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第301回 坂東巳之助さん

第301回 坂東巳之助さん

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住 吉
住吉美紀がお届けしています、TOKYO FM「Blue Ocean」。今日の「Blue Ocean Professional supported by 協会けんぽ 健康サポート」のゲストは、歌舞伎俳優の坂東巳之助さんです。あけましておめでとうございます。
坂 東
あけましておめでとうございます。
住 吉
坂東巳之助さんは、お父様が亡き十代目坂東三津五郎さんで、歌舞伎座での初舞台は1995年。以来、歌舞伎はもちろん、映画やテレビドラマにも出演して、活躍の幅を広げてこられました。
歌舞伎の世界では、昨年11月、12月、市川團十郎さんの襲名披露公演が行われました。巳之助さんも出演されていましたが、どのような雰囲気だったのでしょうか?
坂 東
一番大きかったのは、客席から「○○屋!」と声をかけていただく「大向う」が、コロナ禍でずっと中止されていたんですけれども、11月、12月の襲名披露興行の場から限定的に復活しまして。当たり前だと思っていたものが一度なくなって帰ってきたということなので、我々歌舞伎役者としては、すごく大きいイベントの1つだったなと思います。このタイミングで、限定的とはいえ、大向うが解禁になるというのは…これがないと締まらないよな、と。
住 吉
観ているほうも、盛り上がっているところは掛け声があるとより楽しく観られるなと感じました。
そして、巳之助さんは今まさに、「新春浅草歌舞伎」に出演中です。この「新春浅草歌舞伎」は、若手歌舞伎俳優が大役に挑むというエネルギッシュな舞台ですが、こちらもコロナ禍の影響があったのですよね。
坂 東
はい。中止となって、開催されていなかったので、3年ぶりになります。
住 吉
こちらも感慨深いのではないですか?
坂 東
そうですね。感慨深いというか、単純に嬉しいというのが正直なところです。
住 吉
会場ごとに雰囲気も違うのではないかと想像しますが、浅草の場合はいかがですか?
坂 東
浅草という街自体が、独特の江戸の雰囲気が残っている中、お正月の浅草となると、それがより一層なんです。江戸の正月のにおいというのが、空気感として充満しているので。お客様ももちろんそうですし、出演している我々もその浅草の街を歩いて楽屋入りするので、その雰囲気を感じて、江戸のにおいを自分にまといながら、楽屋に入って舞台に立てるというのは、歌舞伎役者としてはこれほど心強いことはないですし、お客様もその雰囲気を感じて、お芝居が始まる前からわくわくして劇場に来てくださっていると思うので、そういう雰囲気は浅草のお正月ならでは、独特の空気感かなと思いますね。
住 吉
第1部と第2部の2部制で、第1部の演目は『双蝶々曲輪日記 引窓』と、巳之助さんご出演の『男女道成寺』。この第1部の演目について、少しお話しいただけますか?
坂 東
簡単にお話ししますと…『引窓』というのが、いわゆるお芝居です。役と役がセリフなどで物語を進めていくというような。そして私が出演させていただく『男女道成寺』というのは、舞踊です。セリフはほぼなく、音楽と体の動きで楽しんでいただきます。
第2部の『傾城反魂香』というお芝居と『連獅子』という踊りも一緒で、今回の浅草歌舞伎は、1部・2部共に、お芝居と踊りの2点セットというような形です。
住 吉
両方楽しめるような形になっているのですね。
歌舞伎に行ったことがある方もない方も聴いていらっしゃると思います。歌舞伎は自分とは少し遠そうだな、難しそうだなと思っている方に伝えたいことはありますか?
坂 東
難しいものも確かにあるんです。正直な話、歌舞伎をやっている僕でさえも、「一体何を言っているんだ…」と思うような、家にある古い文献を調べないと紐解けないような演目もあるので、無責任に「全然難しくないですよ。観に来ていただければ絶対に楽しいので」と言えないのも確かなんですよね。ただ、それも演目による、というのがすごく大きなところで。歌舞伎は歴史が長いだけあって、あらゆるジャンルを内包した演劇なので、何かきっと、お聴きのあなたの心に刺さる演目が必ず1つはあると思うので、それにめぐりあっていただきたいなと、こちらも祈るばかりです。
住 吉
私は、人に注目すると楽しいです。巳之助さんがこういう役をやって、次はこういう役で、こんなに雰囲気が違うのか、と。あとは歌舞伎の中ですと、男性になったり女性になったりという変化もありますし、そのように観るとまたおもしろいかなと思いますね。
坂 東
まず役者に興味を持っていただくというのもおもしろいと思います。