出て、3日以内に医療機関を受診することはなかなかしないと思うんですよね。
住 吉
確かに…!
森 田
特徴として、ピリピリと痛みを伴う発疹が出たら、皮膚科や内科にできるだけ早めに行って、3日以内に薬を飲むことが大事だと思います。
住 吉
3日以内に飲むか飲まないかで、その後が全く違ってくるのですか?
森 田
そうです。この薬を飲むことで、痛みの症状などがかなり軽減されます。
また、最近、主に50歳以上の人に対して、帯状疱疹ワクチンを使用できるようになり、ワクチンによって発症の予防が可能になってきました。